2008年04月22日 (火)ファクトリーマネージャー 吉田憲一さん


口をキュッとつぐんだ、少し厳しめの表情が印象的な吉田さんだが、
実は、けっこうお茶目である。
収録には、
奥様の今日子さんと娘さんの千佳さんと一緒にいらしたのだが、
終わったあとにお話を伺うと、
吉田さんのオチャメ話が色々と出てくるではないか。
奥様によると、吉田さんは、番組の取材が始まる少し前から
自分に「マヨネーズと揚げ物禁止令」を出していたそうだ。
少しスリムになってからカメラの前に立ちたいと、
(そんなこと必要ないくらい十分にスリムでいらっしゃるのだが)
大好きなマヨネーズと揚げ物を我慢したのだ!
娘さんも「わたしも父に痩せろと言ったんです」ときっぱり。
アハハハ!
思春期の女子のような禁止令、吉田さんの発想がキュートである(笑)!
でも、実際に、それで顔が少しほっそりしたらしい。
 
さらに、「今朝のパニックの話、する?」と奥様と顔を見合わせる吉田さん。
「なんですか?パニックって?!」と聞くと、実は・・・

実は、
「スタジオの日はこれを着るぞ!」
と心に決めていた一張羅のスーツがあったそうなのだが、
収録日の朝、着替えようと思ってスーツケースを探したら、
ズボンがなかったというのだ!
アメリカに忘れてきてしまったのだ。
スーツの上着のほうは、しっかり持ってきたのに。
そこで「どうしよう!」とパニックし、少しやる気もなくしかけ、
仕方なくズボンだけ別のものを履いていらしたそうだ。
朝からズボンのことでやる気までなくしかける吉田さんを想像すると、
またまた思春期の女子並みにキュートである(笑)
ちなみに、収録後も、忘れたことを悔しがっていた吉田さんに、
奥様は、ちゃんと「大丈夫よ!ちゃんとかっこよかったわよ♪」と
伝えていた。
うーん、らぶらぶ。そして、優しい。家族の仲の良さも伝わってくる。
 
吉田さんは、30歳のとき、船内で、左腕を失うという事故に遭った。
そのときのお話をしてくださった。
信じられないくらい壮絶な体験だ。
機械に巻き込まれてしまった腕を自ら引き抜いたこと、
そのあと治療を受けられる場所まで船が移動する間、
自分の部屋で「もう船には乗れないかもしれない」と呆然としたこと、
その後も何ヶ月か幻肢痛という激しい痛みに悩まされたこと、
仕事に復帰した後も、悔しい思いをしたこと・・・
語る吉田さんを前に、こちらは言葉も出なかった。
しかし、吉田さんは、それを淡々と、力強くお話になる。
驚いた。
 
「いちばん嫌だったのは同情されることです。
 嫌だったし、この手が無いから負けるというのがいちばん嫌でした。
 情けをかけられるというのがね。
 とにかく、『負けたくない』ということが支えでしたよ。
 そういう中で、やっぱり家で荒れるとかね、あったと思いますよね。
 家族は大変だったと思います。
 (でも)、自分のやっていることで後悔したくないですしね。
 やるだけやんないと、後悔するじゃないですか」
 
誠実で、力強い。
その言葉は、いま思い出しても心の奥にズーンと響きを感じるほど、
力強かった。
 
しかし、人間ってこう、
「あのとき自分があのことをしていなければ」とか
「失敗していなければ、もっと注意していれば」といつまでも考えてしまって、
自分が許せなくなるときがあるものだ。
「もしも・・・」の後悔の闇にはまってしまうことが。
すると、自分を責めて、責めすぎて、前に進めなくなってしまう。
事の大小はさまざまでも、そういう気持ちと戦った経験は、
多くの人にあると思う。
吉田さんは、
そういう、自分を責めるような気持ちとは戦わなかったのだろうか?
 
