農林漁業と地方に関する仕事ばかりを引き受け、次々とヒット商品を生み出す梅原。そのデザインの第一歩は、そのモノの本当の価値に目を向け、可能性を見いだすことから始まる。
生産者や地方の人々は、「頑張っても頑張っても、売れない」と自らの作るモノに自信を失っていることも少なくない。だが梅原は、「ないものねだりをせず、足もとに眠っている地域の“宝”に目を向けることが、衰退する一次産業や地方の再生にもつながる」と考えている。
農林漁業と地方に関する仕事ばかりを引き受け、次々とヒット商品を生み出す梅原。そのデザインの第一歩は、そのモノの本当の価値に目を向け、可能性を見いだすことから始まる。
生産者や地方の人々は、「頑張っても頑張っても、売れない」と自らの作るモノに自信を失っていることも少なくない。だが梅原は、「ないものねだりをせず、足もとに眠っている地域の“宝”に目を向けることが、衰退する一次産業や地方の再生にもつながる」と考えている。
今、大ヒットを飛ばしているクリのお菓子。かつては山に捨て置かれたものが、梅原の手によって、宝に生まれ変わった。
全国各地から仕事の依頼が殺到する梅原だが、いくら金を積まれても動かない。仕事を引き受けるにあたって最も大事にするのは、依頼主の「本気度」、そして「志」だ。そうした依頼主の発するエネルギーが梅原を突き動かし、その熱意に応えようとする中から、梅原のデザインが生まれる。
生産者が本気で作った“いいもの”であれば、必ず売れると言い切り、背中を押す。そして、デザインの力で市場を切り開く。
志ある依頼主と、共に走る。
梅原が仕事をする上で常に念頭に置いているのは、自らの仕事が、「大切な風景を残す」ことにつながるかどうかだ。
梅原の言う「風景」とは、単に美しい景色を指しているのではない。いいものを作ろうと額に汗して働く人々の姿と、それが醸し出す現場の空気や景観。そうした人々の営みが映し出された“美”や“豊かさ”を、「風景」と呼んでいる。今は、売れないものや非効率なものは価値がないとされ、失われていく時代。そこにデザインを掛け合わせて付加価値を付け、売れるようにすることによって、その営みを存続させる。それが梅原を貫く信念だ。
「いい風景とは、志そのもの。俺はデザインの力で、それを守りたい。」
いい“風景”を守りたいという思いが根底にある。
梅原はよく「コミュニケーション」という言葉を口にする。売れない商品というのは、消費者とのパイプがうまくつながっていない状態。そのパイプを作り出し、細いパイプを太くしていけば、売れるようになる。いわば、消費者との間に「コミュニケーションを生み出す」こと、それが自分のやるべき仕事だととらえている。
どうすれば商品が消費者の目に留まり、手に取られ、カゴに入れられるか。単にパッケージだけをデザインしているのではなく、コミュニケーションを生み出す方法を常にトータルで考えている。こうした方法論やデザインの手法は、すべて独学で身に付けてきた。
梅原はコミュニケーション・デザインの達人。数々のヒット商品を生み出してきた。
梅原が手がける一次産業や地方の仕事には、特別な難しさがある。規模が小さくて効率が悪い、知名度がない、販路がない、広告を打つ金もないなど、商品を売るには不利な条件ばかりだ。だが梅原は、そうしたマイナス条件を逆手に取って、プラスに変えていく。
例えば今、梅原が力を入れているのが、地元高知の森林の活性化。高知県の森林率は84%と全国一で、経済的にはマイナス材料と見なされがちだ。だが梅原は、その森林率の高さをむしろ誇り、「84プロジェクト」と銘打って、森林まるごとブランド化に挑んでいる。
「マイナスとマイナスを掛ければプラスになる」が持論。