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第328回 2017年6月12日

崖っぷちの向こうに、ゴールはある プロサッカー選手・岡崎慎司



泥臭くても、はい上がる

長いサッカー日本代表の歴史において、歴代3位の通算50ゴールを誇る岡崎慎司(31)。
日本サッカー界のレジェンドである釜本邦茂(同1位)、キング・カズこと三浦知良(同2位)に次ぐ屈指のフォワードだ。昨年には、所属するイングランド・プレミアリーグのレスター・シティFCで、“サッカー史上最大の奇跡”といわれるリーグ優勝の中心選手として躍動した。
そんな歴史に残る記録を積み上げてきた岡崎だが、同年代の本田圭佑や香川真司のようなスーパースターの派手さはない。その武器は、どんな形でも得点を決める“泥臭さ”だ。ゴール前に飛び込むダイビングヘッド、相手守備の隙を突いてマークを外す動き。さらには、グラウンドを走り回りFWでありながら守備もこなす献身性。
そこには、死に物狂いでピッチに立ち続けることではい上がってきたという、岡崎の自負がある。

写真気さくな人柄でいつも人気者
写真プレミアリーグの練習にカメラが入るのは異例のこと


永遠の“サッカー小僧”

小学2年生でサッカーと初めて出会った岡崎だが、サッカーと向き合う姿勢はずっと変わらない。身長も低く、足も速くなかった岡崎。子どもの頃からそのプレーは、諦めずに最後までボールを追い、ピンチの時はフォワードにも関わらず守備に全力を尽くすというものだった。
「泥臭いってよく言われるけど、それって俺は褒め言葉だと思っています。泥臭いって、カッコいいじゃないですか。」取材中に岡崎が語った言葉だ。
自分はすごい選手ではない。30歳を過ぎたいまでも、大好きなサッカーがもっと上達すると信じて、さらなる高みを目指し続ける“サッカー小僧”。その謙虚に取り組む姿勢こそが、岡崎を世界のトップで活躍する現在の位置まで押し上げた。

写真ずっと背中を追いかけた2歳上の兄・嵩弘さんと
写真仲の良いチームメイトDFフクスと動画撮影


すべてを認めて、前を向く

今シーズン、岡崎もチームも、前年の優勝がうそのような不振にあえいでいた。岡崎はこれまで何度もそうした崖っぷちに立たされてきたが、そこから逃げずに自分と向き合ってきた。
「自分に降りかかったさまざまな出来事から逃げないというのは、自分が一番大事にしてきた部分。嫌なことも経験して、それでも前を向く、前に進んでいく。」
チャレンジして失敗しても恐れない、まだその次を見たい、その先に行きたい。後退して諦めるのではなく、常に挑戦して、失敗したらそこから学べばいい。その繰り返しが自分を作ってきたと話す岡崎。この男に、「もうここが自分の限界だ」というラインは存在しない。

写真毎回の練習も常に100%の力で臨む
写真練習や試合会場の移動車中は、反省する貴重な時間だ


岡崎が考える“サッカーと家族”

岡崎はいま、単身赴任中だ。子どもの学校の関係で、妻と二人の子どもは現在イギリスの別の場所に住んでいる。レスターで始めた自炊にはまだ慣れないが、そこにはドイツ・イギリスとヨーロッパサッカーに挑戦してきた岡崎が到達した「サッカーと家族」に対する考え方がある。
「サッカー選手は、いつもどこかでプレッシャーを抱えている。その中で、いつも家族と一緒にいればお互いが気を遣ってバランスが崩れてしまう。サッカーに集中して、家族といるときは子どもたちのために全力で遊んで過ごす。そのバランスが、いまはちょうどいい。」
世界最高峰のプレミアリーグという想像を絶するプレッシャーの中で戦い続ける岡崎、愛する家族とサッカーを両立させるための流儀がここにある。

写真レスターに来て始めた自炊、得意料理は“男鍋”!
写真お気に入りの場所は、リビング真ん中の赤いソファー


プロフェッショナルとは…画像をクリックすると動画を見ることができます。

自分の失敗や現状を認められる選手や人間になりたいと思っていて成功しても前を向ける、失敗しても前を向けるっていう選手が、僕にとってのプロフェッショナルな選手だと思います

プロサッカー選手・岡崎慎司