2008年09月02日 (火)水泳コーチ 平井伯昌さん

北京オリンピック、競泳100m平泳ぎ、決勝。
生放送で見て、
泣きました、泣きました、泣きました!
レース前の姿、レース中の泳ぎ姿、
ゴール直後の振り返る姿、
レース後のインタビューでの表情・・・
すべてに、こちらはドキドキの胸が高鳴り、
目頭がカァーッと熱くなった。
歴史的瞬間を目の当たりにしているような、興奮があった。
自分の感動振りに、少し驚くほどだった。
 
ことばを発さずに、その「姿」のみで
そこまで人を感動させることができるって
あらためてスゴイことだなぁ、と実感した。
でも、その「姿」も、一昼夜で完成したものではない。
裏には、毎日の練習や精神的鍛錬がある。
コーチとの濃ゆい日々が存在する。
 
今回、そんな「濃ゆい日々」について伺えるのが楽しみだった・・・


お会いすると、平井さんは、
海岸に吹く風のような、さわやかさと明るさを持った方だった。
なにを聞いても一生懸命語ってくださるその姿に、
選手たちと向き合う情熱が垣間見える。
そして、ちょっと、カワイイ(笑)。
日本のプールは、プールサイドが1年中32~33度で暑いとおっしゃるので、
ご自分も泳いじゃおうということはないんですか?と伺うと、
 
「前は泳いでいたんですけど、
 自分の教えている選手が、最低でも日本記録を持っているので、
 その前で泳ぐと恥ずかしくてしょうがなくて・・・(笑)
 こんな人に教わっているのかと思われるので、
 泳がなくなりました。ハハハ」
 
あはは!そりゃそうだ!
プロの水泳選手の前で泳ぐなんて、緊張ですよね。
一部では「鬼のように厳しいコーチ」と言われる平井さんだそうだが、
そういうことを気にするところが、
なんだか人としてカワユイ。
 
そんな平井さんと、北島選手の出会いは、
たまたま平井さんがコーチとして教えていたスイミングセンターに、
たまたま小学生の北島さんが水泳を習いにきたこと。
小学生の時の北島選手は、
あまりしゃべらないし、泳ぎがズバ抜けて速いわけでもなかったそうだ。
しかし、北島さんが中学生のときの水泳の全国大会で:
 
「レースに行く前の顔と、
 レースに向かってゴーグルをつける前の顔を
 ずーっと僕は見てたんですね。
 そしたらふだんの穏やかな顔と、
 全然スイッチが入って切り替わっているんですね。
 ふだんのときの顔じゃなくて、
 レースに向かうときの目つきというのがですね、
 ほんとガリガリの子どもだったんですけど、
 鋭い目つきをしていて、
 なんか強そうだなと感じたんです」
 
そこからふたりでオリンピックを目指すようになったわけだ。
つまり、ほんとうに偶然の出会い。
もしも、
北島さんが別のスイミングセンターに子どもの頃行っていたり、
平井さんが別の場所で教えていたりしたら、出会っていないわけだ。
あぁ、運命はこういうところでも、
人を引き合わせているのだ!と、わたしは妙に感激した。
「縁」のふしぎ。
ふたりは、そこから地道に、地道に修練を積み、
ついに、「世界の北島」が誕生した。
 
そして、北京オリンピック。
100m決勝の裏話は、ほんとうに興味深く伺った。
例えば、平井さんは、
決勝前日は、眠れずに、夜中にインターネットなどをしていたそうだ。
やっぱりドキドキ、ソワソワしていたのだ。
そして、当日。
「勇気を持って、ゆっくり行け」(つまり、ゆったりと大きな泳ぎで)と
北島選手に話し、
レースをスタンドで見守っていた平井さんは、
まず、スタートがよかったので、ヨシ!と思い、
そのまま、いつものように50mまでのストローク数を数えたそうだ。
しかし、ターンまでのカウントが、
いつもより2つも少ない16ストロークだったので驚く。
 
「スタートを見て、よしと思って、1、2と数えていたら、
 16となったんですけど、
 『あれ、16で着いたのかな?数え間違いかな』と思ったら
 ターンに入っていったんですよ。
 そのターンがすごく勝負どころだったので、
 数え間違いかもしれないけど、そんなことはどうでもいいやと
 思っていたんですが、あとで見直したら16だったので、
 すごくびっくりしちゃったんですね。
 ここまで泳ぎが完成すると、
 これだけの少ないストロークであんなスピードが出るんだな、
 と思って。
 康介はやってきたことを100%じゃなくて120%というか、
 もっとかもしれないですけど、
 オリンピックのああいう舞台で出せる選手なので、
 僕らも驚かされることが多いし、
 ほんとにすごい選手ですよね」
 
