仲田のワインは、繊細かつ優雅。こだわり抜き磨き上げた、日本人らしい「職人のワイン」と評される。ワイナリーとしては小規模だが、22か国に輸出され、世界中の星付きレストランで提供される。ブルゴーニュに単身乗り込み、ここまでの成功を収めた日本人は、いまだかつていない。
その「奇跡」とも言える歩みを支えるのは、妥協を許さない、醸造家としての姿勢にある。
ブドウの「買付」では、自ら畑に出向き、雑草をしっかり取っているか、ブドウの葉の風通しは良いかなどを細かく確認する。「選果」では、こだわって買い付けた極上のブドウを、容赦なくふるい落としていく。少しでも傷ついたり、未熟な果実が混じると、ワインの味わいを損なうからだ。
「醸造」は、仲田の真骨頂。多くの生産者が道具や機械を用いてブドウを混ぜるなか、仲田は極力、手作業にこだわる。種や皮を潰すと雑味が混じるからだ。妥協を徹底的に排するのは、そのワイン造りが一つの流儀に貫かれているからだ。それは、“すべてがワインに出る”、ということ。
「ワインっていうのは、本当に造った人を反映しているっていいますか、すごい個性が出ていると思います。すべてがワインに出ると思います。『私は最大限努力してワインを造りました』と胸を張って言いたいので、自分はできることは全部やりたいんです」。