次々と独創的なヒットツアーを生み出すバス旅行プランナー江沢。彼のもとにはさまざまな業界から、企画が持ち込まれてくる。だが、そのままバスツアーとして商品化をすることはない。江沢は企画を考えるとき、“客の期待を超える”ことを徹底的にこだわるからだ。ヒット作の1つ「工場夜景を巡るツアー」では迫力ある光景を見せるため、海上から工場群までの接近ルートを徹底的に洗い出した。寒い冬場、客足が遠のくという弱点があったオープンバスでは、あえて若いカップルをターゲットにした。「恋するラブバス」と銘打ち、「寒さに肩寄せ合う恋人たち」というストーリーを展開してヒット商品となった。
ことし6月、新たに江沢のもとに持ち込まれたのは相撲部屋の朝稽古見学ツアー。充分に魅力的な内容だったが、江沢が客の期待を超えるために提案したのは、朝稽古の見学後、午後の時間を力士と一緒に過ごすという「どすこい!はとバスツアー(仮)」。実現する難しさをいとわず、より魅力的なツアーを目指すことに、江沢の企画するツアーの、ヒットのヒミツが隠されている。