そして、ターンをして浮き上がってきたところで、
平井さんはもう勝ったと確信したと言う。
 
「あとは、ゴールタッチするまでは見守ろうというか、
 どういうふうにして勝つのかというのを
 すごく楽しみにして。
 ですけど、すぐに掲示板を見たら、世界記録だったので、
 ほんと感無量だったですね」
 
そして、このあとの話は、
伺ううちに、こちらも胸がじーんと熱くなる。
 
~~~~~
 
住吉:レース後、初めて北島選手と対面したのは?
 
平井:康介と会ったのは、セレモニーが終わって、
    サブプールに来たところだったんです。
    僕はずっと待っていて、
    康介、どんな顔をしてくるかなと思って、
    ずっとサブプールで楽しみに待っていました。
 
住吉:どんな顔で来ましたか。
 
平井:待っているうちに僕のほうが泣いてしまって。
    ほんとにすごくうれしそうな顔をしてきて、
    第一声で、
    『先生、読みどおりでしたよ』というふうに言ってくれて、
    僕のところに金メダルをかけてくれて、
    僕は情けないほど泣いちゃって・・・。
    何でこういうふうに気が利く選手なのかなと思って。
    してもらいたいだろうと思っていることを
    パッとしてくれるんですよね。
    だから、僕はうれしくて、うれしくて。
 
住吉:平井さんは、何の涙だったんですか。
 
平井:もうほんとに、うれし涙で、
    あとは自分では気づいていないんですけど、
    やっぱり、プレッシャーだったかなと
    思うところもあるんですけど。
    ほっとしたというか、これで2個目(200m)も
    行けるなというふうに、すごく思いましたね。
    よく頑張ってくれたなという気持ちでいっぱいでした。
 
住吉:北島選手も涙を流していました。
    あれはどう受け止めましたか?
 
平井:今回も、前回のアテネのときもそうだったんですけど、
    100mは、ほんとに紙一重の差なので、
    ミスをしたほうが負けだったので、
    ほんとに自分のことを押し殺して、
    冷静に落ち着いて、
    ほんと我慢して我慢していたので・・・
    そういうものから解放されて、
    ほんとに純粋にうれしかったんじゃないのかなと思います。
    プレッシャーも、相当なものだったと思うんです。
 
~~~~~
 
北島選手のレース後の涙は、
ほんとうにいろんなことを想像させるものだった・・・。
人生が詰まっている涙は尊い。
それを、北島選手と平井さんは、あの場でわかちあったのだ。
 
平井さんが、選手と接するときに大事にしていることは、
「嘘をつかないこと」だそうだ。
正直に、本心で、人と関わり合うのは、
そう簡単なことではない。
それに、平井さんも、北島さんも、
きっと、相手にも自分自身にも、嘘をつかない生き方をしている。
その嘘のなさが、
わたしたちの心を震わせているのではないだろうか。
北島選手と平井コーチのレースのあとの涙の映像は、
永いこと、わたしの脳裏に残るであろう。

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投稿者:すみきち | 投稿時間:19:10

コメント

目の前の夕食に一口も口をつけずに
吸い込まれるように番組を見いってしまいました。
平井コーチの言葉にはそれくらいひきつけるものがあります。

投稿日時:2008年09月04日 23:20 | bach_spring

すみきち様

番組がすばらしくて再放送を探していたら
ブログを見つけました。
一言一言うなずきながら読みました。
読みながら涙がでました。
番組とともにあなたのブログにも
ありがとう。

投稿日時:2008年09月05日 11:00 | 匿名

毎回、番組を拝見した後、すみきちさんのブログを読んで
じわじわっとした感動を再現しています。

今回のブログは、冒頭の部分から私の頭の中で
番組と、オリンピックの思い出と重なり合って
涙しながら読みました。

投稿日時:2008年09月05日 18:49 | わくらく

すみきちさん・・あなたの感動はすごいね!僕と同じものを感じました。
番組での、相手を尊重した話の聞き方と興味に輝いた目が素晴らしくて、素敵です。今気になる女性です。

投稿日時:2008年09月06日 19:47 | はち

仕事から疲れきって帰宅後、食事の準備をし、息子に食べさせ、やっと洗濯物を干しながらTVをつけると、プロフェッショナルの日だった。翌朝もはやいのだけれど、とにかく食い入るように引き込まれみた。この素晴らしい宝物といえる人間関係、人と人との心の繋がり、絆に、ただただ感動。
人間関係の原点。この人だと思える人間との出逢い。お互い認めあい、より高みに向かっていく。。。。
今の時代に、最も必要な人間関係。
ブラヴォーの一言です♪
感動をありがとうございます。

投稿日時:2008年09月07日 23:37 | vcyoma8

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