スマートフォン版へ

メニューを飛ばして本文へ移動する

これまでの放送

第194回 2011年3月7日放送

意志あるところに、道は拓(ひら)ける 中華料理人・古田 等



伝統の美味の、さらに上へ

その独創的な料理で、プロの料理人たちからも注目を集める中華料理人・古田等。そのすべての料理に通底する思想がこれだ。
古田は常に、既存の料理を超える味を目指し、新しい味を生み出している。例えば、「鮎(あゆ)の春巻き」。昔から伝わる「鮎の塩焼き」の良さを生かしつつ、内臓にオイスターソースを加えて風味を足したり、春巻きの皮で鮎の風味を閉じ込めたりと中華のエッセンスを加え、新次元の味を作り上げた。常に上を目指さなければ料理は進化しない、と古田は考えている。

写真写真


僕は、僕でいいんだ

都会の名店での修業経験がない古田。31歳でオリジナルの料理を出す店を開いてからも、キャリアの無さがコンプレックスだったという。岐阜の小さな店で、努力を重ねてきた結果たどり着いた境地が、この言葉だ。
今では、修業経験がないことも“自分らしさ”の1つと捉え、枠にとらわれない大胆な発想を最大の武器としている古田。
これからも自分らしく、決して背伸びをせず、しかし常に前進し続けていく。

写真


もっと出来る、まだ先はある

古田の座右の銘ともいうべき流儀。
お客さんが「おいしい」と言ってくれたから、それで満足してしまってはダメだという。まだ何かできるのではないか、もっと深い味にできるはずだ。古田は常に自分に問いかけ、考え続けている。

写真


プロフェッショナルとは…画像をクリックすると動画を見ることができます。

どんな職業でも、やはり自分の目標、イコール楽しみながらやる夢を持って、それを実現していくっていうことがプロフェッショナルかなと思います。

中華料理人 古田 等


プロフェッショナルのこだわり

古田のほとんどの料理に使われているのが、上湯(シャンタン)と呼ばれる、上質なスープだ。上湯は、和食の「ダシ汁」のように用いられ、料理の味を左右する。
一般的には牛肉、豚肉、鶏肉、金華ハム、ネギ、陳皮などからエキスを抽出するが、古田はシンプルな味にするため、鶏肉と金華ハムしか使わない。その代わり、通常は鍋で3時間ほど煮て取るところを、古田は蒸し器に入れ、6時間かけて肉のうまみを引き出す。
少ない種類の肉のエキスをじっくりと抽出することで、シンプルながら豊かな味わいの上湯が完成するという。

写真写真


放送されなかった流儀

ヒントは、足もとにある

食材や調理法の組み合わせが大胆な古田。その発想の源は、意外にも身近なところにある。
例えば「白子のごま油焼き」。フグの白子の表面にしょうゆをつけて香ばしく焼くのは、なんと「焼き餅」からヒントを得たという。
さらに、買い物に行ったとき、売られていた蜂蜜を見て「これは熊肉に合いそう」とひらめく。熊といえば、蜂蜜を食べているイメージがあるから、という理由。
常に料理のことを考えている古田にとっては、身の回りのすべてのものがヒントとなるのだ。

写真写真