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これまでの放送

第266回 2015年6月1日放送

心を込めて、当たり前の日常を ビル清掃・新津春子



清掃の、「職人」であれ

2013・2014年と、2年連続で「清潔な空港」世界一に選ばれた羽田空港。
その栄光を陰で支えたのは、羽田ひとすじ20年、汚れを見つけるとなぜか笑顔になる一人の清掃員。清掃技能選手権でも最年少で“日本一”に輝いた、新津春子だ。その技術はまさに職人技。80種類以上の洗剤を駆使し、あらゆる困難な汚れを素早く、どこまでも細やかに落としていく。その時、新津は常にひとつのことを自らに言い聞かせるという。
「自分の仕事を職人の仕事ですって思ってるの。清掃を超えた職人の仕事。だから、できないって悔しいじゃない?」
清掃の「職人」として、新津はどこまでも奥深く、清掃の仕事を突き詰めていく。

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清掃は、「やさしさ」

新津の清掃は、単に表面の汚れを落とすだけではない。目に見えない部分に気を配ることこそ、真骨頂だ。たとえば、トイレで洗った手を乾かす乾燥機。放置しておくと排水口に雑菌が繁殖し悪臭となる。そこで新津は、専用ブラシをメーカーと共同で開発、1センチ幅の排水溝を徹底して清掃する。さらに一見きれいに見える床にも目をこらし、かすかに舞うホコリも絶対にゆるがせにしない。赤ちゃんやアレルギーを持つ人への影響を考えてのことだ。
使う人を常に思いやり清掃に向き合う新津には、何より大事にしている信念がある。
「“やさしい気持ち”で清掃してます。心を込めないときれいにできない。どこまでできるかを常に考えることが、やさしさです。お客様さえ喜んでくれれば、それでいいんです」。

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清掃こそ、私の居場所

いま、羽田空港で働く清掃員・500人のトップとして多忙な日々を送っている新津。だが、そこまでの道のりは厳しい逆境の連続だった。生まれは中国・瀋陽、父は第二次世界大戦のとき、旧満州に取り残された日本人残留孤児、母は中国人だった。新津は、生まれ育った中国でも、そして17歳で渡った日本でも、壮絶ないじめを経験したという。「自分はいったい何者なのか」という悩みを抱えながら、唯一雇ってもらえた清掃の仕事に、朝も夜も明け暮れてきた。
腕を磨き続けて10年。清掃の技能選手権で日本一に輝いたころ、新津にはある気づきがあった。清掃で本当に大切なのは技術ではない。使う人を思いやる“心”がないと、本当に気持ちよくその場を使ってもらえないのだ。そして心を込めて清掃し、行き交う人々から「ご苦労様」「きれいですね」と声をかけられるようになったとき、ようやくひとつの思いをかみしめた。この清掃という仕事こそが、ずっと探していた自らの居場所だと。
日本にきて、27年。清掃が自らの居場所である限り、新津の歩みは決してとまらない。

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プロフェッショナルとは…画像をクリックすると動画を見ることができます。

目標を持って日々努力し、どんな仕事でも、心をこめてできる人だと思います。

ビル清掃 新津春子


The Professional's Skills(プロフェッショナルの技)

羽田空港だけでなく、長年、一般家庭の清掃もてがけてきた新津さん。
そこで番組では、すぐに活用できる「家庭の掃除術」を教えてもらった。


1.風呂場のタイルのカビ

皮脂や角質が原因の、風呂場のカビ。

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秘密兵器は、料理に使う「酢」。殺菌作用があるため、ある程度のカビなら簡単に落とせるという。

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水:酢をおよそ3:1~4:1の割合で混ぜ、霧吹きで汚れに吹きかけて、10分ほどつけ置き。

写真※水と酢の割合は、汚れの具合によって多少変わります。


その際、ティッシュをかぶせ、その上から吹きかけると、酢が流れていかずに効果的なのだそう。
最後に水で流すだけ。

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2.蛇口や鏡にできる、うろこ状の曇り

なかなか落ちない蛇口や鏡のうろこ状の汚れ。でも新津さんにかかれば新品同様に生まれ変わる。

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使うのは、研磨剤入りの柔らかいパットと、食器洗い用の洗剤。

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洗剤を軽く蛇口になじませ、パットでなでていく。力を入れすぎると金属表面をいためるので要注意。

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最後に、研磨剤入りの洗剤で軽く洗うと、よりピカピカに仕上がる。

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3.キッチンの油汚れ

キッチンのしつこい油汚れにお困りの場合は、つけ置きが効果的。

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油汚れに効くアルカリ洗剤を、およそ70度のお湯と混ぜ、その中に五徳(ごとく)やレンジフードなど、油で汚れた部分をつける。時間はさまざまだが、レンジフードの固まった油などは、30分ほどは必要だ。

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表面の油が白くなってきたら汚れが落とせるサイン。

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隅の汚れは「お箸」などでこすって洗うとよく取れる。

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