渡邊は、社会問題の解決と利益を上げるビジネスの両立を目的とした「ソーシャルビジネス」の日本におけるパイオニアの1人だ。20年前から、農薬や化学肥料を使わないオーガニックコットンのビジネスを手がけ、農薬による土壌汚染などの環境問題の解決を目指してきた。栽培に手間のかかるオーガニックコットンは、通常、生産コストが高くつく。
それをどうやって継続的なビジネスとして成立させるか。渡邊は、生産コストが高いという“弱み”を、メイドインジャパンのもの作りにこだわることで、品質の良い高級品という“個性”に変えてきた。弱さだけを見て悲観するのではなく、きらりと光る個性を引き出せないか。渡邊は、そうした発想で逆境を跳ね返し、ソーシャルビジネスを成立させてきた。