三谷の作品作りは、まず設定から始まる。そのとき、三谷がもっとも大切にしているのは自らに制約を課すことだ。例えば大河ドラマ「新選組!」では、一話は必ず一日の中で完結するというルールを設け、脚本を書いた。さらにドラマ「王様のレストラン」では、舞台は小さなレストランの中だけと定め、その中で複雑に絡み合う人間模様を濃く描いた。
今年の夏、三谷が制作していたのは、制約だらけのドラマ。一台のカメラで90分以上ぶっ通しで撮影を行い、編集もしないという前代未聞の試みだ。
本番直前、場所の関係でどうしても台詞(せりふ)を修正しなければならない箇所が生まれた。しかし、今から台詞を覚えさせるのは負担が大きすぎると考え、あえて同じ台詞を繰り返す事ができるクイズ形式の台詞を考え出した。制約の中に、答えを見いだした結果だ。