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第255回 2015年2月9日放送

世界初のビル解体、仲間と共に乗り越えろ 技術開発者・市原英樹



現場は、宝の山

大手ゼネコンの大成建設で超高層ビル解体の技術開発を指揮する市原。市原たちの技術は屋上をフタとみたてて閉鎖された空間を作り、その中で解体することで周囲に騒音を漏らさず、粉塵(ふんじん)も90%カットするという斬新なものだ。その技術は「最後さえも美しい」と世界から評され「日本ものづくり大賞」をはじめとしたさまざまな技術賞を総なめにした。その開発の裏には知られざる技術者たちの苦労や創意工夫が溢(あふ)れている。解体工事の現場では計画段階では分からなかったさまざまな課題が数多く現れる。そのひとつひとつを自分の目で確認し、対応していくことによって市原は新たな技術を生み出すためのヒントを手にしていく。技術開発が仕事の市原は、本来現場にいる必要は全くない。それでも毎日現場におもむくのは現場にこそ開発の手がかりとなる「宝」があると信じているからだ。―「ただ腕を組んで見てるだけではおもしろくない」―そこには技術開発者としてのこだわりと信念を貫く姿があった。

写真気さくな市原は会社きってのムードメーカー
写真現場で発生する課題に常に目を光らせる


ともに乗り越えた先に成長がある

過密なスケジュールの解体現場では、作業を安全に滞りなく進めることが最優先される。しかし、未知の技術開発の現場では、しばしば予期せぬ課題にぶつかる。この日、防音パネルを取り付けた足場が重量オーバーによってクレーンで持ち上がらない事態が発生した。ひとつの行程の遅れはプロジェクト全体に大きな影響を及ぼす。市原は、足場の担当者だけに解決を求めず、みずから一緒になって考える。そうして仲間とともに課題を乗り越えた先に、喜びや人としての成長があるという。市原は若い世代がそうした経験を積むことによって技術を継承し、さらに発展させていってくれると信じている。

写真常に現場の人間と向き合い、その声に耳を傾ける市原


仲間とともに前を向く

市原たちの技術はまだ発展途上。特にコストが大きな課題だ。市原たちがコストダウンの切り札として開発に力を入れてきたのが“新型ジャッキシステム”。解体するビルの柱を有効利用することでより安価なシステムを構築した。だが、それはあくまで机上の話、実際の現場で安全に滞りなく運用できるかはやってみなければ分からない。ただでさえ危険の伴う現場に、一層の緊張が走る。いよいよ新システムを試す日がやってきた。だが予期せぬトラブルが次々と現場を襲う。現場の空気が張りつめるなか、それでも市原は弱音ひとつ漏らさず目の前の課題と向き合う姿勢を貫く。あらゆるトラブルの矢面に立ち、仲間がそれぞれの仕事に集中できるように気を配る。工事の延期が決まり気落ちした仲間に市原は明日も頑張ろうと声をかける。見果てぬ技術を生み出すのは、いばらの道。だが、仲間とともに前を向けば必ず道は開ける。

写真夢の技術を仲間とともに追い求める


プロフェッショナルとは…画像をクリックすると動画を見ることができます。

無の状態から種を作り、技術の種を作り、そして華を咲かせて枝葉をいっぱい伸ばしていく、そんな技術の幹を作る人がプロフェッショナルだと思うんですけどね。

技術開発者 市原英樹


The Professional's Skills(プロフェッショナルの技)

戦後の高層ビル建設ラッシュから40年、耐震性や老朽化の問題で高層ビルは解体ラッシュを迎えつつある。そんな中で、市原は解体につきものの騒音や粉塵の問題を解決する新しい技術を生み出してきた。
市原は言う「技術はひとりではなく、みんなで作るものだ」。そんな市原の真骨頂は“人を巻き込む力”にある。
これまでにない新しい技術を作るために、市原は部署の垣根を越えてあらゆる人間の知恵を集める。「一緒におもしろいことをしましょう」を合い言葉に、予算や特許の会議など、一見技術開発とは無縁に思える場所でも前のめりに参加者にアイデアを求める。そんな市原の熱にほだされ、周囲の人間はいつのまにか開発の渦に巻き込まれて行く。世界を驚嘆させた市原たちの技術には、技術者たちの新しいものを作り出す喜びに満ちあふれている。

写真多くの仲間とともにサラリーマン技術者としての証しを残す
写真妻特製の「おかずおにぎり」が多忙な市原の胃袋を支える