2009年07月07日 (火)特殊メイクアップアーティスト 江川悦子さん

小学校のころ見た
映画「ゴーストバスターズ」の記憶は
鮮明に残っている。
でも、ストーリーはあまり覚えていない。
焼き付いているのは、
街を踏みつぶしながら歩き回る、巨大な「マシュマロマン」の姿だ。
大好きなマシュマロがあんなにでっかいオバケになったらこわい、けど、
ぷぷぷ、と何だか笑っちゃうおもしろさもある。
そんな風に子ども心に感じ、目がスクリーンに釘付けになった。
マシュマロマンがドロドロに溶けてしまうところは、
その迫力に、うわ~!と声が出ながらも、甘いかな、美味しいかも、なんてワクワク。
 
そのマシュマロマンの特殊メイクアップ制作チームの一員として
ハリウッドで活躍していたという、江川さん。
夫の転勤でハリウッドに引っ越し、ある日「おもしろそう」と思い立ち、
すぐに行動を起こし、特殊メイクの専門学校で学ぶ。
そのあと、本場の工房を転々としながら活躍していたというから、
強気で勝ち気、コンペティティブでバリバリの雰囲気の方かな、
と思いきや、まったく違った。
小柄で、朗らかで、かわいい女性である。
声もやわらかく、話すときの眼差しがものすごく優しい。
 
「ハリウッドでは、みんな・・・

「ハリウッドでは、みんな結構オープンな感じでしたよ。
 特殊メイクの世界に当時、女性が少なかったのもあって、珍しがられたりして、
 案外、みんな優しい人たちで大丈夫でした。
 『やっぱり日本人は手先器用だね』みたいな感じで受け入れてくれて。
 なんでも、とにかくやらせてくれましたよ」
 
なるほど・・・わたしたちは、意外と、
「ハリウッドなんて、大変に違いない。競争が激しくて厳しそうだ」
などという固定観念に縛られているのかもしれない。
江川さんのように飛び込む意志と、ためらいのなさ、そして、行動力が、
そこを乗り越えていく鍵となるのかもしれない。
 
江川さんは、今回スタジオで、
茂木さんを、
茂木さん憧れの“Eさん”(すでに他界されている、すごいお方!)に
特殊メイクによって変身させてくれた。
90分ほどかかったメイクを、わたしは真隣りで
じーーーーっと見ていたのだが、
途中、ものすごく不思議なことが起こった。
 
最初、茂木さんの顔にマスクがかぶせられると、
茂木さんの生きていた顔が、
マスクという、“生きていない”顔になった。
それから、江川さんがいろいろ丁寧に貼り付けたり、
色を調整したりなんだりとしながら、
たぶん30分くらいを過ぎたころだろう。
ある瞬間、
 “生きたEさん”が、そこに出現したのだ!!!
ほんと瞬間を境に!
 
わたしは唖然となった。
有機物→無機物→有機物。
いちど、ある種の「喪失」があり、
それから、ある種の「誕生」があったのだ!
不思議すぎた、一瞬の出来事!!!
 
その理由は、
たぶん、マスクがぴったりと肌や顔と合い、なじむ柔らかさであるため、
表情筋と共に顔がちゃんと動き、
表情が自在に作れることにあるのだと思う。
ぴったり、表情が作れるようになった瞬間、
そこに、誕生があったのだ。
そうか、表情が、「命」や「人格」をわたしたちに感じさせるのだ・・・!
ほんとうに、目の錯覚かと思うほど、驚きであった。
 
さらに、江川さんが細部にこだわり、筆を入れる毎に、
茂木さんは世界から消え、
Eさんが確かにそこに存在した。
細部が、人に命を吹き込む。
細部が、「自分」を作り上げていく。
 
茂木さんは言う。
「人は、鏡で見て、表情筋を動かすのに合わせて表情が動くことで自己を確認する。
 そして、そこに映る自分を見て『自己イメージ』を固めるんですよ。
 だから、場合によっては、鏡に映る自分のイメージに、
 行動が影響されることだってあるでしょう。
 そして、映っているものが『良い』と思えないと、
 人間は、自信を持って活動できないんですよ」
 
