学 ぶ

くろポンと学ぼう!
未来のヒットメーカーになる 【流儀1】

このドリルを印刷

どうやったら、ヒット商品を連発できるのか?プロの「流儀」を体感しながら学べる「ワークブック」です。
でも、難易度は、日本一むずかしいという声も…!?
いえいえ、お菓子をポリポリ食べながら、楽しく、未来のヒットメーカーへの道をゆきましょう!

【対象】小学5・6年生〜。商品開発、ゲーム制作、ファッションデザイナー、ユーチューバー、建築士、パティシエ、漫画家など、「ものづくり」に興味のある人向け。

くろポン
くろポン
こんにちは。僕は、くろポン。ふだんは「プロフェッショナル 仕事の流儀」という、ドキュメンタリー番組をつくっています。テレビ業界でもそこそこ長寿番組になってきたんだけど、見たことあるかな?
あなた


くろポン
夜10時25分からの番組だからね。一応、これまでに300人以上の「プロフェッショナル」を紹介してきました。野球選手のイチローさんとか、アニメーション映画監督の宮崎駿さんとか。僕たちは超一流の仕事人をプロフェッショナルと読んでいます。
くろポン
それで、ですよ。今は、「未来のプロフェッショナル」を探しています。
くろポン
10年後、20年後、どんな世界になっているかは、わからない。けれど、今の僕たちが知らないようなプロが現れて、社会を変えてくれる確信はある。そこで、未来のプロフェッショナルをどうやって探すか考えました。そしてたどりついたのが、これまでのプロたちも解くことのできなかった「超難問」に挑んでもらうことです。
くろポン
これが解けたら、世界が変わってしまうような、超難問。それを解ける人を探しているっていうわけ。
くろポン
さてここで、現役のプロに登場してもらいます。
くろポン
佐藤
こんにちは!
くろポン
こんにちは。
くろポン
紹介します。佐藤章(さとう・あきら)さん。大ヒット商品を連発してきた、「商品開発」のプロです。超売れた缶コーヒーとか、超売れたお茶とか、超売れたポテトチップスを作った人です。
くろポン
その昔、番組に出演してくれた時はサラリーマンでしたが、今は?
佐藤
スナック菓子メーカーの社長になりました。
くろポン
すごい!
くろポン
そんな佐藤さんでも解けない「超難問」って何ですか?
佐藤
コモディティ化時代のマーケティング手法が見つからないことです。
くろポン
ほとんど、言葉の意味がわかりません。。。
佐藤
ごめん、ごめん!一言でいうと、「未来のヒットの法則」です。どれも似たような商品があふれる時代に、どんなものを作ったら、世の中を元気にできるのか、ということです。これから順を追って、お話していきますね。
佐藤
ところで。
くろポン
はい。
佐藤
私の特技は、何かわかりますか?
佐藤
マンガを描くことなんです。今でもサラサラっと、アトムとか、パーマンとか、描けちゃいます。知らないか。あ、知ってる?
あなた


佐藤
実は、子どもの頃、漫画家になろうと思っていました。素晴らしい作品を描いて、多くの人に喜んでもらいたいと思って。でも、今になってみると、商品開発という仕事も、同じなんですよね。良い商品を作って、多くの人に喜んでもらうという点で。「ものづくり」という意味では同じです。
佐藤
漫画家のほかにも、ファッションデザイナー、ゲーム制作、ユーチューバー。それからパティシエとか、建築家も、ものづくりですかね。
佐藤
あなたは、ものづくりの仕事に興味はありますか?
あなた


佐藤
私が今悩んでいる「超難題」は、それらの仕事に共通する課題だと思います。だから「未来のヒットの法則」がもし解き明かせたら、どんな仕事についても大成功、間違いなしです。
佐藤
といっても、そんなに簡単に「ヒットの法則」は見つからないと思います。それどころか、そんな法則は存在しないかもしれません。だけど、私は、それを探して、毎日、一生けん命に働いているんです。私が30 年以上かけて、自分なりに考えてきたことをこれからお伝えしていきますね。
佐藤
では、まずはじめに1つ私から「ミッション」を出させてください。
くろポン
えっ、ミッション?
佐藤
お店に行って、スナック菓子を1つ買ってきてください。
くろポン
悪くないミッションですね。
佐藤
ミッションが終わったら、また会いましょう!

