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第139回 2010年3月9日放送

魂の酒、秘伝の技 杜氏(とうじ)・農口尚彦


極限まで準備にこだわる

日本酒の原料は米。農口は米のうまみを極限まで引き出した極上の美酒を生み出す。そのこだわりは、米を洗う時間を秒単位で細かく調整するほどだ。米に含まれるわずかな水分の違いが、その後の酒造りを大きく左右するからだ。米の品種、産地、状態、さらには、その日の気温、水温など、さまざまな要因を総合的に判断し、洗う時間を決める。準備段階から一切妥協しないのが、農口の流儀だ。

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赤子を慈しむように

酒蔵に住み込んで働く農口は、一日中、夜中もいとわず、米と向き合い続ける。温度・湿度・手触り・香り・味。五感を研ぎ澄ませて米の変化を感じ取り、その状態に合わせた適切な仕事を心がける。「愛情を持っていなければ、酒造りの杜氏は務まらない。自分の都合を押し付けず、己を犠牲にして酒と向き合わなければ、決して良い酒は出来ない」と農口は言う。

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酒造りは、わからない

酒造り一筋61年。人生を美酒にささげた農口だが、それでも謙虚に自分を戒める。「一生かかってやっても、酒造りはわからない。だが、それをつかもうと夢中になってやっていることは事実なんです。そのために、毎年わからないものとして酒と向き合っているのです」。

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プロフェッショナルとは…

自分に厳しいこと。一言で言えば。追求しようと思えば、自分に厳しくないとね

農口尚彦

The Professional’s Tools

ふるい

「もやし」と呼ばれるこうじ菌の胞子を入れ、蒸し米に振り掛けるための道具。農口は、蒸し米の状態に合わせて手首の振り、腕の高さ、歩く早さを微妙に変え、ふりかける「もやし」の量を調整する。

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