2007年09月04日 (火)靴職人 山口千尋さん

山口さんは、水色のスーツと優しい笑顔で颯爽と現れた。
実は、
山口さんの回は、プロフェッショナル史上最長の、
なんと6時間半の収録時間を記録!!!
でも、山口さんは、疲れをまったく見せず、
靴づくりの実演見せてくださったり、
いろいろな質問に答えてくださった。
最初にごあいさつしたときの優しい笑顔も、最後まで変わらなかった。

長いスタジオ収録では驚きがいっぱいで、
目からうろこがポロポロとれた。
「靴観」とでも言おうか、靴に対する認識がどんどん変わってしまう感じ。

例えば、牛の革1頭分のうち、
どの部分が、一番靴に向いていると思います??
答えは・・・

実は、
「お尻」の部分!
牛のお尻部分の革は、繊維がそろっていて、
なめらかで、柔らかさもあって、いいそうなのだ!
わたしも茂木さんも、「へええ!!!!」である。
確かに、人間も「オチリの皮」は柔らかいけど、
靴にもお尻が最適だったとは・・・!
やたら感心してしまった。

靴の制作の実演でも、驚きの連続。
ほんと~~に手間が掛かっているのだ。
誰でも足は左右で大きさや形が微妙に違う。
だから、ひとりのために1足の靴を作るとしても、
職人としては、実はふたつ別のものを作ることになるのだ。
そして、全て手作業。
革に全く皺(しわ)や浮いているところなどがないように、
引っ張っては釘で仮止め、引っ張っては仮止め、ということを何度も繰り返し、
最後にひと針ひと針、手で縫い上げていく。
山口さんは、スタジオで実演をする間に大量の汗をかいていた。
ほんの一部の実演だけで、1時間はかかる。
指には針で穴が開くし、ほんとうに大変な仕事だ。
丁寧に丁寧に作るから、1ペアの靴を作るのに1ヶ月~2ヶ月はかかるそうだ。
ひえー。
わたしだったら、正直「めんどくさーーい」って思ってしまいます・・・。
それを思う時点で、もうだめなんだろうが。(すいません。)

完成した靴は、それはそれは、美しかった。
これこそ血と汗と涙の、まさに「結晶」だ、クリスタルだ!
「かわいいんじゃないですか?子どもみたいに?」と伺うと、
「そうですね、娘をお嫁に出すような気持ちでお客さまに渡します。
それで、修理に帰ってきたときは、
(嫁入り先で)かわいがってもらっているんだな、と嬉しく思うんです」。
そうか、実家への里帰りのとき、親が嬉しいのと一緒なのか~。
なんだか急にぴかぴか輝いている靴たちが、
ほっぺたが輝いている娘のように見えてきた。

作業を見ていて、山口さんは本当に心に曇り無くこの仕事が好きで、
仕事との相性も運命的なんだ、と感じた。
それで、伺ってみた。
~~~~~
住吉:山口さんは、20代で靴に出会って「人生を賭けるのはこれだ!」って
わかったわけですよね。でも、今、20代あるいは30代でも、
自分を本当に賭けてもいいものが見つからない気がしてる人って
一杯いると思うんですけれども、どうしたら巡り会えるんでしょうか?

山口:いや、あのね、靴に巡り会った瞬間に「これは一生だ!」って
なったのかと言うと、そうじゃないんです。
巡り会って、それがわかるようになるまで6年間なりの時間がかかって、
で、「これは面白いぞ」と思ってから、なおかつ、
もう1歩自分で進めてみようと思って、イギリスに渡って。
で、やればやるほど、だんだんすごく魅かれていって、
最後、手製靴というものに巡り当たった時には、
「ああ、やっぱりこれって、自分が一生やっていい仕事なんだな」って、
そこでやっと発見したんです。何年もかかって。
どんな人でもそうですけれども、
「これをやっていれば、俺は一生満足なんだ」っていうその世界に、
1歩も入らずにそのことに憧れるのはナンセンスだと思います。
とにかく、まず今、自分がいる場所にちゃんといて、
そのことをちゃんと経験してみてから
次の1歩を決めるべきだと思うんですけれどもね。
それを、小説を初めから終わりまで読み終える前に
次の本に移ってるようなことをするのは
もったいないなっていう気がします。
どんなことでも、これは仕事でなくても遊びでも、
ある程度、勉強しないと面白くないんです、どんなことも。
その勉強の時期を超えないで、もう飽きちゃったからやめるというのは
つまらないことを繰り返しているなと。
一番、つまらない楽しみしか見てない一生になっちゃう。
~~~~~

