2009年02月17日 (火)航空管制官 堀井不二夫さん

伝説では、聖徳太子は、
同時に10人もの言葉を漏らさず聞き、的確に答えを返した
と言われている。
堀井さんの話を伺っていると、そんなことを思い出す。
だって、
多数の飛行機が同時に空港に近づいている様子をレーダーで見ながら、
それぞれがどういう向きや速度で航行すればいいかを瞬時に判断し、
各機のパイロットにどんどん、的確なタイミングで指示を出すのだ!
しかも、その飛行機たちは止まっているわけではなく、
互いに9kmくらいしか離れていない中、時速600km以上で動いている!
(2分くらいで追いつく距離らしい!)
ひゃーーー!
同時に動いているものをいくつも見守り、それらを動かすなんて!
想像しただけで、身体が固まってしまう。
だって、わたしだったら、
「ええと、この飛行機は、どのくらい曲がったらいいかな?」とか
考えているうち、気づかぬ所から違う飛行機が出てきて、
どうしよう、アタフタ、アタフタ・・・なんて風になるのが目に見える。
うまく指示を出せなかったら、すごい混乱になったり、
危険な状況が起こってしまいそうではないか、
もしかして、飛行機同士がぶつかってしまうのではないか・・・などと
わたしのような素人は恐ろしいことにまで考えが及んでしまい、
足がすくむ。

しかし、実際の堀井さんは、ひじょ~~~うに・・・


落ち着いている。
しかも、楽しそうだ。

「やっぱり、管制卓の前で、自分でマイクを持つ。声を出す。
 これが仕事の中でいちばん楽しいですね」

堀井さんは、多くの指示を出す間、まったく焦る気配はなく、
低く穏やかな声で、淡々とリズミカルに指示を出す。
瞬間的に優先順位を決め、ポンポン指示を出すうちに、
レーダー画面上の飛行機が、不思議なくらい、
スムーズに一直線に並ぶ。

ちなみに、堀井さんは、
同時にいくつものことに気を配るマルチタスクのような作業が
全般的に得意だという。
例えば、なにか日常生活で突然トラブルが発生しても、
まず何をすればいいか、どこにどの順番に連絡をするか、など
ぱぱぱっと瞬時に、冷静に、頭が働くらしい。
すごーい。頼りがいがある。
パニックにならない男子はカッコイイ!
きっと、そんな頼りがいを、パイロットの人たちも感じているのだろう。

堀井さんは、仕事が楽しくて仕方がないそうだ。
定年しても、延長して現場の仕事を続けたいし、
管制卓につく仕事から離れるときは、ものすごくさみしいだろうと言う。
そんなに管制官の仕事が好きな堀井さんが、
いちばん魅力的に感じているのは、どんなところなのだろう?

「やっていて、一番おもしろいのは、
 僕たちが『ツー』と言ったら、パイロットから『カー』と返ってくるところですね。
 本当にほんのささいなことなんですけども、
 僕らの意図するところが通じた、と感じたときは嬉しいですね。
 たとえば、気象の悪いときに着陸してくる。
 飛行機は天気の悪いなか、着陸のための進入のとき、
 滑走路や、滑走路の手前のライトが見えないと降りられないという方式なんです。
 そういうときに僕らが、
 『前、降りた飛行機も言ってたけど、滑走路のライトがこの辺で見えると思うよ』
 と言ったときに、パイロットが
 『はい、やっぱりそこで見えました』
 と言ってくれたら嬉しいかな(笑)
 “ただ、しゃべる”だけじゃなくて、
 僕たちはパイロットとコミュニケーションを取っているんです。
 コミュニケーションというのは、
 そこに気持ちが入っているものなのかなという気がしています」

頼りに思ってくれているパイロットに、誠意を持って応えたい。
プロとして、応えたい。
見た目は卓に向かってひとりで仕事しているように見える堀井さんだが、
実は、チームワークを一番の醍醐味に感じながら仕事をしていたとは・・・
なんだか、胸が熱くなった。

なぜ、人間は「チームワーク」がうまくいくと嬉しいのか、
茂木さんは言う。

「人間って、ほんと社会的な動物で、
 一人ひとりの限界も、チームワークで越えられるからですね。
 人と通じ合ったときに初めてできる仕事というのがきっとあって。
 それがきっと嬉しい
んじゃないかな。
 共に作る、というんですかね」

あぁ・・・
地上に立ちながらも、堀井さんの心は、ぜったいに空を飛んでいる。
パイロットと並んで、いっしょに空を飛んでいる。
互いのプロフェッショナリズムにエールを送りながら、
共に壮大な夢を実現しているのだ。
レーダー画面をのぞく堀井さんは、飛行機ではなく、

