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【9月12日放送】平山郁夫氏の未公開作品10点 千葉で確認

番組スタッフ

投稿日時:9月15日 (土) 午後0時00分

NHKジャーナル

戦後を代表する日本画家、平山郁夫(ひらやま・いくお)さんが若き日に描いた未公開とみられる作品が専門家の調査で確認されました。
平山さんが生涯のテーマとした「シルクロード」の様子を描いた最も早い時期の絵画もあり、注目を集めています。

平山郁夫さんは、仏教やシルクロードなどをテーマにした絵画を描き、文化勲章などを受章しました。
未公開作品の確認は、専門家にとっても驚きだったということで、貴重な発見と受け止められています。
作品は、平山さんから絵を学んでいた東京都内の女性の遺族が保管していたもので、それを知った千葉県柏市の教育委員会が借り受けました。
そして専門家に調査を依頼したところ、10点が未公開の作品とみられることが分かりました。
こうした作品は、制作時期によって大きく2種類に分けることができます。
1つは20歳前後のものとみられる作品です。折り紙のひな人形を描いたような絵や墨一色で騎馬武者を描いた作品などがありました。
平山さんの作品は色彩に富み、ほのかに輝いているような幻想的な雰囲気が特徴ですが、そうしたものとは異なり、若さが前面に出た作品でした。もう1つは「シルクロード」の人物や風景を描いた3点で、シルクロードをテーマに描かれた作品としては、最も早い時期のものです。
平山さんは昭和41年、トルコの遺跡を調査する学術調査団に参加しています。
これがシルクロードを訪問した初めての体験で、3点はそのころに描かれたものでした。
このうちトルコの民族衣装を身に着けた女性は、赤や青の淡い色合いで描かれています。
しっかりと前を見つめる女性の意志の強さが表現されています。
また、今からちょうど50年前の昭和43年にウズベキスタンにあるサマルカンドのモスクを描いたパステル画は、遺跡に映える青いタイルが印象的でした。
このあと平山さんのシルクロードへの旅は続き、生涯で100回以上に及ぶことになります。
作品を調査した平山郁夫シルクロード美術館の平山東子(ひらやま・とうこ)副館長は、「終生のテーマに出会ったという 感激や情熱が 込められているという印象だ。 
いわば平山郁夫の出発点とも言え、 大変、貴重だ」と話していました。
平山さんは15歳のとき、勤労動員された広島市内で被爆し、それをきっかけに平和の大切さを実感しました。
実は、そのことが、シルクロードに対する思い入れにつながっていることも、今回の取材を通じて浮かび上がってきました。
シルクロードでは、名もなき多くの人たちが宗教や民族を超えて行き交い、交流を重ねました。そうした営みを維持するには、平和が欠かせないのです。ただ、世界では紛争が続いている地域があり、平山さんの願いが実現されたとは言えない状況です。
平山さんは絵を描き続ける一方、戦争で破壊されたり、盗掘や略奪で海外の古美術市場に流出したりしたシルクロードの文化遺産の行く末にも危機感を持ち、保護や修復に力を入れました。
平山さんが亡くなって9年になりますが、そうした思いを引き継ぐようにして文化財の保護活動を続けている研究者もいます。
平山さんが願った平和を実現するには、どうするべきなのか。
私たちも考え続ける必要があると思います。
今回、確認された平山さんの若き日の作品。来年は平山さんが亡くなってちょうど10年です。
柏市教育委員会は来年2月に展覧会を開き、今回の作品を広く紹介する予定です。

熊田繁夫記者

千葉放送局
熊田繁夫記者

趣味・特技は ランニング(毎年フルマラソンに参加)、映画鑑賞。

番組情報
NHKジャーナル番組HP
平日 午後10時00分~11時10分 生放送
キャスター:山田康弘、菅野真美恵
ニュースデスク : 岩本裕、森田智之