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第332回 2017年8月21日

史上最強へ 自分を超えろ プロボクサー・山中慎介



ギリギリの闘いだけが自分を成長させてくれる

プロボクサー山中慎介(34)。
中学生の時にテレビで見たボクシングの試合に影響を受けボクシングを始める。
山中は、29歳で世界王者になった遅咲きのボクサーだが、権威あるアメリカのボクシング雑誌が選ぶ、現役最強ボクサーランキング“パウンド・フォー・パウンド”で、日本人ながらトップ10入りを果たしている。数多くいるチャンピオンの中で、山中の評価が世界的にも高いのは、12度の防衛(日本歴代2位)のうち8回をKO勝利という圧倒的な戦績だけが理由ではない。防衛戦の相手に、常に“強い相手”を指名してきたからだ。その強い相手を選ぶ訳は、かつて日本チャンピオン時代に経験した一戦からだ。
日本タイトルの初防衛戦、当時鳴り物入りでプロ入りしてきた岩佐亮佑と対戦。
初めて恐怖と不安を感じ懸命に自分を追い込んだ。試合も両者譲らずの打撃戦を最終ラウンド劇的な逆転TKO勝利で日本タイトルを守った。そのとき、山中が感じたことは「自分が勝って当たり前の相手、どう倒すかっていう相手だったら試合までに成長はできない。どちらが勝つかわからないっていうぎりぎりの相手と闘って、その危機感が自分を成長させる。」ということ。以来、山中はその流儀に基づき防衛を重ねてきた。

写真危機感を持って自らを追い込む


圧倒的な長所こそ、武器

山中は「神の左」と言われる強烈なストレートを武器に、戦慄のKO劇を量産してきた。ボクシングはさまざまなパンチを組み合わせコンビネーションで駆け引きを行うが、山中は左ストレートに強いこだわりを見せる。
ジム練習から、ほとんどの時間をその左に費やしている。それは長所を伸ばすことが幅を広げ、短所を補うという考えからだ。
左一辺倒に見えるが、実はタイミングや角度を変え何種類もの左ストレートを放つ。相手を欺くためにその左は奥深い。
山中のミットを長年受けている大和トレーナーはアイスピックのようだという。
山中のグローブとパンチを受けるミットには1点だけが削られている。それは急所となる相手の顎をピンポイントで打ち抜いている証拠。
長所を最大限にいかせば、逆にボクシングの幅を広げる。
山中はその磨かれた左で、日本歴代2位の連続防衛記録を築き上げた。

写真武器は「神の左」と呼ばれる左ストレート
写真対戦相手から見た「神の左」
写真徹底的に「左」を磨きあげる
写真長所の「左」の強化のために努力を惜しまない


強さを誇示するのはリングだけでいい

リングを降りた山中はどう猛さが消え、人一倍謙虚で、穏やかな性格に戻る。
「これだけ結果を出して来たので、昔ほどボクシング以外のときでもいきらなくてもよくなった。俺はやれば強いんやっていうとこを出す必要がなくなった。強さを見せるのはリング上だけでいい。」格闘家としての信念。
2人の子どもに癒されているから山中は昔より目の形が変わってきたという。
一番好きな時間は子どもと公園にいる時間。そこには、優しいパパの表情の山中慎介がいる。

写真山中の大切な時間
写真子どもと公園


プロフェッショナルとは…画像をクリックすると動画を見ることができます。

輝ける場所を自分で作れる人、輝ける場所を自分で見つけられる人。輝ける場所を作ってこられたからこそ、日々の努力を継続できました。

プロボクサー 山中慎介