数寄屋建築は、茶室などに用いられる、日本を代表する建築様式。千利休が大成した茶の湯の文化と密接な関係をもち、400年あまりの伝統をもつ。その特徴はシンプルで洗練された美しさだ。齋藤は、自然のままの木々を巧みに組み合わせ、光の差し込む角度も計算し、絶妙のバランスがとれた心地よい空間を生み出す。
齋藤は仕事の神髄を「仕事をしないこと」と表現する。極めて精緻な計算に基づく仕事を、出来るだけ作為を感じさせないようにする所にこの仕事の妙があるのだという。隅々まで仕事をしていながら、あくまでその仕事を悟られず自然なたたずまいとする。それが、齋藤が目指す境地だ。