浅野の野菜は、その味の確かさから、国内外の多くのシェフから愛されている。
“厨房のピカソ”の異名をとる三ツ星フレンチシェフ、ピエール・ガニェール氏も心酔するひとりだ。
極上の味が生まれる秘密、それは浅野が50年地道に続けてきた畑作りにある。
浅野は化学肥料や有機肥料を最低限しか用いず、畑を徹底的にやせさせる。そして日本の土壌では不足しがちなミネラル分を、かき殻で補うことで、野菜本来の味を引き出していく。さらに、野菜を植える前に畑に麦わらを混ぜ込む作業を、丹念に何度も繰り返して土中の微生物を増やし、土を柔らかくする。すると野菜自身が根を遠く深く伸ばすことができ、自らの力で養分を探し出して取り込む力が引き出され、しっかりとした味の野菜に育つという。
野菜を大きく太らせたり収量を上げたりすることを目標とせず、野菜自らの「生きようとする力」を引き出すことに特化する。それが、浅野が半世紀にわたって続けてきた地道な野菜作りの本質だ。