「崖の上のポニョ」から2年、映画監督・宮崎駿は新作に挑んでいた。11月に、三鷹の森ジブリ美術館で公開される「パン種とタマゴ姫」。わずか10分の短編映画でありながら、使用する紙の枚数は2万4千枚にのぼる、スタジオジブリ史上最も濃密なアニメーションだ。しかし、作業量は膨大なものとなり、70歳になろうとする宮崎を圧迫する。それでも宮崎は挑戦をやめようとしない。どうしてもその手でつかみたいと願う、ひとつのテーマがあった。
「21世紀に通用する作品とは何か」。その答えは、線を1本1本描き続けながら、体で見つけるしかない。カットが仕上がり始めたのは8月下旬。最後に、宮崎に、新たな挑戦へと駆り立てるものを問うた。
「・・意地と見栄」。笑いながら、宮崎は立ち去って行った。




