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これまでの放送

第194回 2011年11月21日放送

不屈の課長、情熱を力に 商社マン・片野 裕



世界一速く、動け

片野は大手総合商社に勤める課長。14人の部下を率いて、電気自動車やデジタルカメラなどのハイテク製品の“生命線”、「レアアース」や「リチウム」といった資源を獲得するため、世界中を駆け回る。昨年9月、片野たちのチームは大きな成果を上げた。尖閣諸島の漁船衝突事件の後、日本が輸入の大部分を依存している中国からのレアアースが事実上入ってこなくなるという異常事態が起きた。片野たちは、事件発生からわずか2か月あまりという、超異例のスピードでオーストラリアの資源会社と交渉をまとめ、日本の需要の約3割をまかなえる巨大開発プロジェクト立ち上げることに成功したのだ。「1日も速く、1秒でも速く、世界の誰よりも速く動く」。それが日本の産業を陰で支える商社マンとして、片野が大切にしている信念だ。

写真写真超異例のスピードで、レアアースの輸入ルートを開拓


“お前に何ができるのよ”

6月、片野は中国産のレアアースのことで頭を悩ませていた。価格が急激に高騰、さらに供給まで不安定になるという、かつてない事態が発生していたのだ。片野の元を相談に訪れた材料メーカーは、レアアースを購入することができず「このままでは、事業がなくなる」と危機感を募らせていた。片野はすぐさま中国へ飛び、中国最大手の企業と商談を行った。片野の粘りによって、レアアースの安定供給確保に成功。しかし、安定供給ができたとしてもレアアースの価格が高騰する限り、日本企業の苦境は続く。片野は、資源を右から左に動かすだけが商社マンの仕事ではないと考えている。「自分に何ができるのか」。悩み続けた片野は大胆な手に打って出た。資金力のある大手総合電機メーカーを訪ね、レアアースの購入と材料メーカーへの供給を提案したのだ。業界全体を守ろうという片野のアイデアに、電機メーカーも興味を抱いた。事態は急には変わらない。しかし、片野は、自分にできることは何かを問い続けながら、前へ進む。

写真自分にできることを、常に自問自答する


日本の産業の火を、消すな

6月、片野のチームに緊急事態が発生していた。片野たちが扱う「リチウム」の注文が急増し、供給がぎりぎりの状態となっていたのだ。リチウムは、今後市場の拡大が期待される電気自動車のモーターや太陽光発電の蓄電池などに欠かせない重要な資源。片野は、資源ルートを開拓するため、アメリカ最大級の資源会社と交渉に臨んだ。しかし、相手企業の取締役からは、片野たちの提案は完全に拒否されてしまう。だが、片野はあきらめない。資源ルートを獲得し、日本のものづくりを守ることこそ、自分の仕事。片野は、使うかどうか迷っていた交渉の切り札を使うことを決断した。

写真写真「日本のものづくりを守りたい」その思いが原動力


プロフェッショナルとは…画像をクリックすると動画を見ることができます。

自分はこんなもんだとあきらめずに、自分を信じて、また自分にうそをつかず、がむしゃらに自分の目標や夢に走り続ける人

商社マン 片野 裕


放送されなかった流儀

フェアに寄り添う

資源の売り手と買い手をつなぐのが、商社マン片野の大切な仕事。
資源ルートを開拓するときや、売り手と買い手が直接商談をするとき、いかなるときも片野は常に公平な立場でいるよう努める。ときに利害が対立する資源の売り手や買い手。片野は、双方にメリットのある仕組みを提案することで、息の長いビジネスを生み出し、結果的に自分たち商社ももうけをあげ、なおかつ安定して日本に資源が供給され続ければベストだと考えている。

写真