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今、日本の森の三割が、倒木や土砂崩れなど深刻な被害に見舞われている。森の手入れには金がかかる。しかし、戦後、国策で造成された広大な人工林が、安価な輸入木材の影響で、間伐など必要な手入れもされずに放置されていることが原因だ。湯浅は知恵と工夫でコストを大幅に削減し、荒れていた故郷の森を劇的によみがえらせたことで、全国から注目を集めている。「きちんと手をかけてやれば、人工林でも天然の森と同じように、恵み豊かな森となる。人間が始めたことだから、最後まで責任を持って木々を育てなければならない」と湯浅は言う。 |

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日々、荒れた森に分け入り、再生に挑む湯浅。100年先の姿を思い描きながら、太く育つ木々を選び、その成長を阻害する周囲の木は伐採する。その選択眼は森に生きてきた湯浅ならではのものだ。地中深く根を張り、土砂崩れから森を守っている木を切り倒さないよう、地形を慎重に見極める。間伐材の運搬などに使う作業道の設置も同様だ。雨水や地下水が流れる場所に安易に道を作ると、すぐに崩れて使えなくなる。「まっすぐに行きたい所へ行くと、不自然になります。山が通してくれるところを通ってやらないと。人間の身体でも、多少切れてもすぐに治る場所があるじゃないですか。そういう所が、山にもあるんですよね」。 |

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湯浅は35歳の時に転職し、故郷の森林組合で働き始めた。だが当時は財政難で荒れた森は放置され、仕事は地元のダム工事の手伝いばかりだった。さらに現場の作業員たちは低賃金の出来高払いという、劣悪な労働条件の下で働いていた。「現場作業員たちの犠牲の上に自分たちの生活があり、しかも本来の仕事である森を守り育てる事業は一切行っていない。これでは、心が納得しない」。湯浅はわき上がってくる思いを抑えきれず、改革に乗り出した。それが、奇跡と呼ばれた故郷の森の復活劇につながっていく。今も湯浅は、自らに問い続ける。この仕事に心が納得しているかどうか。そうでなければ、前には進めない。 |