「それはないですね。
 自分が失敗したことを責めてもしようがないじゃないですか。
 当然やるべきことをやっているときにも、
 失敗をしてしまうこともあるんですよ。
 それに対応していかなきゃいけないと思う。
 そういう気持ちが、全くないというか、まぁ・・・
 そういうふうに思わないように努めたということですかね。
 それを考えてもどうにもならないんでね。
 こうしなければよかったと思っても、もう現実はここにあるから」
 
ほんとうに本音の吉田さんが、目の前にいた。
ひとりの人間として生きてきた時間を、わたしはその言葉に感じた。
きっと、ベーリング海が大きく波打つように、胸の中でいろんな想いが、
寄せては返し、ときには渦巻きながら、生きてこられたのであろう・・・。
そして、いま、
家族と笑顔で話し、
部下の成長を心から喜び、
水産加工船の運営に熱く燃える吉田さんがいる。
 
伺ってみた。
今、この業界で、この仕事で、
ずっと変わらずやってきて良かったなと思いますか?
吉田さんは、即答された。
「良かったと思います」
違う仕事って、想像できますか?
「今、できないですね」
その一言に迷いはなかった。
涙が出そうになった。
 
人生は、
家族や仲間と前進あるのみ。
自分だけが歩んできた時間を丸ごと包み込み、
前進あるのみ。
海を進む、船のように。

投稿者:すみきち | 投稿時間:22:45

コメント

今回の吉田さんは、ほんっっっとにかっこよかった…。お顔も、言葉も、そして生き方も。。。。!
部下の方たちと、言葉だけでなくハートで語り合ってる感じでした。
また、きっとオンエアされていないスタジオでのお話もたくさんあったと思うのですが、どうかその部分もぜひお伺いしたいです…!!!

それから、すみきちさま、先日の朝日新聞/TVダイアリーで「ひとりの人間として問いたい。感動の触媒でありたい」というすみきちさんのプロとしてのありかたにも触発されました。切り抜き、ノートにはってます!

投稿日時:2008年04月22日 23:50 | くじら

経験や能力ではなくその人の姿勢がいい品質、製品を生むという考え方、いいですね。それに全部を教えないで考えさせるというところ、指導者としての心得の重要な鍵だと思います。吉田さんの男らしさに感動しました。

投稿日時:2008年04月23日 00:07 | 内藤 泰敏

テレビを見ながら吉田さんの言葉をノートに書き写しました。言葉一つひとつは日常語なのに、映像を思い出しながら書き写した文字を見ると、自分が会社に勤務していた頃が思い出して、ジーンとくるものを感じています。(うまく人を使えなかった思いがある)
 ワークライフバランス(仕事と生活の調和)、ダイバシティ(多様性の受容)のテキストに使いたいとも思いました。120人中一人だけの日本人、従業員は多国籍、そんな中で日々の仕事が進行しています。文化も言葉も宗教も違う集団を率い、人を信頼して任せる、モチベーションを高める、これこそ品質のいい製品ができるものです。
 「結果に責任を持つために精一杯努力する。その結果に対して本当の喜びを感じる」吉田さんのプロフェッショナルの言葉を肝に銘じて今のボランティアの仕事を進めたいと思います。

投稿日時:2008年04月23日 09:40 | たんぽぽ

毎回毎回実に興味深く
また学ぶとこの多い番組だなと
感じております。

茂木さんと住吉さんのお茶目な
やり取りも素敵ですが

毎回取り上げられる方のプロぶりが
いつも参考になります。

毎回自分に何かヒントをくれるような
この番組が一番好きです!

投稿日時:2008年04月23日 10:28 | 三浦久光

吉田さん、本当に「かっこいい!」の一言で目が釘づけでした。
私が会社員だった頃・・・こんな上司がいたらなぁ・・・。
今は子育て中の主婦の私ですが、吉田さんのリーダーとしての姿勢は、家庭の中でまさに子育てに通じるものでした。
「自分が一所懸命がんばっている姿を見せる」
「全部は教えない。自分で考えさせる」
私も息子にそのように接してゆきたいと思います。

吉田さんの、ご家族と一緒の時のおちゃめな一面も、見てみたかったです。。。

投稿日時:2008年04月23日 18:56 | さゆどん

いつになく主人がくいいるように見ていました。
番組終了後、「こんな人が上司だったらなぁ~」とため息。
ふだん、「50代は責任をとらない」と職場の様子を嘆いているだけに、強く感じるものがあったようです。
過酷なお仕事のなかでも自分を見失わないタフさがすごかった!!
今後もさまざまなプロフェッショナル期待しています。

