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【ジャーナル文化流行】9月16日放送「戦争を知らない世代に薦める本」 /次回は9月23日。ゲストは映画評論家の渡辺祥子さんです。

  
投稿者:番組スタッフ

毎週金曜日に放送する「ジャーナル文化流行」。週替わりで話題の映画や本、トレンド情報などを専門家の方々と共にお伝えしていきます。16日は書店員歴40年、田口久美子さんをゲストにブックレビューをお届けしました。テーマは「戦争を知らない世代に薦める本」。

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 まずは、昭和44年に初版が出された暮らしの手帖編「戦争中の暮らしの記録」です。朝の連続テレビ小説「とと姉ちゃん」の主人公は、この暮らしの手帖社を創業した大橋鎮子さんをモデルにしています。このドラマの影響で、7月末に「戦争中の暮らしの記録」の18刷が発行され、8月半ばには19刷、今月の始めに20刷が出るという異例の売れ行きを見せています。内容は、戦争を経験した読者から原稿を募集し、まとめたものです。募集した時の条件は、事件や特別な人ではなくて、平凡な日常で起こったこと、そしてはっきり記憶していることを書くということでした。寄せられた投稿は1700通を超え、120通以上が掲載されました。投稿は、戦時中のふだんの生活や、空襲の中での日常などを、リアルに伝えるものばかり。記憶が風化していない状態で書かれた戦争の現実を次の世代に伝える貴重な資料と言えるものです。田口さんは、あとがきに書かれている「活字が読める日本人がいるかぎり、読みつがれ、読みつがれしてほしい」という文章に「同感だ」と言っていました。

  もう1つの本「戦争まで」は、東京大学教授の加藤陽子さんが、「どのようにして太平洋戦争に至ったのか」とういうテーマで中高生向けに行った講義を加筆、再構成したものです。加藤さんは開戦の10年前から、ターニングポイントとなる場面で日本が「選択した」結果が、日本を戦争に導いたとしています。それらの事態を、膨大な資料から俯瞰した形で研究した成果を中高生にもわかりやすく伝わるように、まとめられています。加藤さんはどのような思いで若い世代に「戦争がなぜ起きたのか」を伝えようとしているのか。田口さんが読み取ったのは、「選択の重要性」ということ。若い世代はこれから様々な選択を迫られます。戦前の日本も選択を迫られ、戦争に向かう失敗をしました。それと照らし合わせて、二度と戦争への道をたどることがないよう、選択の重みを考え、民主国家では、それが国民一人一人の肩にかかっているという責任を自覚して欲しいということではないかということでした。
 一般市民と研究者。それぞれの立場で戦争というものを伝えてくれる2冊でした。
次回は9月23日。ゲストは映画評論家の渡辺祥子さんです

番組情報
NHKジャーナル番組HP
平日 午後10時00分〜11時10分 生放送
キャスター:永井克典アナウンサー、奥村奈津美
ニュースデスク(隔週):池光敏弘、岩本 裕
気象予報士:福田寛之