そうかぁ・・・。
山口さんは、すぐに運命の仕事に出会ったわけではなくて、
一歩一歩地道に行動し、踏みしめてきた結果に、
いま運命を感じているんだわ。
誰も、最初から答えが見えるわけではない。
仕事でも、パートナーとの関係でも、趣味でも、何に対しても。
手探りである程度深めてみないと、なにもわからない。
そこで違うかなと思ったら路線変更すればいいし、
なにか匂うぞ♪と思ったら、さらに深めていけばいいのだ。

なるほど靴作りのようだ、と思った。
運命の糸は、たぐりよせるもの。
それをひと針ひと針、あきらめずに、着実に縫うことを続けていれば
誰もが、ちゃんと自分だけの「結晶」に
いつか出会えるのかもしれない。

投稿者:すみきち | 投稿時間:19:27

コメント

番組中の住吉美紀さんの表情が印象的でしたよ。
山口千尋さんの技とエネルギーで放心状態になった顔がドアップになってましたから。

投稿日時:2007年09月04日 22:48 | うっちゃん

昨晩靴好きの主人と番組を拝見いたしました。
生み出されてくる靴はとても素晴らしく見え、是非手にとってはいてみたいと思いましたし、それと同じくらい山口さん自身の考え方や仕事に対する思いが胸に響きました。
誰でもが知っていて出来ない『継続』。私たちもその先に何があるか分からなくても、目標を信じてそれに情熱を注ぎ、集中した人生を送ることが出来たらどれほど幸せだろうと思いました。
久しぶりに心が豊かになれるような番組を見ることが出来感謝です☆
ありがとうございました。

投稿日時:2007年09月05日 11:23 | 桜井

「全ての職業が楽しいはずだ!」という考えの持ち主なのですが、この番組を見ることで、ますますそれを確信しています。どの仕事も実に楽しそうで、現在私は30代後半なのですが全ての職業に就いてみたくなり非常に困っています。(笑

投稿日時:2007年09月05日 11:36 | 

靴職人の山口さんのコメントで印象深かったのは「継続する力」の重要性です。私は自分の長所を活かした仕事は何だろうと手探りしながら生きています。今の仕事を始めて数年経ちますが、自分の目指す方向と会社の求めるものが違うと分かってきました。安定した生活のため現状に安住することは簡単ですが、山口さんの番組を見てあきらめずに捜し続けようと励まされました。うまくいくときもあるし、失敗するときもある。失敗したら軌道修正すればよい。決してあきらめるな。自分に言い聞かせています。

"Keep looking. Don't settle."(Steve Jobs)

投稿日時:2007年09月05日 14:21 | ubsp

退潮ぎみの婦人団体に所属してもう30年以上。何度もやめようと思いながらここまで来て、続けてよかったと思えることが増えてきました。今回の放送の言葉を聞いてますます続けるということの大切さを教えられました。

投稿日時:2007年09月06日 02:15 | keiko

やわらかな笑顔を見せながらも、発せられる一言ひとことが重くて心と脳に響きました。安易に結果を求める自分には耳が痛い言葉ばかりでした。

投稿日時:2007年09月06日 03:43 | たーすけ

お疲れ様です。

今回の山口さんのお話、とってもとってもとっても面白かったです。
このブログに書いてあったご本人のコメントも、とってもとってもとっても深いです。
ものづくりに携わる者の心情をばっちり言葉にしていただいたような気がします。
ああ、皆に知らせたい!!
ツボでした!!!!!山口さんありがとうございました!!!

で、追伸。
そんなに靴を愛する山口さんの靴手入れ方法が伺いたいです^^

(最初に書かれていたコメントに、”すみきちさんの放心状態のアップ”が指摘されていましたね♪私もしっかり拝見。うふふ。カワイイ!ごはんの号泣に続き第二弾、ますますすみきちさんのファンで~す♪)

投稿日時:2007年09月06日 10:08 | きむら

この番組は本当に良い番組だと思います。私たち大人に対して、こういった努力をやっている人がいる、つらくても頑張り通して自分の夢というか目標に向かっているという話、理由もなく涙が出るときもあり、勇気づけられる時もあり、心が一杯になるときもあり、何か生きようという力を与えてくれる感じがしています。
また、一方、大人になることへ不安や失望を見せつつある子供たちにもよい刺激になると思います。大人社会は大変とはいえ、愚直にも一生懸命努力して自分の目標に近づいていこうとしている大人もいる。冷めた大人だけではないんだと。そういった大人がいる社会は子供にとっても勇気を与えるものではないでしょうか。

