諸外国から遅れをとり、いまだ不足が叫ばれる日本の小児集中治療室「PICU」。その中にあって植田は米国で小児集中治療と出会い、先駆けてその技術を身に着けた先駆者の一人だ。
植田は命の危機にひんする子どもを中心に1万人もの治療を行い、実に生存率98%という実績を持つ。その頭の中にはこれまでに行った治療、投与した薬剤、それに対する患者の反応など、あらゆる経験が“地図”として整理され、しまい込まれている。新たな患者と向き合い、治療を行うときは必要な地図を取り出しながら回復へ向かう道を進み、患者の反応をじっくりと観察、次々に打つ手を繰り出していく。そうする中で患者を救命へ導いていくことこそ、集中治療のパイオニア・植田の神髄だ。