未来の車・燃料電池自動車の開発は、これまでのノウハウが通用しない、未知への挑戦だ。
開発責任者である藤本は、部下たちが試行錯誤して改良を加えた車を、必ず自ら運転し、判断を下す。
少しでも気になった点があれば、容赦なく厳しく指摘し、さらなる改良を求める。
少しでもより良いものにしたい――その強い思いが、技術者としての藤本の根幹にはある。
未来の車・燃料電池自動車の開発は、これまでのノウハウが通用しない、未知への挑戦だ。
開発責任者である藤本は、部下たちが試行錯誤して改良を加えた車を、必ず自ら運転し、判断を下す。
少しでも気になった点があれば、容赦なく厳しく指摘し、さらなる改良を求める。
少しでもより良いものにしたい――その強い思いが、技術者としての藤本の根幹にはある。
自ら運転し、部下に指摘する
燃料電池車を、今のエンジン自動車に代わるほどに成長させ、量産・普及させたい。
この大きな目標を実現させるためには、地道な改良を一歩一歩進めていく、気が遠くなるほどの道のりを手探りで進んでいかなくてはならない。そんな中で前に進む力となるのが、目指す「夢」をけっして忘れないことだと、藤本は考える。
日々苦しみの中にある開発チームに、夢を説く
地道な試行錯誤を繰り返しながら壮大な夢を実現させるには、技術ややる気だけではなく、絶対に夢を実現させるという強烈な思いが不可欠だと、藤本は考える。
この春、藤本たち開発チームは、自動車の本場ドイツでの初走行に挑んだ。現地の技術者に試乗してもらい、車を総合的に評価する。燃料電池車開発プロジェクトの将来を左右しかねない、大きな分かれ目だ。チーム全員が夢を共有し、どれだけの強い思いを込めて車を仕上げられるかどうかに、その命運はかかっていた。藤本は、部下たちが仕上げてきた車のハンドルを自ら握り、部下たちの“思い”をじっくりと確認するように、車との無言の対話を続けるのだった。
部下たちは、どれだけの“思い”を形に込めてくるか