そこに乗る人間の姿を見つめているのかもしれない。

投稿者:すみきち | 投稿時間:18:05

コメント

レーダーで羽田空港へ向かう機影は

大河の流れのごとく あまりにも自然な佇まい

それが ひとたび
指示が遅れると 緩やかな大河の流れが一変
激流のごとく機影の流れが不規則になる恐れと紙一重

時に強風 時に豪雨 

ハイテクの固まりである旅客機が究極のところ
人である
パイロットの方々、そして
管制官の皆様が協力され
自然と対峙されつつ安全運行を実現されている事実

明日、私

赤いマークの飛行機で羽田空港から北海道へ

今晩の素晴らしい番組を拝見させて頂きまして とても良かったです

航空機に対し、『貴方のことを見守っているんですよ』


管制塔 

遠くからしか眺めることが出来ない
大きなガラスだけのイメージでしたが

今晩の放送を通し 確かに そこには人がいて
それは
飛行機が いかに快適に運航できるかという一点に お心を砕かれている皆様が確かに、 そこに。

素晴らしい放送 ありがとうございます。

投稿日時:2009年02月17日 23:24 | TOKYO / HIDEKI

パニックにならない男子かっこいい!
住吉さんのその気持ちに同感です。

それと同時に管制官のお仕事は集中力が並大抵ではないというイメージがあったので、放送で住吉さんから大変ですよね、などそういう言葉が出ると
「そうそう」と、
うなずきながら見ていました。
でも堀井さんのお話を聞いたりVTRを見る限り、苦労があるのは了解していましたが楽しさや達成感が管制官をとても魅力的に感じさせました。

そもそも、集中力が要されピリピリっとしているだろう管制塔の中にテレビカメラが入れるんだぁってことが驚きだったんです。

いつも住吉さんの好奇心は見る人たちの代表で、茂木さんとお二人で作られるとってもいい雰囲気が伝わってきます。

投稿日時:2009年02月17日 23:41 | aki-

楽しく、興味深く拝見させて頂きました。
一瞬の判断が人命に係わるプレッシャーの大きな仕事を、淡々としかも楽しみながらこなすプロの顔が見れた感じがしました。
私自身も一度は目指した夢、それが航空管制官だったのでその大変さ厳しさは、ある程度理解できているつもりですが…。想像以上でしょうね。

「なにもないのが当たり前」、これを公言できるのは並大抵な事ではないでしょう。私の職場でも「凡時徹底」を心がけ取り組んでますが、当たり前のことを普通にこなす難しさを痛感してます。
そのための努力を怠らないこと、それが達成感につながり、楽しさになっていくのだと感じました。プロの仕事ってカッコいいですねぇ~。

前ブログにあった茂木先生の、”VTRを立って見てるPhoto”が管制塔のように見えて面白かったです。あのプレッシャーの様子を知れば、VTRを見ながら自ずと背筋が伸びちゃいますね。

次回の放送も楽しみにしています。

投稿日時:2009年02月17日 23:52 | M.Mori

はじめまして。本日の放送拝見しました。

堀井さんの仰っていた事、とても響きました。
それから、堀井さんの目はとても優しくて「本当に思いやりのある方なんだろうな」と画面を通して感じました。

今日の放送見れて良かったです!

投稿日時:2009年02月18日 00:45 | 手負いの子ジカちゃん

こんばんは.初めて書き込みさせてもらいます♪
プロフェッショナルいつも楽しく拝見してます。
私は、住吉さんの素直で、的確、そして分かり易いゲスト質問が
大好きです。
茂木さんとのバランスもとてもいいですね。
民放のアナウンサーはぜひ住吉さんを見習って欲しいです。

これからも応援してます。

投稿日時:2009年02月18日 00:58 | 

はじめまして。よくぞ管制官を放送してもらいました。
この放送を見た人のブログを探したところ発見しました。
住吉さんがまさかすみきちさんで出して居られるは。
 毎日空を眺めている者、また、世界で50万以上ともいわれる
エアーシュミレーターソフトファンには、垂涎ものでした。
さらに、画面にはJAL1662便の文字が出た時はおもわず拍手
しました。
さて、どの回の放送でもリーダーの情熱がよく伝わります。
今回堀井さんは毎日の仕事をノートし、日々研究されているのに、
尊敬しました。それがあの的確な判断に繋がっていると分かります。
毎日の記録これが私は続きません、ここが本当のプロとの違いでしょうか。感動しました、ありがとうございました。


投稿日時:2009年02月18日 10:08 | md90

毎回、専門性の違うプロフェショナルが登場されるので楽しみにしております。今回の管制官・堀井氏の仕事振りは部下を育てる原点がちりばめられています。意志決定とコミニュケーションの大切さは現在の日本から消え去る死語になりかけている。私もオランダ・アムステルダム・スキポール空港に着陸を待つ飛行機が等間隔で巡航しているのをホテルの上層階から眺めていました。ホテルが日系の航空会社(JL)の宿泊に指定されている為、よく操縦士、CAの方と同席(飲食)して眺めながら等間隔で待機する大切さと管制塔の楽しいやりとりを聞いていました。基礎知識があったので番組の真意が良く理解出来ました。今後のプロフェショナルがどんなヒントを発信するのか期待しています。
飲食は同席者それぞれの個人払いですので誤解の無きよう。

投稿日時:2009年02月18日 11:43 | 後藤 忠夫

毎回放送を楽しみにしております。3歳児がいるため今回も録画でしたが、普段見ることのできない世界を紹介してくださりとても感動しました。

指示を間違えると大変な事態になりかねない仕事!かなりの緊張だと思うのに、おだやかな声でパイロットの立場になって声をかける姿はすばらしかったです。

瞬時に判断できる力 わたしにも欲しい☆

投稿日時:2009年02月19日 20:59 | チョコ

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