投稿日時:2007年09月06日 18:21 | 橋本

番組の大ファンで、毎回ゲストの方々の深みのある台詞に、どどーんと心を射抜かれております。
今回の山口さんの穏やかな表情から繰り出される、継続する才能についての数々の名言は一つ一つ心に深く刻まれました。
穏やかな表情のなかに、揺らぎない自信がみなぎっていてーーそれは長い間の報われない日々にも弛まず努力されて来た賜物なのでしょうーーものすごい説得力がありました。
昔、努力すれば報われると信じて努力しては、挫折し、後々まで後悔の念を抱いてきた自分を振り返り、継続するということがいかに難しい事か、継続する事を才能と考えなかった、もしくは強く信じる事が出来なかったのに過ぎないのかもしれないと感じました。

投稿日時:2007年09月06日 22:42 | 品慧

私も「お尻」の部分は、予想外!でした。ブログっていいですね。番組だと限られた時間なので、伝えられなかったことが、ブログで伝わりました。また来ます!!!

投稿日時:2007年09月07日 01:42 | ひろっち

いつも楽しみに拝見しております。
初めて拝見してから、次回の放送までドキドキしながら楽しみにしている状態。で、始まる前にはノートとペンを用意し、自分なりに心に響いたところを書き留め、後に読み返し「う~む・・・なるほど・・・やっぱり本物やなあ!」と振り返っております。
私の仕事は革の財布やバッグをパーツから組み立て、ミシンをかけ、磨いて仕上げていくという作業を毎日繰り返しています。
デザインによっては中表のものを手で一つずつひっくり返す作業があり、もう数が100個近くになる指先がちぎれそうになり、指の感覚もなくなります。
今回の山口さんの姿には及ばない自分に非常に力になり、放送以来、山口さんが大汗を流しながら、心をこめた靴作りをしていらっしゃった姿を思い出すようになりました。
自分も本物になりたいから。
ありがとうございます。
今後も、楽しませていただきます。

投稿日時:2007年09月08日 13:25 | 上野 智子

今、再放送を見たばかりです(^o^)/

住吉さん、かなり山口さんの実演に魂を惹かれてましたね。瞬きもせずに、じっーっと山口さんの手と靴の眺めているのが印象的でした。

それにしても山口さんの言葉ひとつひとつに関心しました。継続することの大事さ、チャンスを掴むための忍耐・・・敬服です。

僕も山口さんに靴を作ってもらいたくなりました。自分だけの靴を。

投稿日時:2007年09月11日 02:31 | 黒の獅子王

生きる力がわいてきました。
チャンスはいっぱい降ってきているんですね。

いつか、ありがとうございましたといいながら、山口さんの靴を買いに行きたい。

投稿日時:2007年09月11日 02:36 | 中島 純

はじめまして。
ただいま山口千尋さんの回を再放送で拝見しまして、衝動的にコメントを書いてしまいました。
住吉さんのおっしゃる通り、人に対して柔らかい優しい笑顔を絶やされない山口さんに好感を持つことができました。そして、仕事に対して妥協をされず真摯に向き合う姿に同じ職業人として勇気を持つことができました。
私は今年28歳になるSEなのですが、番組中に紹介されていました26歳の職人さんに特に感情移入しながら見ておりました。SEの世界でも日々進歩する技術をかき集めながら新しいソリューションを提案していかなければならないのですが、若輩者の私は現在そこで四苦八苦しております。番組中に出てきた、“オリジナルマークにこだわってしまう”ことや、“明日の自分を信じれるかどうか”という葛藤の中にいます。あの26歳の職人さんが自宅でデザインを考えながら、“何も思いつかないんですよね”と言ったセリフはリアリティがありました。同じところでみんなもがいてるんだなって。
山口さんのひとつひとつの言葉から勇気をもらいました。こんな人物が同じ街でがんばり続けていることを知れて、これからもがんばれそうです。
よい番組をありがとうございました。
これからもがんばってください。

投稿日時:2007年09月11日 03:01 | りーまん

継続こそが大事なんだと言う言葉に。そういうものなんだと
思いました。その言葉、胸に刻んでこれから、仕事します。

投稿日時:2007年09月11日 09:57 | 清水修一

こんにちは。大阪のコンサルです。
いつも拝見しています。

山口千尋さんの放送分、印象深かったですね。日常の経営者方にも合い通じるモノがふんだんにありましたね。支援する側として、毎日接触する多くの中小企業の経営者を思い浮かべながら【挑戦的継続】【本物のプライド】について探ってみました。面白いですね。

ご紹介したいと思います。

投稿日時:2007年09月15日 04:05 | 大阪のコンサル

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