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第307回 2016年10月24日放送

僕のパンは、まだおいしくなる パン職人・竹内久典



おいしかったら、なんでもええ

竹内のパンがなぜそこまで多くの人を魅了するのか。その秘密は、完全オリジナルの製法で作られる“どこにもない味”にある。たとえば、定番の食パンは、通常の倍にあたる水分を加えて生地を仕込む。極度に生地が柔らかいため、扱うだけでも相当な技術を要する上、機械での成形もできないという。手間はかかるが、その分、もっちりとした食べ応えとのどごしの良さを実現した。人気のメロンパンも型破りだ。通常1時間程度、高温で生地を発酵させるが、竹内は自家製の天然酵母を使うため高温で15時間発酵させる。これで驚くほどの軽さと独特の味わいが生まれた。
伝統の技法もセオリーも無視し、時に邪道とまでいわれる竹内のパン作り。しかし、追求するのはあくまでもおいしいかどうかだと、言い切る。

「製法なんて関係ないんですよね、結果おいしくなったらなにやってもええんやっちゅう。どんだけこだわってやってもおいしくなかったらなんの意味もないわけじゃないですか。それやったら手を抜いておいしいっていわれるんやったら手抜くし。もう思いっきり時間かけておいしくなるんやったら思いっきり時間かけるし。おいしかったらもう、いいんですよね。」

写真パンによって石窯と薪(まき)窯を使い分けて焼き上げる。
写真人気のメロンパン(上)と、オリーブをふんだんに包んだオリーブパン(下)
写真


まだ絶対、おいしくなる

毎月、パンのメニューを一新することを自らに課している竹内。そのため、日々試作に追われている。また、販売を始めたパンであっても、少しずつ改良を加えているという。決して販売に到達していないパンを出しているわけではない。十分においしいと自負はあるものの、竹内はさらなる高みを目指す。それは、自らが生み出す全てのパンに対して、一つの確信があるからだという。
「まだ、おいしくなるんですよ。絶対。最後は本当感動してもらえるもんができるんちゃうかなっていうね。絶対なるんすよね。そうなるまでがんばるから。パンなんてどこでも売ってるわけじゃないですか。これで完成やと思ったら、もうそれで終わりじゃないですか。」

パンは、いつでも誰でもどこででも手に入る。その中で、自らのパンを欲してくれるという客に、想像以上のパンを食べてもらえなければ意味が無いというのが竹内の考え。そのために日々、“どこにもないパン”だけを追い求めて作り続ける。

写真毎日微妙な改良を重ねてさらなるおいしさを求め続ける。


プロフェッショナルとは…画像をクリックすると動画を見ることができます。

どこにもない、自分にしかできないものを生み出し続け、それをさらに日々進化させ続けられる人がプロフェッショナルだと思います

パン職人 竹内久典