NHKラジオブログ
ラジオの魅力をお伝えします

ブログトップ > NHK交響楽団 6月定期公演の聴きどころ【9日(土)、15日(金)、20日(水)】

NHK交響楽団 6月定期公演の聴きどころ【9日(土)、15日(金)、20日(水)】

番組スタッフ

投稿日時:5月25日 (金) 午前10時20分

nhkso_180525_01.jpg

6月の定期公演は、2004年にN響音楽監督、2007年から桂冠指揮者となったウラディーミル・アシュケナージが2年ぶりに登場して2つのプログラムを指揮する。ドビュッシーの没後100年を記念したAプロ、気鋭のソリストを迎えるメンデルスゾーンの協奏曲と東欧の作曲家の作品を組み合わせたCプロ、どちらもN響の豊麗なサウンドが堪能(たんのう)できる楽しみな選曲である。

そしてBプロでは、こちらも2年ぶりとなる正指揮者の尾高忠明が、カバレフスキーとチャイコフスキーによるロシア・プログラムを披露する。

ドビュッシーの知られざる名曲と出会うAプロ

nhkso_180525_02.jpg

Aプロは、イベール《祝典序曲》できらびやかに始まる。《祝典序曲》は1940年に日本の紀元2600年を祝して作曲された、日本と縁のある作品。続くドビュッシー《ピアノと管弦楽のための幻想曲》は、青年時代に書かれ、作曲家唯一のピアノ協奏曲として知られる。その後のドビュッシーの音楽の萌芽(ほうが)が含まれ、この曲での彼の音楽的探求は、後半で演奏される《牧神の午後への前奏曲》で実を結んだ。ソリストを務めるのは、フランスのピアニスト、ジャン・エフラム・バヴゼ。ドビュッシーやラヴェルを得意とする一方で、ベートーヴェンの「ピアノ・ソナタ全集」を録音するなど、古典派作品の演奏でも高く評価されている。アシュケナージとの共演も多く、2012年6月のN響定期公演でも共演した。バヴゼの洗練されたピアノとN響の繊細な演奏は、ドビュッシーの知られざる名曲に出会う貴重な機会となるだろう。

後半は、ドビュッシーの傑作2曲が演奏される。マラルメの詩による《牧神の午後への前奏曲》は、牧神の葦笛(あしぶえ)を思わせるフルート・ソロの主題が、さまざまな和声のもとで色合いと表情を変化させながら繰り返される。ドビュッシーはこの曲で20世紀音楽への扉を開いた。そして《交響詩「海」》では、海をめぐる情景が、N響の色彩豊かな音響で鮮やかに浮かび上がるだろう。

尾高が聴かせるロシア・プログラム
ブルネロのテクニックに期待

nhkso_180525_03.jpg

Bプロでは、尾高がロシアの大作2曲を指揮する。カバレフスキーはショスタコーヴィチと同時代に活躍した作曲家で、ロシアの音楽教育において指導者的な役割を果たし、当時の社会状況に合致した作風の作品を多数残した。《チェロ協奏曲第2番》は、1964年の作品。3つの楽章が切れ目なく演奏される、渋い表情の音楽だが、曲全体にわたってチェロの技巧が際立つ。ソリストのマリオ・ブルネロは、1988年の初共演以来、N響と共演を重ねてきたイタリアの名手。彼の抜群のテクニックが今回も引き立つだろう。

そしてチャイコフスキー《交響曲第5番》は、N響もこれまで数々の名演を生み出してきた。今回は尾高のタクトのもとで、引き締まった演奏を味わいたい。

庄司とオラフソンの共演
後半は東欧の作曲家を取り上げる

nhkso_180525_04.jpg

アシュケナージは、Aプロに続き、Cプロでも珍しい協奏曲を取り上げる。メンデルスゾーン《ヴァイオリンとピアノのための協奏曲》は、14歳の時の作曲家が、自身と姉の演奏用に作曲した作品。ソリストには世界で活躍するヴァイオリニストの庄司紗矢香、そしてアイスランド出身のピアニスト、ヴィキンガー・オラフソンが登場する。アシュケナージはN響定期公演では毎回、新進の若手ソリストを起用するが、オラフソンは、クラシックの枠にはまらずクロスオーバーのジャンルでも活動を続けるピアニスト。庄司とも共演歴があり、息の合った掛け合いが期待される。ソリストたちの溌剌(はつらつ)とした演奏とメンデルスゾーンの瑞々(みずみず)しい音楽が楽しみな一曲である。

アシュケナージは、N響でも定期的に東欧の作曲家を取り上げているが、後半では、コダーイとヤナーチェクの作品を組み合わせる。コダーイ《組曲「ハーリ・ヤーノシュ」》は、ハンガリーでは誰もが知る、主人公ハーリの冒険物語が生き生きと描かれる。オーケストラにハンガリーの民俗楽器ツィンバロンが入り、親しみやすい旋律と(にぎ)やかな音楽が楽しい。チェコの作曲家ヤナーチェクの《タラス・ブーリバ》は、ゴーゴリの小説をもとに書かれた。N響弦楽器陣の精緻(せいち)なアンサンブル、好調の金管・打楽器セクションの迫力と豊かな音色をここでは堪能したい。

[柴辻純子/音楽評論家]

※演奏曲順 変更のお知らせ(Cプログラム)
指揮を務めるウラディーミル・アシュケナージ氏の意向により、演奏曲順を下記の通り変更させていただきます。

メンデルスゾーン/ヴァイオリンとピアノのための協奏曲 ニ短調
 (休憩)
ヤナーチェク/タラス・ブーリバ
コダーイ/組曲「ハーリ・ヤーノシュ」

※休憩後の2曲の演奏順が入れ替わります。
何卒ご了承いただきますようお願い申しあげます。

放送予定

Aプロ 6月9日(土)午後6時00分〜8時15分
NHK-FM「N響演奏会」

【放送内容】
~ドビュッシー没後100年~
イベール/祝典序曲
ドビュッシー/ピアノと管弦楽のための幻想曲
ドビュッシー/牧神の午後への前奏曲
ドビュッシー/交響詩「海」

指揮 : ウラディーミル・アシュケナージ
ピアノ:ジャン・エフラム・バヴゼ

Cプロ 6月15日(金)午後7時00分〜9時10分
NHK-FM「ベストオブクラシック」

【放送内容】
メンデルスゾーン/ヴァイオリンとピアノのための協奏曲 ニ短調
ヤナーチェク/タラス・ブーリバ
コダーイ/組曲「ハーリ・ヤーノシュ」

指揮:ウラディーミル・アシュケナージ
ヴァイオリン:庄司紗矢香
ピアノ:ヴィキンガー・オラフソン

Bプロ 6月20日(水)午後7時00分〜9時10分
NHK-FM「ベストオブクラシック」

【放送内容】
カバレフスキー/チェロ協奏曲 第2番 ハ短調 作品77(1964)
チャイコフスキー/交響曲 第5番 ホ短調 作品64

指揮:尾高忠明
チェロ:マリオ・ブルネロ

NHK交響楽団オフィシャルホームページはこちら
(クリックするとNHKサイトを離れます)