くろポン
僕は、乾燥したラーメンみたいなスナック菓子を買ってきました。
くろポン
それは何?
あなた



くろポン
へえ、おいしそう。
くろポン
ところで、佐藤さんから伝言なんだけど、数ある商品の中からそれを選んだ理由を考えてみてって。
くろポン
僕は・・・仕事が忙しくなると、無性にこの味が食べたくなるんだよね。でも、理由って聞かれると、きちんと言葉にしたことないなあ。おいしいからかな。いつも買ってるから、かな。
くろポン
そっちはどう?
あなた






佐藤
さあ、もぐるぞ~!
くろポン
佐藤さん、どうしたんですか?
佐藤
今から、もぐるんですよ。
くろポン
ど、どこに?
佐藤
心の奥底にです!
佐藤
トプン!
くろポン
くろポン
あ、いなくなった・・・
くろポン
僕たちももぐってみましょう!
くろポン
って言っても、心の奥底にどうやってもぐるか、わからないや。

(10分後)

佐藤
はあ〜、潜った。潜った。
佐藤
なんで急に潜ったかって?いやいや、私たち商品開発のプロは、いつも心の奥底に潜ってるんですよ。
佐藤
さっきね、くろポンは、商品を選んだ理由を「おいしいから」「いつも買ってるから」って言ってくれたよね
くろポン
はい。
佐藤
それは、水深1メートル。
佐藤
まだ浅いんだ。もっともっと、理由を掘り下げていく必要がある。
佐藤
「おいしい」と思わされる、その奥底には、何があるのか。あるいは「いつも買ってしまう」その奥底には、何があるのか。いつもは言葉にしていないものを、探り当て、言葉にする。それができるようになると、一気に「ヒットメーカー」への道がひらけると思う。
佐藤
でも、これがちょっとむずかしい。商品開発にたずさわってる社会人でも、できる人の方が少ないんじゃないかな。
くろポン
そういえば、僕もよく、心の奥底に潜ってますよ。
佐藤
なに?
くろポン
僕、結婚してるんですけど、奥さんに、言ってはいけないことを言ってしまった時です。あ〜、なんでこんなこと言ってしまったんだろう。自分バカバカ! あ〜、どうして言っちゃったのか。う〜ん、そうだ、こう思ってたのが良くなかったんだ。でも、あ〜、なぜそう思ってたんだろう。う〜ん。
くろポン
って。
佐藤
そう、そう!その感じ!
佐藤
自分の言葉や行動が誰かを傷つけてしまった時、「自問自答」するよね。確かにそれは、心の奥底に潜る経験だ。
佐藤
あの感じを思い出してみよう。
誰かに言わなきゃよかったことを言ってしまったことないかな?
その時、どんなふうに、考えたかな。
あなた






くろポン
いや〜、今思い返しても、苦い味がします。
佐藤
いっぱい悩んだ人は、いっぱい心の奥底に潜れる人なんだと思うよ。人の深みって、そういうところから生まれるんじゃないかな。
佐藤
私たちは、日頃、誰かといっぱい話をするけど、一つ一つの発言について、なぜそんな言葉を言ったのか理由を考えることってほとんどないよね。
佐藤
それと同じように、ふだん何気なくお店に入って商品を買ってるけれど、その理由を考えることってほとんどないんだよ。でも、あなたが未来のヒットメーカーになろうと思うなら、これはぜひ身につけてほしい技なんだ。

