名古屋港から運ばれる自動車は、専用の船に乗せられ海外や国内に届けられる。年間輸出量は、海外だけでも、年間130万台以上をほこる。
そしてそこには、大量の車を船に積み込む専門のプロがいる。
40名以上のドライバーたちを指示するのが、近藤賢二(46)。「ハッチ ボースン」と呼ばれる、いわば船内作業のボスだ。言葉を使わず、手のサインと笛だけでさまざまな車を船内に誘導し、傷ひとつ付けず、隙間なく積み込んでいく。その数、1,000台以上。次々と流れてくる車の車種、大きさ、そしてドライバーの力量を見極め、積み込む場所を、瞬時に判断していかなければならない。
どんな不測の事態が起ころうとも、時間内に確実に終わらせなければいけないこの仕事の極意を、近藤は「川の流れのように、はやいところははやく、ゆっくりなところはゆっくりと。一台が止まってしまうと後ろが全て止まってしまうので、必ず動いている状態」にするのがよいと表現した。