投稿日時:2008年04月23日 19:06 | こばやし

お疲れ様です。

吉田さんの言葉の一つ一つがとても重たくて、ひとときも気を抜くところが無くて、じっとTVを見ていました。
仕事をする意味は人それぞれだと思いますが、やはり、真剣に向き合っている人を正当に評価するという吉田さんの姿勢がとても感じられ、吉田さんの年代を上司に持つものにとっては嬉しく思いました。

・経過はともかく結果だけ大切
・とにかく安くすませる
・学歴重視

等々、日頃、私が疑問に感じていることをいとも簡単に裏切ってくれました(良い意味で)。
一時的なごまかしで会社の利益を上げるより長期戦でしっかりとした業績を上げる方が大事、大切なことは自分で気付かせる、といったことは当たり前だけど、今の社会には足りないものだと思います。
やはり、きちんと仕事をする会社が残っていて欲しいです。

私も吉田さんのような上司がいればいいなと思うし、また、正当に人を評価出来るような上司になりたいと、強く思いました。

長文失礼しました。

投稿日時:2008年04月23日 20:47 | アザラシ

いつもなら、録画して後でゆっくりと見ているのですが、番組が始まると「これは、すぐに見ておかないと。」と思ってテレビに見入ってしまいました。いつもながらに本当にいろいろなプロがいるもんだと感心させられます。吉田さんの生き様、部下の指導の方法は、自分も見習いたいと思うものでした。団塊の世代の方の大量退職に伴いその道のプロフェッショナルが、仕事の現場から去っていくのを見て、私も何かひとつ仕事に活かせるものはないか、人に誇れるものを身につけようと思いつつ、番組を見ていました。茂木さんとすみきちさんのトークもあいまってすごく楽しく充実した内容だと思います。これからもずっと番組が続くことを願ってます。

投稿日時:2008年04月23日 22:45 | milky

仕事帰りのコンビニで、なにげなくつけた車のテレビで吉田さんの話をみました。テレビをつけたとき、面接をされている吉田さんの鋭い目に釘付けになりました。そして「ずるい人間かどうか」だけを判断し、その人の「仕事に対する姿勢」をもって評価をくだすというところに、プロとしての厳しさと覚悟を感じました。40才という人生の折り返し点で、仕事や家庭の悩みで、行き詰っていたところでした。吉田さんの「プロフエッショナルとは…」に対するお答えは、とても心に響き、迷いがなくなりました。わたしの転機になったような気がします。まだまだ甘いと思うとともに、まだまだ行けると感じました。本当の喜びと悔しさがわかるまで、海をゆく船のように突き進むしかないと決めました。  
   ぜひ再放送をお願いいたします。

投稿日時:2008年04月23日 22:53 | mac

テレビを見て久方ぶりに感動しました。ところでこんなにかっこいい吉田さんをどうして知ったのでしょう、気になります。見られていないところで、てを抜かないというのは、常々考えていた事なので、大いに納得しました。また最近は人を使うことも増えてきたのでこの姿勢を見習おうと思いました。こんな番組をみるとやっぱりNHKはいいなと思います。手を抜かない本物の番組を期待します。

投稿日時:2008年04月24日 14:02 | 宮路 道明

今回の吉田さんは、予告編のときから「目」が違って見えました。レスキューの宮本さんとはまた、違った「目」でした。 本編を見させていただいて、ますます、この「目」の鋭さ、優しさ、頼り甲斐、といったものを感じました。 出来れば、仕事ではこういう「目」で頑張りたいと思います。 見させていただいて、良かった。

投稿日時:2008年04月24日 14:10 | marurou

吉田さん、潔よい人ですね。見逃さなくてよかったです。
最初、何気なくて見ていたのですが、どんどん引き込まれました。
映像だけでも、具体的に、人間してこうあるべきを沢山教えられました。
言い訳だらけの自分が恥ずかしくなりました。
出来ることからを一から真似していきます。

「いちばん嫌だったのは同情されることです」
「やるだけやんないと、後悔するじゃないですか」
それを考えてもどうにもならないんでね。
 こうしなければよかったと思っても、もう現実はここにあるから」

