2009年04月21日 (火)武装解除 瀬谷ルミ子さん

瀬谷さんの働き方を伺って、驚いた。
だって、
DDR界の“チャーリーズ・エンジェル”
とも言えるような働きぶりなのだ!
 
現地国、国連、外務省など、さまざまな組織から
直接、名指しで要請が来る。
要請がくれば、世界中どこへでも飛んでいき、
一定期間滞在しながら、エキスパートとして活躍する。
ひとつの大機関には属さず、必要に応じて自由に動ける状態を利用し、
事が最善の方向に進むよう、その専門性を惜しみなく発揮する。
クールで、実際的で、無駄がなく、仕事は完璧にこなす。
必死さはあまり表に出さず、淡々と、しかし、きめ細かに。
灼熱の太陽が降り注ぐ砂漠地帯であろうと、
一日かけてガタガタの道を車で移動する先であろうと、
大柄の現地の軍人相手の交渉であろうと、
瀬谷さんは顔色ひとつ変えず、
映画のチャーリーズ・エンジェルズ同様、
ガツガツ!と任務を遂行していくのだ!
いやあああ、かっこいいですねぇ~。
同姓から見ても、かっこよすぎる、瀬谷さんなのである。
 
DDRとは、武装解除・動員解除・社会復帰から成り、
紛争終結後、すみやかな復興と治安回復のために、
兵士から武器を回収し、彼らを普通の生活に戻すまでの
さまざまなオペレーションのことを言う。
その「社会復帰をどう進めていくかの計画や実行」の分野で、
瀬谷さんは、多くの専門知識、実地経験、抜きんでた能力を持っているため、
その世界では有名なのだ。
 
決して生易しい世界ではない。
飄々としていて、どちらかというと静かに読書をしている雰囲気が似合いそうな
知的美人の瀬谷さんなので、一見、タフなタイプには見えないのだが、
少し話をうかがっていると、瀬谷さんの凄さに開眼してくる。
 
例えば・・・

海外で病気などにかかることは?
 
「あ、マラリアはこれまで覚えている限りでは、8回かかりましたねー。
 5日間ぐらいは薬を飲めば治るので。
 治し方がわかっているものは、あまり怖くはないんですけど」
 
え。
マ、マラリアですよね。風邪のようにお話になりますが・・・。
では、変わった食べ物を食べるはめになったことは?
 
「あ、オオトカゲみたいなやつですかね。西アフリカのコートジボワールで。
 丸焼きでしたね。
 いやあ、固くて、味がちょっと生臭かったですね。
 でも、普通にほんとに焼いただけで、塩で」
 
え。
ハ虫類系ですよね。丸焼きを想像しただけで、ヒー!ってなりそうなんですが・・・。
では、怖いめにあったことは?
 
「あぁ、銃を持った兵士に囲まれて尋問されたりですとか、
 そういったものはありますね。
 ただ、この人は銃をこちらに向けているけど、
 本当に撃つか撃たないかとか、危険かどうかというのが
 大体わかるようになってきたので、
 向けられても、絶対に撃たないだろうとかと思うと、
 気持ち的にはそんなに怖かったりはしないですね~」
 
はあ・・・。
この辺で、瀬谷さんが本当にタフで、奥底に秘めた根性があって、
強い意志と情熱を持って、武装解除の仕事にかけていることが
伝わってくる。
並の人では、瀬谷さんのような“エンジェル”にはなれないだろう。
 
では、なにが、瀬谷さんのやる気を支えているのか。
それは、昔、国連組織の一員として現場で働いていたときの、
後悔の念だ。
徹底して、やれることをすべてやりつくせなかったという、悔しさ。
 
「私が昔、アフガニスタンとかシエラレオネという国でやってきたときに、
 後悔していることがあるんです。
 兵士が社会復帰するとき、
 復帰していく先のコミュニティがちゃんとしていないといけないんですが、
 コミュニティを建て直すというところまで、やりきれなかったんです。
 国際連合とスーダン政府がやるべきという枠組みの中には、
 そこまでは、オフィシャルには入っていないんです。
 兵士に、何とか社会復帰できるようなノウハウとかスキルを
 身につけさせるというところで終わりなんですよ。
 だから、村の人たちの声を聞いてはいても、
 自分の仕事はDDRの『兵士担当』だから仕方がないと、
 ある意味、見過ごしていたところがあったんです。
 自分の中で、結局、自分が枠をつくっていた。
 自分が本当はやるべきだと思っていることをとりあえず置いといて、
 自分がいる組織が優先順位だと決めたことばかりをやっていた。
 でも、そのあと自分自身、すごくそれに対して罪悪感を覚えて、
 後悔するようなことになったのです。
 だから今、フリーランスになって大事にしているのは、
 やっぱり兵士個人個人や、
 兵士が帰る村の住民の人たちの状況もきちんと把握することです。
 枠外にやりたいことがあるんだったら、
 それを自分が選んでやればいいじゃないかと
 なんかストンと気持ちが落ちついたんですね。
 わたしは、結局、気合を入れて、
 『自分は枠の外、人々がやらないことをやりたい』と決めて、
 フリーの立場でもどんな立場でもいいからやっていくと覚悟が決まったんです」
 
