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346回 2018年1月8日放送

いつだって、人生は楽しい ワイン醸造家・仲田晃司



すべてが、ワインに出る

仲田のワインは、繊細かつ優雅。こだわり抜き磨き上げた、日本人らしい「職人のワイン」と評される。ワイナリーとしては小規模だが、22か国に輸出され、世界中の星付きレストランで提供される。ブルゴーニュに単身乗り込み、ここまでの成功を収めた日本人は、いまだかつていない。
その「奇跡」とも言える歩みを支えるのは、妥協を許さない、醸造家としての姿勢にある。
ブドウの「買付」では、自ら畑に出向き、雑草をしっかり取っているか、ブドウの葉の風通しは良いかなどを細かく確認する。「選果」では、こだわって買い付けた極上のブドウを、容赦なくふるい落としていく。少しでも傷ついたり、未熟な果実が混じると、ワインの味わいを損なうからだ。
「醸造」は、仲田の真骨頂。多くの生産者が道具や機械を用いてブドウを混ぜるなか、仲田は極力、手作業にこだわる。種や皮を潰すと雑味が混じるからだ。妥協を徹底的に排するのは、そのワイン造りが一つの流儀に貫かれているからだ。それは、“すべてがワインに出る”、ということ。

「ワインっていうのは、本当に造った人を反映しているっていいますか、すごい個性が出ていると思います。すべてがワインに出ると思います。『私は最大限努力してワインを造りました』と胸を張って言いたいので、自分はできることは全部やりたいんです」。

写真日々のテイスティングを欠かさない仲田
写真仲田は手作業での醸造にこだわる
写真仲田の造る極上のワイン


いつだって、人生は楽しい

2000年の歴史を持ち、「ワインの聖地」とも称されるフランス・ブルゴーニュ。南北230キロにわたってブドウ畑が延々と続く。一見、どこも同じブドウ畑に見えるが、厳格な格付けが存在する。地層・水はけ・日当たりなど細かな条件によって畑は4段階に分けられ、そのほとんどは世襲されるため、極めて閉鎖的な土地とされる。仲田がブルゴーニュに来た当初、「日本人ごときが何をしに来たんだ」と言われ、嫌がらせも受けた。そんな時、自分に言い聞かせてきたのが、「いつだって、人生は楽しい」という言葉だ。

「人生って楽しく生きていたいじゃないですか。暗いことを考えたら、その日1日、ブルーになってしまうじゃないですか。常にポジティブに考えていると、毎日が楽しく感じられるんですね。ポジティブに考えていると、すべてがうまくいきます」。

笑顔を絶やさない、常に前向きな姿勢が、徐々にブルゴーニュの人たちの心を開いた。

写真見渡す限り一面に広がるブルゴーニュのブドウ畑
写真常に“笑顔”を絶やさない仲田
写真その年のブドウの魅力を、最大限引き出したワインを目指す


プロフェッショナルとは…画像をクリックすると動画を見ることができます。

自分の仕事をどこまで突き詰めて、いいものができるか。それを究極にやっていける人。いつまでも延々とやっていける人。そのためには、情熱なり、愛情なりを持っていないと、できないと思うんですね。

ワイン醸造家・仲田晃司