あなた










佐藤
心の中の深くに潜る。
この必殺技に名前をつけておこうと思う。
くろポン
なんですか?
佐藤
その名も・・・
佐藤
デプス!
佐藤
英語で書くと Depth。「深さ」のこと。ある人がどうしてそんな行動をとるのか深層心理を探ることを、ギョーカイでは、デプスって言ってます。
くろポン
デブ?
佐藤
デプス。
くろポン
ブス?
佐藤
デプス!
くろポン
そういえば思い出しました。僕が乾燥したラーメンのようなスナック菓子を買うとき、よく高校の受験勉強を思い出すんですよね。あの時は必死で、あのお菓子をつまみながら、頑張ってたなって。これって買う理由につながってるんですかね。
佐藤
そうかもしれない。それは、「良い思い出」や「良い感情」が味と結びついているのかもね。
佐藤
こういうところに、ヒットのチャンスが転がっていたりする。
佐藤
ある商品を通じて、「良い思い出」や「良い感情」を再現できるとしたら、それは他の商品にはない強みになるよね。買ってる人は、ただの商品を買ってるのではなくて、良い思い出や良い感情をセットで買ってるのだから。
佐藤
他にも、この味を食べると、家族だんらんを思い出すとか。この匂いをかぐと、おばあちゃんの家で遊んだ、楽しい夏を思い出すとか。

あなた










佐藤
あなたの大切な思い出や記憶を教えてくれて、ありがとう。
佐藤
それは、あなたが持っている、とっても大事なものだと私は思います。本当に好きなものがある、それって、すごいことなんです。
佐藤
私の経験から言って、自分が本当に好きなもの、と言うのが、ヒット商品の原動力なんです。
佐藤
よくここまでついてきてくれました。
くろポン
なんとか。
くろポン
途中、奥さんに言ってしまった言葉を思い出して、自己嫌悪におちいりましたけど。いまは、実家のお母さんの「もやし炒め」の味を思い出して、なんとか自分を保っているところです。
佐藤
・・・
佐藤
私はね、商品開発をずっとやってきて、一つの流儀を見つけたんです。くろポンとあなたにそれを伝えたい。
くろポン
なんと。
佐藤
いきますよ。
佐藤
とにかく、大事なのは、自分の心です。自分の心が動くかどうか。
佐藤
売れるものを作ろうとすると、どうしても、いろんなことが気になって迷う瞬間が出てきます。でも、そういう邪念は振り払う。
佐藤
自分の心は、本当にそれを良いと思っているか。それだけ。
くろポン
他の人の意見は要らないんですか?
佐藤
そういうわけじゃないんだけど、最後の最後に、自分の心に嘘をつかないことが大事。
佐藤
例えば、私が新しい「缶コーヒー」を開発したときのことです。
佐藤
私は、普通はツルツルの「缶」の表面に、デコボコの加工を施したいと会社に提案しました。
くろポン
どうしてですか?
佐藤
とても個人的な趣味なんですけど、デコボコの加工が入った金属製のライターが大好きだったんですよ。そのライターのデコボコに触れていると、なぜだか、物事を深く考えたり、ほっとリラックスできる。私はその感じが大好きだったんですね。
佐藤
その感情を缶コーヒーでも伝えたいと思って、デコボコな缶にしたいと思った。
佐藤
そしたら、そんな缶コーヒーはそれまでにないから、多くの人に反対されました。デコボコにする意味はあるのかって。
佐藤
でも。
くろポン
でも。
佐藤
「私の心は、ツルツルの缶では動かない」。そう思ったんですよ。
佐藤
だから、負けずに、これでいきたい!と主張した。主張するだけではダメで、色々なデータを作り、会社を説得しました。
佐藤
そして、その缶コーヒーは、めちゃめちゃ売れました。
くろポン
すごい。
佐藤
さて、ずいぶん自分の心と向き合ってきましたね。
くろポン
はい。
くろポン
佐藤
次は、世の中のことも見て見ましょう。
佐藤
次回までのミッションです。テレビコマーシャルをよく観察してください。食べ物を食べ終わったあと、飲み物を飲み終わったあと、なんと言っているでしょうか?

あなた










未来のヒットメーカーになる【流儀1】は、これでおしまいです。続いて挑戦する人は、子ども大学のホームページから、次に進んでくださいね。【流儀2】からは実際に商品のアイデアを作っていきますからお楽しみに!