本田は病院の勤務医だが、山谷の患者への往診を何よりも大切にしている。患者の生活空間を直接訪ねることで、その「本当の顔」に出会うことが出来るという。患者の暮らし、家庭的な背景、地域の人々との関係、職歴、趣味、弱さ・・・そうしたことを重層的に把握し、その人の「生き方」を推しはかっていく。そして、その生き方に沿うために、医師として何ができるのかを考える。
「生活背景を知った上で本人の希望をきいて、というところでは余計悩ましくなっちゃうところがあるかもしれないですね。」とは本田の弁。それでも本田は、その人の生き方に出来る限り尽くすことを、医師として大切にしている。