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第337回 2017年10月2日

まっすぐ稼げ!飽くなき野心 経営者・松本晃



“ただの1位”じゃない、“ダントツの1位”

スナック菓子メーカー最大手の企業が今、大躍進を続けている。その立役者が会長兼CEO・松本晃(70歳)だ。松本は、いわゆる“雇われ経営者”。停滞する業績をなんとかしてほしいと、8年前、創業家より招へいされた経営のプロだ。就任するやいなや改革を次々と断行。売上はほぼ倍、営業利益率にあたっては4倍近くにまで引き上げ、業界内外から注目を集めている。
改革のひとつの柱は、看板商品のポテトチップス。工場の稼働率を極限まで引き上げることで製造コストを圧縮。その利幅を抱え込まずに値下げに回したことで消費者の心をつかみ、市場シェアを大幅に拡大させた。
松本は、経営者として、常に抱く野心がある。

「ダントツの1等になれと。僅差じゃだめ、鼻差じゃだめ。競馬の馬は鼻差でも勝ちは勝ちね。今日で終わるという勝負だったら鼻差でも頭差でもいいわけ。しかしビジネスはずっと続いているんだから。どかーっと稼ぐ」。

写真松本は現場主義。毎週末スーパーやコンビニエンスストアに立ち寄り消費者目線に立つ。


そのシナリオに、夢はあるか

常に“ダントツの1位”を目指す松本にとって、ビジネスの仕掛け方はとても重要だという。既存のやり方にとらわれず、まずは大きな目標を立て、成功するシナリオを作るのが松本流だ。

「ビジネスっていうのは夢がないとおもしろくないでしょ?まず、ホラから始まって、『こうしたいわ』というゴールを設定しますよね。そしたら次、『どうしたらできるか』『何が工夫か』と考える。そして、ホラが夢に変わる。ドリーム・カムズ・トゥルー(夢はかなう)なんですよね」。
思わずワクワクするような、おもしろみこそ、ビジネスを成功に導く原動力だと、松本は確信している。

写真会社には会長室もなく、社員と席を並べて働く。


企みにのまれて、企てろ

経営者の仕事は、まさに決断の連続だ。

今年の5月半ば、松本は、ある中国企業との業務提携の交渉を進めていた。初めての取り引きの上、相手からは異例の条件がつけられていた。難しい判断に迫られたとき、松本がまず大切にしているのは、相手のことが好きと思うかどうかの“直感”。その直感のもと、どう動くかが経営手腕の見せどころだと考えている。

「相手は何を望んでるんだと何を企んでるんだということをやっぱりちゃんと考えてやるべきですよ。距離を置いておつきあいするんじゃなくて、一回だまされたと思っていってみる。あの人はいい人だけどわからんからって考えとってもしかたがないから、いっぺん結婚でもしてみるか、と」

まずは相手の懐に入って、手の内を確かめ、そこから自らの思う方向に導いていく-。
それが百戦錬磨の経営者・松本のやり方だ。

写真年に一度開催する社員達の表彰式。一年間の成果を盛大にたたえ、パーティー終了後も社員を労う。


正しいことを、正しくやる

経営者として判断に迫られるのは、ビジネスの交渉の場だけではない。最も厳しい決断となるのは、自社製品の事故への対応だという。
松本自身、かつて社長を務めた医療メーカーでリコールを決断し、売上げを大幅に下げるという危機を経験した。結局、製品に不備はなく、人為的なことが原因だったと後に判明するものの、一度落とした売上げは数年間回復しなかったという。しかしそれでも、そのときの判断に一点の後悔もないと、松本は話す。

「正しいことを正しくなんですよ。正しいけれども・・・って言っちゃいけない。正しいけれどもこれをやったら会社の経営が悪くなるとか、損が出るとか、そんなことを考えている暇はないと。正しいことは、正しくやっておくんだと。それが必ず将来戻ってくると。自分の考えでやってうまくいかなかったらしょうがないよね。うまくいかなかったら、自分でやめるか、クビを切られるかどっちかで。しょうがないですよね」


プロフェッショナルとは…画像をクリックすると動画を見ることができます。

一番目、圧倒的な実績。二番目、人を納得させる理論。三番目、人から尊敬される人徳。この三つです。私はまだまだです。

経営者・松本晃