自分が情熱を燃やす分野において、
自由に動ける立場で、
必要と思ったことに、いつでもまっすぐ着手できる状態をつくっておくことは、
どの仕事でも大切だ。
つまり、問題解決や人の幸せのために役立ちたい!という
熱い気持ちを持っていたとしても、
それがほんとうの意味で実行できない立場だったら、
人というのは、徐々にやる気もタフさも失ってしまうものではなかろうか。
すべきとわかっていることができないというもどかしさは、
人のやる気を食い殺す。
逆に、自分のこだわる目的達成、ミッション・クリアのために、
遺憾なく自分の力を使い切ることができる保証というのは、
きっと大きなパワーの源になるのだ。
いろんなことに打ち勝てる、気力の源泉になる。
瀬谷さんのように、フリーランスの立場で働く人が、
前人未踏の、オリジナルな業績をあげることができるのは、
まさにそんなパワーに支えられているのだろう。
 
「一生、この仕事を続けていくと思います。
ただ本当は、紛争がなくなって、
私みたいな仕事がもう要らなくなることが一番なのですよね・・・」
 
DDR界の“チャーリーズ・エンジェル”は、
クールビューティな笑みを浮かべながら、
きょうも任務達成のため、淡々と、でも確実に、情熱の炎を燃やす。

投稿者:すみきち | 投稿時間:19:09

コメント

新聞のテレビ欄にて

密着取材との ということは、仕事の流儀スタッフの皆様も危険を伴う現場にて?

番組としての流儀、半端ではないと思います。

投稿日時:2009年04月21日 20:08 | TOKYO / HIDEKI

内戦で荒廃した国/地域に赴き、その地域の現在の状況を把握し、持続的な回復への道筋をつくっていく。繰り返される【負の連鎖】を断ち切る為に。
彼女を駆り立てるものとは?一体何なのか、見届けたいと思います。

投稿日時:2009年04月21日 22:14 | marginal_utility(cost)_K

瀬谷さん、かっこいいです。ほんとかっこいいです。
自分のやってることがすごく小さく思えてきました。
これからは「やらない言い訳をしない」を実行していきたいです。

投稿日時:2009年04月21日 22:51 | nicetoss

瀬谷さんのお話、本当に良かったです。見終わって泣いてしまいました。あの限りない優しさをたたえた目。クールにベストの仕事をやり遂げる人の中には、他人に共感できる柔らかな心がハートが備わっているものなのだな、と分かりました。「プロはできない言い訳をしない」という言葉、私も胸に刻もうと思います。

投稿日時:2009年04月21日 22:59 | よう

瀬谷さんの行動力と交渉力には圧倒される迫力がある。
日本のネゴシエター能力開発センターのトレナーとして活躍してほしい。
お役所も交渉代理人として頼むだけではなく人材育成も大切ではないか。
相手を怒らせないないようにして交渉は精神的にもつらいはず。
瞬間の判断が的確なのも際立っていました。

投稿日時:2009年04月21日 23:00 | 後藤 忠夫

瀬谷氏の【原点】。
それは、弟さんの『姉を誇りに思う』。
姉弟の【深淵で結ばれている信頼】。

世界中の不幸な運命を背負った子供達が一筋の光に辿り着く為の道標をつくる事。世界が、少しずつ少しずつ、【正の連鎖】を生む社会になっていく。(少年兵に語る瀬谷氏の言葉が印象的であった。『あくまでもサポート』『自分の人生を歩んでいくのは自分自身』)

私自身、姉に救われた身であった。
病気で入退院を繰り返した私の姉、我が家を離れ一歩を踏み出した。
(物凄い寂しさを感じた反面、そのことが今はとても嬉しく思う)

(弟って、小さい頃から姉(兄)に世話して貰った記憶は忘れないものですよね、きっと。)

(もう何年も訪問していない母校のキャンパスが懐かしい記憶を蘇らせてくれた)


投稿日時:2009年04月21日 23:13 | marginal_utility(cost)_K

本当に素晴らしい方でした。
自分の身を振り返り、とても考えさせられた放送でした。

投稿日時:2009年04月21日 23:25 | かおる

とても刺激的なテーマでしたね。
番組としては異質なジャンルかも知れませんが、今後もこうした逸材のプロフェショナルを紹介してください。

瀬谷さんのBlogにも多くのコメントが寄せられていますが、調査報道とも重なるカテゴリーでの構成はこうした番組に於ける可能性というものを示されたものと思います。
瀬谷さんもBlogで書かれていますが、池田ディレクターはじめ、取材クルーも困難な環境の中で瀬谷さんの活動というものを脚色なしで伝えるというのはご苦労であったことと思います。
タフな取材活動に敬服いたします。

1月間の取材で膨大な素材があると考えられますが、ぜひ再構成するなどでもう少し長い時間枠での番組構成ができないものか、期待したいところです。
ありがとうございました。

