農薬を使わない有機農業は、疫病や害虫などの影響で毎年豊作になる事は難しい。昨夏も雨続きの中、金子の畑にもトマトに疫病が発生した。
金子は、すぐに考えられるあらゆる手を打った上で、その結果を天にゆだねる。豊作や凶作に一喜一憂するのではなく、芳しくない場合は潔くあきらめる精神力を持たなければならないと金子は言う。そうでなければ農薬を使わない有機農業を行うという大切なポリシーが貫けないと考えるからだ。
取材中も、何度も何度も「我慢だ、我慢だ」とつぶやく金子。自然とは完全にはコントロールできないもの。それと戦うのではなく、我慢してつきあう事が必要なのだ。