中村が率いる乳がんの診断と治療の専門センターは、乳がんの手術数が年間700件という日本屈指の多さだ。センターを立ち上げ、育て上げた中村。しかし、治療には、常に謙虚さを持って向かう。「自分の診断は本当に正しいのか」「これで間違っていないか」。患者の声に真摯(しんし)に耳を傾け、少しでも疑問が残るときは、同僚に意見を求める。そして、その姿勢を若手医師にも伝えようとしている。「白衣を着ていると“先生”と思われるかもしれないけれど、それにおぼれてはいけない。もっと謙虚でないといけない」と中村は言う。謙虚さを失うと、医師としての成長は止まってしまうと考えているのだ。