2009年09月29日 (火)新型インフルエンザ情報、プロフェッショナル版です!

新型インフルエンザの感染者が日本でも急増し、
亡くなる方や重症者の報告も増えていますよね。
世界で感染爆発が起き、いろんなニュースなどを見て、
心配したり、疑問に思うことがあったり、という方は多いと思います。
 
そこで、プロフェッショナルでは、
新型インフルエンザ対策で世界の先頭に立つWHOの、
メディカルオフィサーでいらっしゃる進藤奈邦子さんに密着!
実は、3年前に、プロフェッショナルで
鳥インフルエンザに挑む進藤さんに密着取材していたので、
今回、あらためて取材を申し込み、異例の密着取材の了解を得たんです。
 
そして、スタジオでは、
スイスの進藤さんと回線をつないで、
直接、気になる新型インフルエンザ情報を伺いました。
第一線で対策に当たっている進藤さんに直接情報を伺えるのは、
ありがたく、心強いチャンス!
いろいろ伺いました。
ここで、いくつかご紹介しましょう!!!!!
 
まず、ウィルスそのものについては:

 
Q 今回のウイルスの特性は、つかめてきたという実感はありますか。
 
進「ウイルス自体は非常に安定していますので、
  ワクチン製作を考えていく上では非常にありがたいことですね。
  どうやら非常に安定して、このまま季節性のインフルエンザになっていく
  傾向を見せているのではないかと考えています」
 
Q VTRの中で、デンマークでタミフル耐性のウイルスが見つかったという話が
  出てきましたが、これについては心配する必要はあるんでしょうか。
 
進「今のところ、WHOに入ってきた情報では、
  そういうウィルスはウイルスは28、集められているんですが、
  全体で分析されたウイルスは4万個以上に上っていますので、
  非常にまだ稀だということが言えると思います。
  それから、季節性のインフルエンザでも
  このような現象は見られていますので、
  まだ心配するべき範囲ではないかなというふうに考えています。
  しかし、使い方を十分注意する必要があるので、
  その注意については引き続き呼びかけていく予定です。
  特に患者さんに使う場合なんですけれども、
  きちんと定められた治療量を使わなければいけない。
  そして、免疫弱者の人たちでは耐性菌が出やすい傾向にありますので、
  こういう人たちの病状を注意深く見守る必要があるし、
  耐性ウイルスが出たときのためにきちんと感染制御をする必要があるんですね。
   もう1つは、タミフルの『予防投与』なんですけれども、
  やはり普通の季節性のインフルエンザとは違って、
  人々にもともと免疫がありませんので、
  あまりたくさん予防投与に使ってしまうと、
  どうやら耐性ウイルスを誘発してしまう可能性があるということが
  わかっています。ですから、今、WHOでは、
  『早期の治療に使うこと』、これを強調しています」
 
さらに、日本にてついては、こんなお話も:
 
Q 日本では急速に感染が拡大しているわけですけれども、
  日本の状況をどのようにごらんになっていますか。
 
進「日本は世界中のほかのどの国とも違う流行パターンを見せているんですね。
  非常に早い段階でウイルスが入ってきていたのに、
  特に近畿地方で学校でたくさんアウトブレイクが起こったときに、
  一挙に学校閉鎖を広い地域で行いましたし、
  神戸祭りも延期して、
  WHOが考えているいわゆる公衆衛生学的手段というのをすべて使ったわけです。
  ですから、そのあと、本当にびっくりするほど、
  患者さんが増えなくなったんです。
  ほかの国はそのままどんどん患者さんが増え続けまして、
  その患者さんたちの特徴というのは非常に重症な若い人たちでした。
  しかし、最近の日本の亡くなった方たちの情報を見てみますと、
  ほとんどが、いわゆる季節性のインフルエンザに
  ハイリスクと言われている方たちなんですね。
  この現象はほかの国ではまだ見られていない、日本だけなんです。
  ある意味、うまく最初の第一波を抑え込んだと言えるんです。
  ただ、もうすでにインフルエンザが
  社会の隅々まで浸透してしまっているということなのかと思っています。
  公衆衛生に対する関心が日本の方は強いですし、
  健康に対する関心も強いですよね。
  それにうまく臨床医の先生方が治療薬を使って
  比較的、重症を出さずに済んできたと言えるのではないかと思います」
 
そして、わたしの周囲でも関心が高い、「マスク」について:
 
Q とても関心が高いテーマかと思うんですが、
  マスクをすることは感染の予防にどれぐらい役に立つんでしょうか。
 
進「WHOでは、特に患者さんの治療に直接あたる方については、
  マスクの使用を推進しています。
  また家族も、もし家族の中に患者さんがいるようであれば、
  直接お世話をするときに使ったほうがいいと考えています。
  けれども、特に公共の場所というか、
  例えば通勤とか、あと職場でするかどうかということになりますと、
  これはWHOとしては積極的には勧めていないんです。
  それには、根拠になるデータがないということが1つあります。
  一番大事なところでは使う必要があるけれども、
  一般的には特に勧めていません。
  一般に、公共の場所で
  インフルエンザの感染を防ぐのに役立つかどうかというと、
  それにははっきりとした根拠がないと、
  今のところは言わざるを得ませんね。
  ただし!
  冬にインフルエンザがはやるというのは非常に気候が乾燥している
  ということも1つ原因として挙げられています。
  マスクをしますと自分の吐く息を再び吸い込むことになりますので、
  加湿の効果があるということですね。
  ですから、そういう意味では、使われる意味はあるのではないかと思います」
 
