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これまでの放送

第194回 2011年12月5日放送

極限の宇宙、コマンダーへの道 宇宙飛行士・若田光一



リスクと向き合うことでしか  前に進めない

宇宙開発には常に危険が伴い、リスクがある。
2013年、日本人初の国際宇宙ステーションの船長(コマンダー)という重責を担う宇宙飛行士・若田光一(48)。
火事や急減圧といった緊急事態が起こった時、仲間の命を守る責任を負わねばならない。
若田が日々の訓練で、常に肝に銘じているのが、危険やリスクがどこにあるのかを絶対に見逃さず、リスクと向きあいながら一歩一歩前に進むということだ。
宇宙飛行士の日常は、途方もない量の訓練をこなし続ける毎日。訓練につぐ訓練、それ以外に危険や恐怖を遠ざけることはできない。
「宇宙飛行だけがミッションではなく、毎日がミッション」だと若田は言う。

写真フライトまで、訓練をこなし続ける毎日の若田。徹底的にリスクをつぶし、ミッションに臨む


志を、受け継ごう

宇宙飛行士という過酷な仕事へと若田を突き動かしている思い。それは、宇宙に憧れ始めた5歳の時からずっと変わらない、「宇宙は限りない夢を与えてくれる創造の空間だ」という思いだ。
そんな若田も、2003年のコロンビア墜落事故では共に訓練をしてきた7名の仲間を一度に失い、抗(あらが)いがたくわきあがる恐怖と共に、深い悲しみに沈んだ。
「なぜ宇宙に行くのか」自問自答を繰り返した。

志を、受け継ごう
「宇宙に向かうリスクや危険を決してゼロにすることはできない。それでも、宇宙には、夢と向かう意義が必ずある」。人類が初めて宇宙に飛び立ってから半世紀。それは、志を受け継ぎ、ひとつひとつ積み上げてきた歴史だ。若田は、宇宙に行くことによって、人類が得られるものがあると信じ、4度目の宇宙飛行に挑む。

写真先人たちの志を受け継ぎ、その挑戦の最前線に立つ


人の価値は、努力の量で決まる

宇宙飛行士になって19年。
「自分は、センスはない」と言い切る若田は、訓練、勉強、トレーニングと、ひたすら自分を追い込み、努力をいとわない。
決して妥協せず、目の前の課題と向き合い続ける。
「人の価値は、努力の量で決まる」
若田は、宇宙飛行という最終ミッションに向け、最大限技術と経験を積み上げていく。

写真若田は肉体を鍛えるトレーニングも徹底して行う


プロフェッショナルとは…画像をクリックすると動画を見ることができます。

自分の限界がどこにあるかっていうのを経験とかから知って、それに向かってたゆまぬ努力を続けることができる人、それが本当のプロフェッショナルじゃないかなっていうふうに思います

宇宙飛行士 若田光一


放送されなかった流儀

限界を知り、限界に挑む

若田にとって、宇宙飛行に臨むということは、自分の限界を知り、その限界に挑み続けることの連続だという。
自分だけは自分の限界を知っている。ほかの人はごまかせても、自分はごまかせない。
「人生は究極的には、自分への挑戦」。若田は、過酷で、ハードルが高ければ高いほど、やりがいがあると信じ、どんなときも前を向く。
そんな日々の中で若田は、どんなに忙しくても子供たちとの時間を大切にする。「宇宙への夢をつないでいく」その時間が、また次の、「自分への挑戦」の活力になっている。

写真子供たちとの時間を大切にする若田