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第120回 2009年6月2日放送

誇りと夢は、自らつかめ 農業経営者・木内博一


“常識”を疑う

木内たちの農家グループは、平均年齢30代前半の若い農家の集団だ。それでも、主要メンバーの年間の売り上げは全国平均の2倍以上、なかには1億円を超えるものもいる。その華々しい実績を可能としたのは、木内たち農家が立ち上げた会社だ。市場を通さない野菜の出荷に加え、さまざまな事業に取り組み、その利益を元手にグループの農家の経営を安定させることに成功した。
新規事業を立ち上げる際に木内たちの考え方の出発点となっているのが、「“常識”を疑う」こと。従来の農家が“常識”としてきたことを見直し、本当にそれは正しいのかと疑い、もっと良い手立てがないかと模索する中から、木内たちはビジネスの種を見つけ出してきた。

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もったいない

形が悪かったり傷があったりする野菜は、従来の市場流通では「規格外」としてほとんど売り物にならなかった。木内たち農家にとっては“常識”だったこの考えを疑い、木内たちは野菜のカット工場を立ち上げることにした。規格外の野菜を細かく切って加工することで、何間7億円の売り上げにつながった。
こうした木内たちの取り組みの陰には、農家で生まれ育ったものならではの思いがある。「『もったいない』ってビジネスチャンスですよ。デメリットに対して、いかに知恵を絞るかってことに価値がある」と木内は言う。生産現場に精通した木内たちだからこそ気づくさまざまな「もったいない」が、形を変えて新しいビジネスにつながっている。

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立ち止まるな 次へ、次へ

木内たちの会社が立ち上げた事業による利益は、グループの農家の経営を安定させるだけではない。その利益を元手に、新しい農法の開発やこれまでにない野菜の栽培実験などにも挑戦。さらに、直営スーパーを都内に展開したり、海外事業に乗り出すなど新規ビジネスも積極的に開拓している。
今、木内の最大の仕事は、農家の利益をさらに安定させるために新たな事業の開拓を行うことだ。年間5000人と会い、そのなかで新たなビジネスの種を育てている。さまざまな業種の人との出会いのなかで発想を次々と広げていく。「やってダメだったら、また違う手を考えればいいんで、必ず何か見つかる」と、即座にアイデアを出し、瞬時に動くのが、木内のやり方だ。

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プロフェッショナルとは…

信念というんですかね。自分で「こうしたいんだ」っていうことをしっかり持っていて、なおかつ、その環境であったり、その時代であったり、そういう変化に柔軟な人だと思うんですね。

木内博一

The Professional’s Tools

さまざまな種類の野菜

木内たちの農家グループで扱う野菜は40種類以上。農家それぞれに得意な作物があると木内は言う。「ひと言で言えば(農家個人の)性格によりますね。あと、やっぱり代々やってきた家業のスタイルというのもありますから。」

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規格外の野菜を生かした「カット野菜」

大きすぎるものや小さすぎるもの、あるいは曲がったり割れている野菜は、従来の市場流通では「規格外」とみなされ、そのまま青果として出荷するのは難しかった。加工業者に売ろうとしても、こん包や物流などの費用をかけると割が合わなくなってしまうことが多かった。そこで規格外の野菜を、木内たち農家集団が自前の加工場で細かく切り、スーパー向けの総菜の具などに加工することで、コストを抑えつつ付加価値をつけた商品とした。

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