平成27年の初場所で、歴代最多優勝記録を塗り替えた白鵬。横綱になってからの勝率は実に9割。その圧倒的な強さの秘密はどこにあるのだろうか。白鵬が得意とする型は左上手をとる「右四つ」。そこからの寄りや、上手投げが盤石の流れだ。だが白鵬の真の強さは得意の体勢になれなかったときの変幻自在ぶりにある。相手の出方にあわせて多彩な技を瞬時に繰り出す。それを可能にするのはあらゆる状況を想定した稽古だ。対戦相手のひとりひとりをビデオで研究し、取組のイメージを練り上げる。その上で、若手を相手に、あらゆる取り口で繰り返し稽古を行っていく。そうした地道な稽古の積み重ねの先にこそ勝利があると白鵬は確信している。「型を持って、型にこだわらない。勝負師というのはあらゆる手を使って勝ちに行くというのが大事ですよね。もし、ひとつでも足りなければ優勝を手にすることはできないと思うね。」