スマートフォン版へ

メニューを飛ばして本文へ移動する

これまでの放送

第308回 2016年11月7日放送

道を示し、心をいざなう グラフィックデザイナー・廣村正彰



新しい体験をつくる

駅や博物館、商業施設など、あらゆる場所で私たちを目的地へ導いてくれる目印「サイン」。ひかえめかつ、わかりやすいサインが求められる中にあって、廣村の作品は異彩を放つ。
事務用品メーカーのオフィスでは「アイデアや発想力が刺激される」という狙いでミーティングルームや喫煙室に「思考」を想起させるサインを施した。
東京スカイツリー内の水族館では、海洋生物の解説をカラー写真ではなく、あえて点描のイラストで表現。そこには「生き物図鑑を巡るように館内をまわって欲しい」という思いを込めた。
そんな廣村のサインは目的地へ導くと同時に、“新たな体験”を生み出していると評される。

写真ガラス張りの会議室を外から見ると・・・
写真生き物図鑑を連想させる点描のイラスト


サイン=愛着のデザイン

小学校のプロジェクトでは「サインをきっかけに小学生たちに、この場所に愛着を持って欲しい」と考えた廣村。そこで教室の出入り口となる全面ガラスに教室のナンバーをドット模様で表現、小学生たちが楽しみながら扉を開けたり閉めたりする仕掛けを施した。
「単なる数字だったりするんだけど『ちょっと変わってるな』『おもしろいな』って。それが日々にどんどん重なっていくと自分のものになっていく。それが愛着のデザインじゃないかなと思うんですけどね。卒業した後も『ぼくはこんな学校』って言ったときに、サインのイメージが重なるとすごくいいなあと思ってるんですけどね。」

写真教室の全面ガラスに施したドットの数字
写真ガラスがすれ違うと不思議な模様を生む仕掛け


寺を、導く

この夏、廣村を頼ってきたのは400年の歴史を持つ寺の住職。今後の寺の運営を危惧し、参拝客を増やすための策として、広大な霊園内に故人への手紙をつづる施設“手紙処(てがみどころ)”をつくるという。廣村への依頼は訪れた参拝客を手紙処へといざなうだけでなく、“手紙を書く気持ち”をも高めるようなサイン。数々の施設で依頼を受けてきた廣村にとっても難題だった。廣村はどのような策を打ち、いかなるサインを生み出すのか!?

写真寺の存続を憂う住職
写真霊園の参道に“手紙処”へ導くサインを置く


プロフェッショナルとは…画像をクリックすると動画を見ることができます。

新しい体験を作れる人。おもしろさだとか、そういうのがすごく込められて、人々の、みんなの思い出の中にちゃんと出てくるようなデザインができるような人がプロフェッショナルかな。

グラフィックデザイナー 廣村正彰