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これまでの放送

第217回 2013年11月25日放送

世界をもっと、心地よく デザイナー・佐藤オオキ



“ありそうでなかった”を形にする

常に250もの案件を抱えている佐藤。家具、ファッションブランド、そしてパン屋の店舗デザインなど、仕事の依頼はあらゆるジャンルの会社から舞い込んでくる。そのデザインの特徴は、「ありそうでなかった」ものを形にしてみせるところにある。「なんで今まで気付かなかったんだろう?」、「どうして今までなかったのだろう」と思わせるようなデザイン。常識の盲点を突き、客にも企業にも気づきを与えるのが、佐藤の仕事の真骨頂だ。
佐藤は、「ありそうっていうところがミソかなと思っていて。そうそう、こういうのが欲しかったんだよねっていうふうに思えるか思えないかっていうのはデザインの価値の分岐点かなって思う」と語った。

写真カラフルが当たり前の地球儀をあえて白黒に
インテリアとして販路を広げることに成功した

写真バッグのアイデア
持ち手や形状など、常識にとらわれずに考え抜く


子どものまなざしで見る

佐藤がアイデアを考えるとき、大切にしているのが「子どものようなまなざしで見る」ことだ。知識や経験が増えるほど、「・・・という理由で、こうあるのが当たり前」と考えてしまいがちだ。だが解決策は、いつも1つではない。佐藤は子どもの視点に立ち返ることで、自由奔放に可能性を見いだしていく。
「本当に素人というか、子どものようなまなざしで物事を見て物事を捉える。そのために常に頭をリセットしているというか、既成概念ってものを、常にこう取り除き続けている感覚。」

写真店舗の混雑感をどう解消するか?空間デザインだけでなく、注文に不思議なカードを使う、目からウロコの方法を提案した


人を幸せにするのが、デザイン

世界20か国を超える企業からオファーが舞い込み、1年の半分近く海外を飛び回っている佐藤。膨大な仕事量を抱える佐藤だが、時間が許すかぎりギリギリまで依頼を引き受けることを信条にしている。
プレゼンでも、相手が依頼してきたものを形にするだけでなく、それ以上の内容や量を提示する。佐藤を支えているのは、「人を幸せにするのが、デザイン」という言葉だ。
「デザインの持つ力に限りはあるけれど、自分に期待されているのであれば、それはすべて答えていきたい。頑張ってジャンプして、10センチしか跳べないっていうクライアントがいて、なんとしても11センチ跳ぼうとしているという姿を目の当たりにすると、なんとか15センチとか20センチ、場合によっては30センチくらい跳ばせてあげることが出来ないかなって思うのが自分の原動力です。」

写真海外出張中
ホテルに戻ってもアイデアを考え続ける佐藤。寝るのはいつも明け方だ


プロフェッショナルとは…画像をクリックすると動画を見ることができます。

常にまっさらな気持ちというか、子どものような視点で物事を見て捉える。プロであればあるほど、自分がプロであることを捨てられるかどうかというのが大事なんじゃないかという気がします。

デザイナー 佐藤オオキ


放送されなかった流儀

問題は、必ず起こる

佐藤の仕事はとにかく早い。通常、プレゼンテーションまで1か月かかるような案件でも、3日でプレゼンにこぎ着ける。長時間をかけてこん身のデザインを練る方法もあるが、佐藤はそれをよしとしない。
必ずどこかで問題が起こると考え、早く提案し、依頼先から修正点や課題を聞き出す。何度もトライ&エラーを重ねることで、依頼先の希望に添ったデザインを作り上げる。それが佐藤のスタイルだ。
「問題って必ず起きるので、いかにして早めにうみを出してしまうか。時間をかければいいものができるっていうわけでもないと思うんですよね。」

写真問題が起こることを想定し、短期間でアイデアを練る佐藤