むむむ~!
それは、すごく思い当たる気がした。
鏡を見て、
「わたし、疲れてる?」とか
「シワが増えてる・・・?」とか
「むくんでいる・・・?」
「歳かしらねぇ・・・(涙)」とか
イヤだわ~と感じてしまうと、
社会に出て活動する自信を、極端になくすことがある。
鏡にうつる自分のイメージで、「実行力がない人」とか「体力がなさそう」とか
ひいては「魅力的ではない」とか、
自分がどんな人かの認識が確かに変わるのだ。
そして、その自己嫌悪が、その日の行動に影響を及ぼす。
 
うーむ、茂木さんの話を聞いて、
映りのよい鏡を持つことは重要だと考えてしまった・・・。
 
基。
 
つまり、発見したのは、
江川さんは、単純に表面の特殊メイクを、チョチョイとしているわけではないのだ。
たぶん、細部にこだわり、腕をつくすことで、
リアルな別の人格を鏡の前で誕生させ、
もともと俳優さんは世の中から消える。
新しい人が、内実共に誕生するのではなかろうか。
俳優さん自身も、きっとそういう気持ちになるに違いない。
「役に入り込む」と言うが、その通り、
特殊メイクという表面に覆われることで、
新しい「命」と「人格」が、俳優さんのなかで出現するのだと感じ取った。
 
有機物→無機物→有機物。
ある意味、錬金術。
無機的な物から有機的な物へと、化学変化を起こすのが、
江川さんの情熱と、手先の職人技である。
ものすごいことをしているのに、
それを、なんの気負いも感じさせず、ひょひょいとやってのけるところが、
江川さんのすごいところだと思った。
でも、ここでも、
わたしたちが、「人のイメージ」という固定観念に縛られているのかもしれない。
結局は、
江川さんのような飛び込む意志と、ためらいのなさ、そして、行動力が、
さまざまな世の中の常識の壁を乗り越えて
人生を“錬金術していく”鍵となるのかもしれない。

egawasanmakeup.JPG

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この方も、スタジオに登場・・・?!

投稿者:すみきち | 投稿時間:14:49

コメント

江川さんもファーストジャパニーズの
お一人かもしれませんね。

「人間見た目が大事」って たしかに 
ありえます。っていうか、実感する日々を送ってます。

対象に新しい生命を吹き込む江川さんの手技は
まさに神業の域に達してられる感がしますね。

今夜もお風呂上がりにビールでも飲みながら
放送を拝見するのを楽しみにしています。

最後のお写真の方も
イッツ クール!!

投稿日時:2009年07月07日 16:12 | クール ジャパニーズ

気になってました

茂木健一郎さまがアインシュタインさんに 目の表現は?
それは、どうしても茂木健一朗さまの個性が唯一メイクの後にも出てしまうと素人の私 思ってましたが

それが
テープで事前にアップ メイクアップは細部まで妥協なくスムーズに

さりげなく的確なメイクの流れは綿密に計算しつくされた結果のご披露

お顔の骨格が違う
水谷豊さまを女優さんへ 
数ミリ単位の陰影を粘土でつけてマスクを創られるスタッフの皆様
無駄のない動き 

いくら お顔が似てもトータルバランス お顔が大きくなって
撮影では やけに身体と、お顔の大きさのバランスが不自然であってはなりませんよね

水谷豊さまをトータル的に捉えた画像 とても自然なバランス
トータル的なバランス感覚が絶妙です、その全てが。

今晩も とても素晴らしい放送 ありがとうございます。

投稿日時:2009年07月07日 23:19 | TOKYO / HIDEKI

松方弘樹サンとのやりとりのところが
おもしろかった。

投稿日時:2009年07月13日 20:03 | あり

週末に録画で拝見させて頂きました。

江川悦子さんの御手は、選ばれしゴッドハンド★

変身ぶり、素晴らしい~ 御見事!

お茶目さんで慈愛あふれる科学者・茂木博士は、まさに“平成のアインシュタイン”

投稿日時:2009年07月14日 06:16 | 《緑の葉》

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