おなかの赤ちゃんの成長がなかなか進まなかったり、へその緒がねじれていたり、さらには、流産や早産の危険を抱えるなど高いリスクを抱える妊婦が、川鰭の病院には数多くやってくる。出産まで予断を許さない”ハイリスク出産”が、実に9割を占める。
そうした妊婦や赤ちゃんたちと30年以上向き合い続けてきた川鰭の最大の武器は、診断の技術。たっぷりと時間をとって丁寧に超音波診断を行い、赤ちゃんのわずかな変化を見つけ出していく。さらには、MRIなどの先端機器を先駆的に取り入れ、その診断技術は世界にも知られている。川鰭が診察の際に心がけるのは、ただ問題を発見するだけではなく、希望を見つけ出すことだ。
「おなかの赤ちゃんの問題が分かると、母親は自分を責めてしまう。あまりにも重いものを背負わされると全く希望がなくなってしまう。問題点は問題点としてきちんとお話はするけれども、何の希望もない話にだけはしてはいけないと思っている。だから、その分、きちんと診断ができる技術を持った僕らがあえて背負っていく。」