
小三治は奇をてらわない。素直に淡々と演じる |

落語家は人を笑わせる職業。しかし、小三治は無理やり人を笑わせようとするのは、本物の芸ではないと考えている。
小三治は、かつて師匠の五代目小さんから、お前の噺(はなし)は面白くないと言われ、深く悩んだ。
落語の面白さとは何かを追い求めている中で、伝説の名人、古今亭志ん生の言葉を聞く。
その言葉は「落語を面白くしようとするには、面白くしようとしないことだ。」
落語自体が持っている面白さを素直に演じることで、無理やりうけようとしない。小三治はそれ以来、本物の芸を突き詰めている。
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持病のリウマチのため、毎日大量の薬を服用する |

小三治は20年、重度のリウマチを患ってきた。激痛を鎮めるため、小三治は大量の薬を服用している。その薬は免疫を下げる作用があるため、風邪をこじらせても命に関わる。さらに68歳という年齢により体力も落ちてきた。
しかし、老いによる衰えも、重い病も、それも自らの人生経験だと小三治は語る。そしてその経験によって落語も変わってきたと感じている。
落語家になって50年、酸いも甘いもさまざまな人生経験を積んできた小三治の落語は、今なお、日々変化している。 |

自らの心を引き締めるため、ピンチの時に、この言葉をつぶやく |

小三治ほどの名人でも、時に観客の期待に押しつぶされそうになることがある。
毎年恒例となっている池袋の8月寄席。今年の猛暑の中も会場には、毎日長蛇の列ができていた。観客の期待をひしひしと感じると、「この人たちを何とか喜ばせたい、笑わせたい」という思いが頭をもたげてしまいがちになる。
しかし、うけようという気持ちは、「笑わせない芸」を目指す小三治にとって邪魔になる。
心が揺れる時、小三治は「小さく小さく」と自らにつぶやく。
芸が大げさに、派手にならないように。芸から無駄をそぎ落とすように、小三治は常に自らの気持ちと戦っている。 |