その独創的な料理で、プロの料理人たちからも注目を集める中華料理人・古田等。そのすべての料理に通底する思想がこれだ。
古田は常に、既存の料理を超える味を目指し、新しい味を生み出している。例えば、「鮎(あゆ)の春巻き」。昔から伝わる「鮎の塩焼き」の良さを生かしつつ、内臓にオイスターソースを加えて風味を足したり、春巻きの皮で鮎の風味を閉じ込めたりと中華のエッセンスを加え、新次元の味を作り上げた。常に上を目指さなければ料理は進化しない、と古田は考えている。
その独創的な料理で、プロの料理人たちからも注目を集める中華料理人・古田等。そのすべての料理に通底する思想がこれだ。
古田は常に、既存の料理を超える味を目指し、新しい味を生み出している。例えば、「鮎(あゆ)の春巻き」。昔から伝わる「鮎の塩焼き」の良さを生かしつつ、内臓にオイスターソースを加えて風味を足したり、春巻きの皮で鮎の風味を閉じ込めたりと中華のエッセンスを加え、新次元の味を作り上げた。常に上を目指さなければ料理は進化しない、と古田は考えている。
都会の名店での修業経験がない古田。31歳でオリジナルの料理を出す店を開いてからも、キャリアの無さがコンプレックスだったという。岐阜の小さな店で、努力を重ねてきた結果たどり着いた境地が、この言葉だ。
今では、修業経験がないことも“自分らしさ”の1つと捉え、枠にとらわれない大胆な発想を最大の武器としている古田。
これからも自分らしく、決して背伸びをせず、しかし常に前進し続けていく。
古田の座右の銘ともいうべき流儀。
お客さんが「おいしい」と言ってくれたから、それで満足してしまってはダメだという。まだ何かできるのではないか、もっと深い味にできるはずだ。古田は常に自分に問いかけ、考え続けている。
古田のほとんどの料理に使われているのが、上湯(シャンタン)と呼ばれる、上質なスープだ。上湯は、和食の「ダシ汁」のように用いられ、料理の味を左右する。
一般的には牛肉、豚肉、鶏肉、金華ハム、ネギ、陳皮などからエキスを抽出するが、古田はシンプルな味にするため、鶏肉と金華ハムしか使わない。その代わり、通常は鍋で3時間ほど煮て取るところを、古田は蒸し器に入れ、6時間かけて肉のうまみを引き出す。
少ない種類の肉のエキスをじっくりと抽出することで、シンプルながら豊かな味わいの上湯が完成するという。
食材や調理法の組み合わせが大胆な古田。その発想の源は、意外にも身近なところにある。
例えば「白子のごま油焼き」。フグの白子の表面にしょうゆをつけて香ばしく焼くのは、なんと「焼き餅」からヒントを得たという。
さらに、買い物に行ったとき、売られていた蜂蜜を見て「これは熊肉に合いそう」とひらめく。熊といえば、蜂蜜を食べているイメージがあるから、という理由。
常に料理のことを考えている古田にとっては、身の回りのすべてのものがヒントとなるのだ。