
天女の化粧では、耳にわずかな赤みが入っている
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玉三郎の細部へのこだわりは歌舞伎界でも有名だ。
例えば化粧。天女の役を演じる時、耳にほんのわずかな赤みを入れた。凝視しなければわからない微妙な違いだが、男が女を演じる「女形」という世界では、観客はわずかなほころびやミスを感じてしまうと玉三郎は考える。そのわずかな違和感で観客が舞台に没入できなくなるのが嫌だという。
どこまでも完璧を目指す。常に観客と生で向き合ってきた玉三郎のこだわりだ。 |

明日の舞台のための体のケアは、ほぼ毎日行われる |

玉三郎は、未来の目標を立てない。明日の舞台のために力のすべてを尽くす。
それは、玉三郎がいつ踊れなくなるかという不安と戦ってきたからだ。幼い時から病弱だった玉三郎は、自分の体が舞の激しい動きや重い衣装に耐えられなくなるかもしれないという危機感を常に心において生きてきた。体のケアはほぼ毎日、公演中は声の調子を保つため友人との電話も控える。一日一日を明日の舞台のためにささげる生活を続けてきた。
初舞台から50年。玉三郎は、今もその流儀とともに舞台に立ち続ける。 |

舞台稽古に素顔で臨んだ玉三郎は、冷静な心で問題点を次々に見つけ出した
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昨年11月、玉三郎は新作の稽古(けいこ)に打ち込んでいた。能を題材にした演目だ。
出演する俳優たちは日々本番の舞台に出演しながら、慣れない能の動きを身につけなければならない。初日が迫っても完璧にはそろわなかった。
本番前日、通常は全てを本番通りに準備して行う舞台稽古で、玉三郎はあえて化粧をせずに稽古を行うよう指示を出した。本番前日の高ぶりの中では見つけられない問題点を洗い出す事で、完璧を期す作戦だ。時に稽古の流れを止め、玉三郎は時間ギリギリまで修正を加える。 |