さらに、いま日本で話題になっている「ワクチン」についても:
 
Q 基本的な質問になってしまいますが、
  ワクチンの効果というのはどの程度のものなのでしょうか。
 
進「実際その病気をどれぐらい防げるか、
  入院や死亡をどれぐらい防げるかというのは、
  その人口規模での最終評価を待つ必要があるんですね。
  ただ、試験管の中の実験、あるいは動物の実験、そして、人の中で、
  どれだけ抗体ができるかということ自体は、もう調べられています。
  そこでは、普通のふだんの季節性インフルエンザと同等、
  あるいは、それ以上の抗体が人の中につくられることは、
  わかっているんです。
  通常の季節性インフルエンザのワクチン効果の判定に使ってる
  データそのものでは、すべて、その有効性を示しています」

そして、最後に、日本の人たちに伝えたいことがあれば、とうかがった:
 
Q 進藤さんは、現在、日本の人たちに直接呼びかける機会がなかなかないと
  思うのですが、何か今、呼びかけておきたいことはありますか?
 
進「はい。まず、日本の人々の特徴というのは、
  時々帰国したときに思うのですけれども、
  情報に踊らされやすいというか、熱しやすく冷めやすいことです。
  まあ、報道の仕方も非常にセンセーショナルな場合が多くて、
  そういった目の前の情報に惑わされやすいというところがあると感じます。
  そうではなくて、皆さん、非常に健康に対する関心が強いのですから、
  正しい情報を自分なりに咀嚼していただいて
  判断していただきたいと思うのです。
  こういう機会にお願いしたいのは、
  公衆衛生に対する関心を持っていただくこと、
  あるいはワクチンというものが、
  どれだけ人々の健康を守っているのかということを
  再認識していただければなというふうに思います」
 
茂「さらに、人類は、ついつい文明の中で、
  自分たちが守られているというふうに慢心しがちですけれども、
  考えてみますと、いつどこでまた
  新しいウィルスが発生するかわからないわけですよね?」
 
進「そうですね。もう既に、SARSであるとか、鳥インフルエンザ、
  そして新型インフルエンザという新しい呼吸器感染症が生まれてきました。
  1970年代から考えてみますと、
  もう60以上の新しい病原体がみつかっているわけですよね。
  どんどん人類が自然の中に侵入していって、
  普段はその人間が住むべき環境でないところにまでも入り込んでいる。
  あるいは、動物たちから新しい感染症が入り込んでくる。
  例えば、家畜を大量に飼育して、
  その中で爆発的な新しいウィルスが増えていくとか、
  そういったいろいろな特殊な環境によって、
  より新しい病原体が人々の中に入りやすい。
  入ってくると、また広がりやすいという現象が
  起こってきているわけです。
  なので、引き続き、WHOでは、世界中のネットワークを通じて
  情報を集めながら監視を続けていきたいと思っています」
 
このほかにも、重症化についてなど伺いましたが、
放送でご紹介したいと思います。

今回、進藤さんに話を伺って感じたのは、
新しい病原体におびえるだけでなく、正しい情報で、
個々が「判断力」をつけることがいかに大事か、ということです。
ぜひ、お見逃しなく~!!

投稿者:すみきち | 投稿時間:19:27

コメント

拝見致しました!

以前、救命救急医松本さんのときにコメントした者です。

私も実は、日本国内で新型インフルエンザ関連の仕事に関わっておりまして、進藤さんのご活躍ぶりを拝見しておりましたら
「うんうん、そうなんですよね」
と頷けるシーンがとても多かったです。

昼夜関係なく、世界中から集まってくる情報をつぶさにチェックし
ウイルス感染の動向を追いかけて行くのはとても大変な仕事だと
身にしみて理解出来ます。

世界中でウイルス感染により苦しんでいる人たち、感染の恐怖に怯える人たちにとって
的確で解りやすい情報をぜひとも今後も提供して下さい!

少し視点やこの感染症に対するアプローチ方法は違いますが、私も進藤さんと同じ方向を向いて取り組んでおりますので
お互い頑張りましょう!

投稿日時:2009年09月30日 01:39 | J

放映時に拝見させていただき、進藤さんのように最前線で身を粉にして尽くして折られる方がいらっしゃることに、まず畏敬の念をもちました。あれから2ヶ月、すでに通常の季節性インフルエンザが流行する時期となりましたが、5月6月に起きたような異常な熱狂はおこっておりません。これは、進藤さんはじめ、新型インフルエンザにかかわる方々の水際での対策が功を奏しているため、と考えます。
 しかしながら、新型インフルエンザでの死亡者は出続けており、ワクチン接種もはじまりましたが、どうもその後の新型インフルエンザにかんする報道・情報が少なすぎるように思えてなりません。
 いたずらに不安を煽るべきではありませんが、NHKのかたがたには、今後も定期的に新型インフルエンザにかんする最新情報、最前線での取り組みにつき、特集番組を作成していっていただければと希望します。

投稿日時:2009年11月22日 23:07 | 東山 孝

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