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これまでの放送

第116回 2009年4月21日放送

銃よ、憎しみよ、さようなら 武装解除・瀬谷ルミ子


目の前の現実に、答えがある

中東やアフリカなどの紛争地に赴き、DDR(武装解除・動員解除・社会復帰)と呼ばれる国家規模の武装解除を担う、NGO日本紛争予防センター事務局長・瀬谷ルミ子(32)。兵士から武器を回収、治安を回復させ、国を復興へと導く。
この10年、瀬谷は、国連職員や外務省職員などの立場でシエラレオネ、アフガニスタン、コートジボアールなどのDDRに関わってきた。今はその経験を生かし、フリーの専門家として仕事を請け負う。
この2月、アフリカ・スーダンで18万人を扱う史上最大のDDRプロジェクトがスタート。国連からの要請を受け参加する瀬谷は、国連や政府に提言する際、徹底して現地調査を行う。目の前の一人一人の声に耳を傾け、現実の中から答えを見つけ出す。
紛争後の状況は、その国によって違う。それを見ずして本当に必要な支援は分からない。それは、アフガニスタンでのつらい経験から得た教訓でもある。

写真村人たち一人一人と向き合う瀬谷


“心”の武装解除

瀬谷が目指す、“真”の武装解除。それは、単に武器を回収しても終わらない。
長年にわたり戦いを繰り広げてきた人々の、互いへのわだかまりや憎しみは深い。例え、戦争が終わったとしても簡単には憎しみの連鎖は消えない。
瀬谷は、憎しみや争いの原因を徹底的に探り、解決する方法を模索する。
この日も、争いの原因となっていた水場を供給するため政府に提言することを約束した。
「これがあればなんとか後は自分たちで争わずにいけるというところを探し当てる。和平合意の上では平和な状態になっても、心の中で平和がまだ訪れていなかったら、それは本当に平和な状態になったと言えない」

写真粘り強く争いの原因を追求する瀬谷


人生は、自分の手で、変えられる

今回のスーダン滞在で、瀬谷がDDRの仕事で最もこだわる問題の一つとして取り組んだのが、幼くして戦争に駆り出された少年兵の問題だ。
内戦中、スーダン南部だけでも2万人に達したという少年兵の社会復帰はことさら難しい。瀬谷は、除隊し学校に行きたいという一人の若者のために立ち上がる。
この10年、数々の紛争地を渡り歩き、内戦というすさまじいうねりに翻弄(ほんろう)されてきた人々と向き合ってきた瀬谷。どんな困難な場所にいても、例え、わずかでも、希望の光があれば人は立ち上がれる。「人生は、自分の手で、変えられる」というのが、瀬谷の揺るぎない信念だ。

写真少年兵だった若者のために奔走する瀬谷


プロフェッショナルとは…

やらない言い訳をしない人、ただでさえ難しい仕事をやらない言い訳をするとただでさえ難しいミッションがさらに困難になるのですね。それをせずに改善するための方法を考えて実行するのがプロフェッショナルだと思います

瀬谷ルミ子

The Professional’s Tools

ぬいぐるみ

瀬谷は、紛争地に行くときバッグにいろいろなものをつめて持って行く。
その一つが、現地の子供たちが喜ぶものだ。この小さなぬいぐるみはおまけなどについていたものを集めておいたものだ。元兵士とか村人たちがちょっと緊張しているときでも、子供たちを通じてコミュニケーションがとれることがあるという。
ほかにも、鏡で自分の姿を見たことがないような子供たちのために、写真を撮ってその場であげられるようにポラロイドカメラと大量のフィルムを常に携帯している。

写真集めて持って行くぬいぐるみ


マラリアの薬

アフリカといえば、大変なのが食事や病気。だが紛争地に慣れている瀬谷は、どちらもものともしない。マラリアには、覚えているだけでもこれまで8回かかったという。今では、かかりそうというのが分かるようになり、早めに薬を飲んで治すという。
食事は、村などで出されたものは必ず食べる。そうすることで、村人たちにも受け入れられ、関係が深まることがあるという。

写真アフリカで購入したマラリアの薬


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