吉田さんだから言える、すごく重みのズシンと響き、自分の胸に刻みました。
後で、後悔しないように、今の求職活動に全力をつくして頑張るぞ。吉田さん、見ていると、過去は変えられないけど、先はいくらでもかえられると思うから
それと取材のときに被っていらしキャップがとてもお似合いでした。
船の中でもずっと被っていらしたからお気に入りなんでしょうね。^^

投稿日時:2008年04月25日 08:28 | 

吉田さんの存在を知って感銘を受けたとともに
自分のふがいなさを痛感しました。
会社の不満ばかり言うだけで、前へ一歩も踏み出す
ことさえ躊躇する自分に、反省です。

多分、吉田さんには逆境という言葉が無いんだと思います。
言い訳は無し、結果に対して責任を持つ。。。。

こんな素晴らしい方を紹介していただき感謝しています。
再放送してください。

投稿日時:2008年04月26日 06:24 | S.T

吉田さんのことば、本当によかったです。
ずるをしない、自分のやれることをやりきる。だからこの番組好きなんだよな。
これからもおねがいします。スタッフのみなさん!

投稿日時:2008年04月29日 23:33 | 金丸 力

昨日の再放送で吉田憲一さんの特集をみました。
普段金曜の深夜は仕事で疲れきってテレビを眺めるような感覚なのですが、吉田さんの特集が始まった瞬間から目が釘付けで目が離せませんでした。
ほんとうにかっこよかったです。
ぜひまた特集していただきたいです!

投稿日時:2008年06月15日 02:03 | すず

逆境を乗り越えた男の強さ、リーダーとしての責任感、誠実性、人間性、番組が放送を終え数ヶ月たってしまった今でも、時々思い出すように録画したビデオを見ています。たくさんのことを学びました。

投稿日時:2008年09月06日 01:57 | 平野 信彦

深夜に何気なくみたテレビでしたが、彼はとてもよかった。同じ言葉であれ、発言する人間によって重みが違うとは思っていたが、これほどまっすぐ心に突き刺さる人はそうはいないでしょう。説得力、発言力、それはその人の人柄の賜物だと痛感しました。彼をはじめ、このような作品を作られたNHKのスタッフに心から感謝致します。

投稿日時:2008年11月11日 20:27 | たかざき

 現在、来週からの「仕事のプロフェショナル」の放送予定を自分の手帳に転記する所です。(毎週週末の日課なのです。)

最近、「Mixi」で「仕事のプロフェショナル」のコミュニティ
がある事を知り、皆さんの感想を読んだりして又 この度
吉田さんの放送を思い出したので投稿します。

改めて自分の仕事の手帳を見ると放送日が4月22日と記録されてました。  
もう そんなに経つのでしょうか、、
現在 漁は最盛期で吉田さんも洋上加工船で不眠不休で頑張っておられるのではないかと思います。
皆さんがココに投稿されている感銘を受けた部分は私も同感です。

所で皆さんは経験ありませんか!?
私は仕事でミスをした時、資格の勉強をしている時、仕事中に
考え事をしてとてつもなく焦燥感に襲われたとき、、、
番組の「プロフェショナル」が頭の中で語りかけてくるのです。
そんな心が病んでいる自分に強烈に!鮮明に!熱く!語りかけてくれるのです。

吉田さんになど何度助けられた事か判りません。
吉田さんの言葉、、「自分の力を出し切るのが良い仕事」その言葉を必ず思い出します。
30代になってから「人生に本気」になった私ですが、吉田さん
みたいにまだまだ全力で突っ走りたいと思います。
放送経過 半年以降も続々と「ファクトリーリーダー・吉田憲一」に寄せられるコメントに感動し私もコメントを投稿しました。

是非 再放送を期待します! 

投稿日時:2008年11月14日 20:39 | 耳栓

かまぼこを研究することになりました。
かまぼこだけでなく、人間的にも吉田さんにとてもあこがれます。
非常に心揺さぶられる番組で、いたく感動いたしました。
よろしくお願いします。

投稿日時:2009年02月15日 20:41 | kamaboko

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