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第203回 2013年6月3日放送

惚(ほ)れた仕事は、愛し抜け 包装管理士・岡崎義和



包装は“ゴミ”だ

包装管理士は包装の工程全般を取り仕切る専門職。大手住宅設備機器メーカーに勤務する岡崎は、包装の設計を30年間担当してきた。多くの企業は段ボールメーカーに包装の設計を依頼する中、岡崎はあえて自前で設計を行い、最適な包装を追求している。 岡崎が包装の設計で常に念頭に置くのは、包装は客の手元に届いた途端に“ゴミ”になるということ。そのため、包装にかけるものは技術だけでよいと考えている。岡崎は包装の設計に際しては極限まで無駄を省き、少ない材料で包装を作ることにこだわる。毎年改良に次ぐ改良を包装に加えた結果、10年あまりで17億円のコストダウンに成功した。その成果から、岡崎は「会社の宝」と呼ばれている。

写真大がかりな試験機器を使用し、包装の無駄を極限まで省く


始まりは、階段の下だった

国内外の工場で包装の改革を手がけている岡崎だが、これまでの道のりは波瀾万丈だった。若き日は手のつけられない不良社員。ある上司との出会いで仕事に前向きになったが、30を前にして出会ったのが包装の設計という仕事だった。当時、包装の設計は製品の設計のついでと捉えられ、階段の下の物置用のスペースが設計室としてあてがわれていた。包装が置かれている立場を自らの境遇と重ね合わせたという岡崎は奮起し、がむしゃらに包装を学び、成長していった。だがその後、畑違いの営業へ異動となり、包装の世界から離れる決意を固めた。
半年後、営業に走り回る岡崎にある1本の電話が入った。電話の主は、社内を代表する技術者、小林博志。聞けば、温水洗浄便座の包装を改革してほしいという。「お前に3年やる。好きにしろ。」この言葉により、岡崎は包装の道に戻り、さらなる飛躍を遂げていく。

写真若き日の岡崎 包装とともに成長していった


集大成の包装に、挑む

2月、定年を控えた岡崎は、これまでに経験したことのない、新しい包装の開発に挑んでいた。それは、最低限のクッションで製品を守り、わずかな調整で形状の異なる製品を包むことができる、次世代の包装だ。実行部隊をとりまとめるのは、部下の廣松隆明。岡崎はこの開発を通じ、まだ認知度が低い包装の仕事に、誇りと自信を持ってもらいたいと考えていた。岡崎の持てる技術をすべて注ぎ込んだ包装の開発が、佳境を迎えようとしていた。

写真鍛え上げた部下とともに、次世代の包装に挑む


プロフェッショナルとは…画像をクリックすると動画を見ることができます。

妥協しない。物事を開発する上で、妥協したらそこは、それでもう終わってしまうんで、妥協しない気持ちだと思いますね。妥協しなくて、次からいいものいいものっていう形でやっていけば、本当にプロフェッショナルができるんじゃないんですか。

包装管理士 岡崎義和


プロフェッショナルのこだわり

“仕切り材”に込められた組み立て時間削減の工夫

岡崎は包装の材料費だけでなく、組み立て時間の無駄を省くことにも徹底して工夫を凝らす。特にこだわっているのは、製品を衝撃から守るための“仕切り材”だ。仕切り材の部品には、折りやすくするための折り目や、段ボールを薄皮1枚残した半切りの加工を無数に施し、1秒でも早く組み立てられることを目指している。岡崎の理想とする仕切り材は“飛び出す絵本”。一枚の平面から瞬時に立体が生まれる設計を目指している。

写真作業時間もコストと考え、組み立てやすさにこだわる