投稿日時:2009年04月22日 08:17 | 飛べないpenguin

す、すごいです、瀬谷さん・・・。
現在オーストラリアのシドニーにいて、番組は見てないのですが、このブログ記事だけでも伝わってきます。瀬谷さんの心にある確かな思いが。
正真正銘のプロフェッショナルですね。
身が引き締まるとともに、自分の心にも火が灯った感じかじます。

投稿日時:2009年04月22日 10:36 | Sasaki_Kaz

瀬谷さんの淡々とした表情が印象に残りました ミッションは果てしなく困難なものなのに・・・・・
決しておごることなく現地の人々と交渉するその「淡々とした」様子がそのお人柄と、内に秘めたアツい想いを感じることができました

投稿日時:2009年04月22日 12:32 | ともこ

昨日の番組、おふろに入りながら聴いて、すごい人がいるんだなーと思っていました。
でも、今日あらためてすみきちさんのブログ読ませていただいて、
改めて”ワク”をとっぱらった自由と覚悟を教えてもらった気がしました。
瀬谷さんと、すみきちさんに感謝です!

投稿日時:2009年04月22日 22:31 | くじら

マイケルくんの件で会ったスーダンの警察(軍?)の幹部の面構えが衝撃的でした。
怖いと思いました。
たとえ信念や義務感があっても彼らと対等に話し合うということが自分にできるだろうかと思いました。
自分なら蛇に睨まれた蛙になってしまうと思いました。
そこが瀬谷さんの凄さの一端である気がします。
だって怖かったんだもん。夢に出るよ。

投稿日時:2009年04月23日 01:25 | 後藤章

こんにちは、初めまして。
上海に住む16歳の学生です。
番組みました。瀬谷さん、かっこいいですよね!
心底から感動しました。
プロフェッショナル本当に素敵な番組だと思います。
前々から拝見してるのですが、
色々な分野で活躍されているプロフェッショナルの方々を
特集してくれるのはとてもありがたいです。
毎回衝撃的で、私はいつも勇気をもらっています。
自分の人生というものを考えるきっかけをくれるのも
この番組です
住吉さんのインタビューワーぶりもさすがです。
相手の顔をまっすぐみて、真剣に話を聞いて、質問もお上手です!
住吉さんのそういうまっすぐでしっかりした態度が
番組をより良いものにするのだと思います。
プロフェッショナル最高です。
素敵な番組をありがとうございます、
これからも応援しています!

投稿日時:2009年04月26日 00:39 | さき

仕事終わりの深夜にも関わらず、
夜更かしをして番組を拝見しました。
こんなエネルギー、覚悟をもった方を見ると、
いったい自分は何をしているんだ?とたまに
疑問に思いますが、
ここでも出来る事は有るはずだと考え直し、
自分の仕事を考えました。
難しいと思っている仕事を難しくしているのは、
自分なんだという悟りの言葉。
深く突き刺さりました。
すばらしい放送ありがとうございました。
感謝いたします。
瀬谷さん、ありがとうございます。

投稿日時:2009年04月28日 01:41 | 匿名

生半可な気持ちでやっていける仕事ではないし、下手をすれば命がない現場。

TVを見ていて、怖かった。

瀬谷さんを通して本当のプロフェショナルを見た気がした。

人生は自分の手で変えられる。

投稿日時:2009年04月28日 15:01 | スポ

今回の放送は更にプロを見たような気がしました
テレビから見る映像と穏やかに語る瀬谷さんにほんと
びっくりでした
私もマラリヤの所は目が点に…
私が捉える尺度と考えたの違いにびっくりしました
番組内で話された言葉が凄く心に響きました
 
これからも住吉さんの語りと現場スタッフさんの取材に感謝です

投稿日時:2009年04月30日 19:22 | model15

瀬谷さんのパワーに圧倒されました。でも、見かけは清楚な方。
瀬谷さんの一言、一言から学ばせていただきました。
自分の中に枠をつくらないこと、自分の人生は自分で変えられるということ、、、勇気づけられました。励まされました。
また機会があれば、瀬谷さんのご活躍を紹介してください。

投稿日時:2009年05月04日 08:44 | 玉実

「やらない言い訳をしないこと。」 自然と涙がでました。

自分の怠惰な生活を本当にはずかしく感じました。

「アフリカで医療従事者となる!」

夢に向かって、やらない言い訳はしません!!

ありがとうございました。

投稿日時:2009年05月07日 21:43 | 太郎

毎回必ずと言っていいほど胸打たれ、わが身を省み、
自分の立ち位置でしっかりと暮らしていこう、と思うのですが

瀬谷さん、本当に参りました。

フリーランスだからできる、究極の援助。
彼女のやり方に、疑問の余地はありません。

日々の暮らしを送りつつできる支援参加、と考えるとき
(例えば寄付や署名など)
その活動や団体の信頼性が非常に気になります。

瀬谷さんとJCCPには、信頼を置いてよいのでは、と思いました。

これからもブログその他で活動を拝見し、
支援にも参加できたらと考えます。

取材・編集にかかわった皆様にも敬意を抱きます。
ぜひ、スペシャル版として、未使用に終わってしまった部分も再編成して放送していただけると嬉しいです。

投稿日時:2009年05月09日 17:36 | 匿名

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