2010年01月12日 (火)研究者 浅川智恵子さん

浅川さんたちが開発したソフトをスタジオで体験させていただく。
音声を頼りに、インターネット・サーフィンをするものだ。
わたしは、アイマスクをして、
いつも見慣れている天気予報のサイトに行ってみた。
音声だけを頼りにそのページに行くと、
ページのどこにいるのかがまったくわからなくて、驚いた。
いつも当たり前に見ている東京都の天気情報に、すぐにたどり着けない。
考えてみれば、視覚でホームページを見るときには、
全体を大づかみに見て、要らないところは適度に無視し、
視線を欲しい情報のところにすぐに飛ばしている。
ページの上の小さな文字とか、
情報の間の小さな見出しなどは、意外と読み飛ばしているのだ。
しかし、音声だと、左上の端から順番にひとつずつ読み上げるため、
全体像はもしかしたらわからないままに、
一歩一歩、情報の海を進んでいく感じである。
感覚的に慣れないと、
いつ自分の欲しい情報が出てくるかの予測はあまりつかない。
一歩一歩、新しい道を切り拓き、
「お!」という分かれ道が来たときに、右か左かを選んでいく、
そんな感じだ。
一次元の決断を、ひとつひとつしていく感覚は、
慣れないと、若干、不安をともなうことも発見した。
先になにがあるかわからないままに進むのには、
割り切りと、勇気と、希望を信じる心と、研ぎ澄まされた直感、
そんなものが必要なのではないだろうか。
それがあれば、このソフトを使って、インターネットの海を
スイスイと泳いでいけるのではないかと、大きな可能性を感じた。
 
浅川さんの生き方のお話を伺っていても、
そんなことを思った・・・

浅川さんは、思春期の、多感な頃に徐々に視力を失い、
それでも、力強く生きてこられた。
きっと、すごく辛いこともあったり、
どこにぶつけていいかわからない怒りやもどかしさを感じたり、
絶対にいろんなことがあったと思うのだ。
それでも、浅川さんは、めげずに努力と探求を続け、
「自分ができることはなんだろう?」という問いを胸に、
いまの、ITのバリアフリーの研究という場にたどり着いた。
文系の勉強をしてきたため、最初コンピュータのことはまったくわからず、
はっきり言って、その先どうなるかわからない中でも、
この研究の海に飛び込み、
一歩一歩切り開き、
道の分かれ目が来たら右や左を選びながら、進んでこられたのだ。
しかも、左右を選ぶときは、
大変なほうを選んできたそうだ。
 
「ふと振り返ったときに、ああ、自分っていつも大変なほうを選んできたなって
 思ってたんですけど。
 たとえば、コンピュータの勉強しようと思ったとき、
 もっとほかの道もいろいろ考えてたんですね。
 結果としてよくわからないほうの道を選んだんですけれども、
 やっぱり大変だったなって。
 それをやり切るためにすごく努力したし、勉強もしました。
  やると、きっと大変だからやめとこうって思いつつも、
 やめなかったんですね。
 それがよかったのかなって思ってます。
 (なぜそうできたかというと、)大変そうだけど、
 先が見えないので面白そうだなって思ったんです。
 何が次に起きるか見てみたいなっていう、興味があったのかな。
 これを乗り越えると自分にしかできない何かが見つかるかなとか、
 そんな感じだったような気がしますね。
 なので、選んだあとも常に大変で、
 よく後悔したこともあります。
 そういう意味では、割とチャレンジ精神はあるかもしれないです。
 いつもどちらかというと、つらい決断をして、
 乗り越えるために努力をする。
 それで結局どんどん道が開けてきたなというのは、
 振り返ると、よかったなという風に思ってます」
 
いや~、
浅川さんの日常に向かうバイタリティや、妥協しない研究者魂は
ほんとうにスゴイ!
 
でも、伺っていて、とっても共感した。
だって、ほんとうは誰にとっても人生は、
一寸先は闇、先に何が起こるかわからないわけで、
その中を、一歩一歩、切り拓くように歩くしかないのだ。
全体像が見えているぞ、と思う方が、間違いのような気がする。
次の分かれ道でなにを選ぶかは、誰もが問われることなのだ。
そう考えると、浅川さんのソフトも、
そして、浅川さんの生き方も、
わたしたちにとっての素晴らしいお手本なのだ、と思った。
不安を乗り越え、一歩一歩、道を歩むための。
自分にしか生きられない、人生の道を歩むための。

投稿者:すみきち | 投稿時間:18:34

コメント

番組拝見しました。
浅川さんの生き方は尊敬します。
常に難しい道を選び、困難ぶつかっても乗り越える。自分も
そんな人なりたいと思いました。

はじめてブログを拝見しましたが、すみきちさんの感性の鋭さと表現力はすごいですね。感覚に訴えるものがあります。最後まで興味深く読まさせていただきました。

投稿日時:2010年01月12日 23:39 | 通りすがり

漠然とですが、すみきちのことをかわいいと思います、本音です。

投稿日時:2010年01月13日 01:42 | 鈴木二郎

淺川智恵子さんを初めて知りました。いつにも増して衝撃的な人物・仕事ぶりでした。今朝真っ先に彼女のブログを検索。パソコンよちよち歩きの私には、やろうとしている内容についてほとんど理解できていませんが、インターネットの情報を音声化することでハンディを克服できるように、さらに開発中ということなのでしょうけれど、この世の中に淺川智恵子さんのような自然な生き方、働き方をしている人がいることに感動しました。娘さんを育てながら、これだけの実績を残し、これからも研究者を育てていくであろう淺川智恵子さんのこと、これからも注目しています。業界では有名なのでしょうが、ほとんど接点のない私によくぞ、逢わせていただきました。番組に登場させてくださったスタッフの方にもお礼を言いたくてメールしました。

投稿日時:2010年01月13日 15:54 | 平山 れい子

初めてブログを拝見させて頂きました。
僕は浅川さんの回の放送を見逃してしまったのですが、住吉さんの表現豊かな文章から伝わってくるものがありました!!
19日に再放送があるようなので必ず視聴したいと思います。

投稿日時:2010年01月13日 21:31 | かっつん

彼女のことは以前紙媒体で存じ上げてましたが、実際の彼女の映像を見て言葉では言い表せない大きな衝撃を受けました。
インタヴュー時に拝見した淡々とした言葉や落ち着いた物腰からは想像もつかないような、試練の人生経験をされてきたことを思うと、自分が直面している苦労と思われることが取るに足らないものなのだと感じてなりません。
自分に勇気と希望をくれた素晴らしいプログラムでした。
ありがとうございます!

投稿日時:2010年01月18日 00:12 | にしぐみわかめ

Page top ▲