片野は大手総合商社に勤める課長。14人の部下を率いて、電気自動車やデジタルカメラなどのハイテク製品の“生命線”、「レアアース」や「リチウム」といった資源を獲得するため、世界中を駆け回る。昨年9月、片野たちのチームは大きな成果を上げた。尖閣諸島の漁船衝突事件の後、日本が輸入の大部分を依存している中国からのレアアースが事実上入ってこなくなるという異常事態が起きた。片野たちは、事件発生からわずか2か月あまりという、超異例のスピードでオーストラリアの資源会社と交渉をまとめ、日本の需要の約3割をまかなえる巨大開発プロジェクト立ち上げることに成功したのだ。「1日も速く、1秒でも速く、世界の誰よりも速く動く」。それが日本の産業を陰で支える商社マンとして、片野が大切にしている信念だ。