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【9月25日放送】ジャーナル地域発「自転車で地域おこし!"サイクル県やまぐち"」

番組スタッフ

投稿日時:9月27日 (木) 午前10時30分

NHKジャーナル

全国各地のさまざまな話題をお伝えするジャーナル地域発。今回は山口からです。
山口県では2年前から自転車を活用した観光振興を打ち出し、地域をあげて取り組みを進めています。
(報告:山口放送局・平﨑貴昭アナウンサー)

山口市中心部で国内最高峰の自転車レース

大会の様子:
「維新やまぐちクリテリウム。Jプロツアーの第19戦がスタートになります」

国内最高峰の自転車ロードレースが9月16日に行われました。
そのレースの舞台は、なんと山口市中心部のまちなか。
市街地の公道を使ってのレースは大変珍しいんです。

平﨑アナリポート:
「山口県庁前の特設コースに来ています。トップ選手たちが、すぐ目の前を勢いよく走り抜けていきます。聞こえるでしょうか?『さー』っというタイヤの摩擦音が、すぐそばまで聞こえてきます」

観戦に駆け付けた地元の人:
「家族みんなで来ました。普段使っている道を、この速いスピードで走っている自転車を見て楽しかったですね」「スピード感がすごいですね。風が通り抜けていく音が聞こえるので、すごい見応えがあります」

この日のレース、プロツアーの一環として開かれました。
全国から集まった100人ほどのトップ選手がしのぎを削ります。

参加した選手:
「ほんとこういう街の真ん中でやるっていうのはまだまだ数も少なくて。こういう、たくさんのお客さんに見てもらえる機会なかなかないので、すごいいい経験になりました。声援かけてもらって。自分の名前もたくさん聞こえたので、すごい力になりました。すごい楽しめたので、また是非来年も開催していただいて、帰って来れたらなと思います」

このプロツアー、毎年、全国各地であわせて22戦おこなわれます。
県が積極的に誘致をしたことで、そのうちの2戦を山口県内で実現することができました。
この日のレースの観戦者は、主催者の発表で7200人。
沿道は観客で賑わっていました。
また自転車レースと合わせて、山口県が主催する市内の観光スポットを自転車で巡るイベントも開かれました。

参加者:
「娘と一緒に何かするという機会があまりなかったので、家族で乗ることで、いろんな会話も生まれますし、なんかいい経験ができたなと思っております

旅行者の山口県滞在時間を増やしたい

なぜ山口県はレースを誘致したり、イベントを開いたりと自転車に積極的なのか。
それは「自転車」を観光の起爆剤に考えているからです。
今年度の予算を2年前の倍の5千万円あまりに増やし、積極的に取り組みを進めています。
山口県スポーツ推進課の森重信博さんは、これまでの山口での観光のあり方を変えたいと考えています。

森重信博さん:
「山口県は素通りされて、ちょっと1日だけ寄ってすぐ戻られると。そういうパターンが多かったのが、すごい悩みだったんです。自転車であれば、山口県の中をゆっくり周遊していただいて、そのまま滞在していただけるのではないかと。そして、ゆっくりいろんな体験をしていっていただけるのではないかと思ってですね。自転車というのが一つの候補として挙がってきました」

もともと、山口には、自転車観光に向いている環境が2つあります。
「美しい景色」と「自転車が走りやすい道路」です。
山口の「美しい景色」といえば海岸です。
同じ海でも、穏やかな瀬戸内海と荒々しい日本海というまったく異なる風景を楽しめます。
さらに海岸線の長さは全国有数です。
その海岸の魅力に加えて、内陸部にはカルスト台地の秋吉台など、起伏と変化に富んだ素晴らしい自然景観が楽しめます。
また「自転車が走りやすい道路」については、山口県は過去の「道路交通利用者満足度調査」で全国総合1位になるなど、きれいに道路が整備されています。
また、県庁所在地の山口市から観光地の秋吉台を結ぶ30㎞余りにわたって、自転車道も設けられています。

自転車観光客に喜ばれる地に

こうした環境の上に、山口県ではさらなるサイクリング環境の向上を目指しています。
自転車の空気入れ・簡単な修理工具セット、トイレなどが整備されている「サイクルエイド」と呼ばれる場所や、そうした機能に加え自転車の貸し出しなども行う「サイクルステーション」を設けようというものです。
2年かけて県内に120余り整備しました。
そのため、道の駅や飲食店など既存の施設に呼びかけて広げていきました。
その結果いまでは県内19の全ての市や町に網羅されています。
サイクルステーションに名乗りを上げた、観光地の秋吉台にある土産店の店主、松岡稔さんです。

松岡稔さん:
「サイクルステーションになることによって、お土産だったり、食事に立ち寄ってもらえたり、っていうのが増えるのではないかということで、名乗りを挙げさせてもらいました。実際、食事をして行かれる方が増えたと思います。これから、さらに増えていくことを期待して思っていますね」

自転車観光客のおもてなし作戦

さらにお土産品の開発にも余念がありません
山口県北部にある美祢市では自転車を使った観光客向けのお土産を作りました。
その名も「じてんしゃ飯」。自転車のように早く炊ける、というのが由来です。地元の食材などを使った炊き込みご飯の素です。
市内の道の駅など7か所で販売しています。
開発・販売に携わっている美祢市観光協会の阿野太助さんです。

阿野太助さん:
「特産品である美東ごぼうと美祢しいたけを使って、美祢版自転車飯を開発しました。無添加、簡単で栄養価も高いということで、お買い求めいただいていると思います。1年間で1000袋ぐらいは出ております。さらにこの地域が盛り上がっていければいいかなと思っております」

さらに美祢市では、自転車の観光を進める上で、外国人客にも注目しています。
日本最大のカルスト台地で特別天然記念物に指定されている「秋吉台」など
観光名所がある強みがあります。

平﨑アナリポート:
「美祢市秋吉台のカルストロードに来ています。前方、さらには左右、雄大なカルスト台地が広がっています。この場所を秋の風を感じながらサイクリング、とっても気持ちよさそうです」

美祢市は今年の4月に台湾から40人の自転車ツアー客を呼び込みました。
市内の宿泊施設を拠点としつつも、隣り合う山口市や下関市の観光地もルートに組み込んだことで、5日間という長期滞在に繋げたんです。
今後、さらにブラッシュアップして、定期的なツアー開催を目指しています。

海外からも「自転車」で呼び込め

自転車を使った外国人観光客の誘致は、美祢市だけではありません。
山口県では韓国や台湾、タイなど海外の旅行関係者などを招いて、県内の観光地を巡るツアーを3回行いました。
その結果、3月にタイからの観光客が訪れたのに続いて、11月には再びタイからのツアーが2件予定されています。
県では、観光ポイントや休憩地点を含む周遊ルートの提案に案内、けがの応急処置などを行う「サイクリングガイド」の養成も急いでいます。
再び山口県スポーツ推進課の森重信博さんです。

森重信博さん:
「これからも海外の人がたくさん来られて、それに応じて地域の方たちが、海外の人たちを受け入れるために新しい取り組みができ、そういう風に山口県が盛り上がることを願っています」

取り組みが始まって2年。
自転車を活用した観光振興が、少しずつ県内に根付き始めていると実感しました。

この日の放送を聴く [10月2日(火) 午後11:20配信終了]

平﨑貴昭アナウンサー

山口放送局
平﨑貴昭アナウンサー

平成25年入局。趣味:将棋、自転車、ランニング

番組情報
NHKジャーナル番組HP
平日 午後10時00分~11時10分 生放送
キャスター:山田康弘、菅野真美恵
ニュースデスク : 岩本裕、森田智之