原稿を見て、すぐに意見を伝える
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日本で数少ない、フリーの漫画編集者・原作者である長崎。漫画家と本気でアイデアをぶつけあい、二人三脚でストーリーを作り上げる「陰の仕掛け人」として、企画やシナリオ制作、宣伝戦略まで「絵を描く以外すべてに関わる。
その長崎が20年以上前から付き合い続けるのが、漫画界のスーパースター・浦沢直樹だ。現在、月1回で連載をしている人気漫画「PLUTO」の打合せは、まさにふたりの魂のぶつかり合い。主人公のひとりである人間型ロボットが銃で撃たれた次の回、ストーリーをどう続けるか、アイデアの応酬が行われた。浮かび上がったのは、残された妻のロボットの悲しみを描くこと。ネームと言われる原稿の下書きや、文字の校正に至るまで、長崎は細心の注意と意欲をもって挑んだ。
その長崎が常に胸に刻むのは、漫画家と同じ「愛と覚悟」をもって作品作りに臨むこと。世界で最初に漫画を愛し、そして世界でふたりだけでも「面白い」と信じ抜く覚悟がなければ世に送ることができないと、長崎は考える |
直接会うことで、漫画への熱意を確認し合う
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「主役」である漫画家をもり立てるのが仕事という長崎。作品を作り上げる中で大切にするのは、漫画家と、作品に対する志を共有することだ。
長崎が原作者として手がけるアクション漫画「ディアスポリス」。テーマである独特のもの悲しさを強調するために、長崎は、主要キャラクターのひとりが死ぬという、大胆な展開を考えていた。しかし、問題は、一緒に組む漫画家がどう思うかだ。気乗りしないものを無理に書かせても、決してよい作品はできないと長崎は考えていた。
ある日、意見を聞くため、漫画家・すぎむらしんいちの仕事を訪れた長崎。キャラクターに対する思い入れを語るすぎむらを前に、長崎はみずからの思いを話し始めた。やがてすぎむらは、キャラクターの死ぬ場面をイメージし始め、「描きたい」と長崎に告げた。
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例え新人であっても、全力で向かい合う
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この夏、長崎は新たな挑戦を始めていた。自分の原作でデビュー前の新人に漫画を描かせ、出版社に持ち込む。通常、出版社の主催する新人賞を経て、担当編集者に育てられるのが漫画家デビューへの道だが、長崎はフリーの自分が新人を発掘することが、漫画界の間口を広げる一手になるのではないかと考えていた。
一緒に組む漫画家は、浦沢直樹のもとで10年アシスタントを務めていた坂田通。坂田の画力に見込みがあると考えた長崎は、歴史漫画の原作を坂田に提供した。何の後ろ盾もないまま出版社に持ち込むためには、他の追随を許さない高いクオリティが求められる。そこに至るまでに長崎が見極めようとしていたのは、坂田が自分に足りないものに向き合い、度重なる手直しの中で粘りきれるか。
だが、できあがった下書きを見たとき、長崎はひとつの懸念を抱いた・・。 |