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これまでの放送

スペシャル  2009年3月31日放送

プロに学べ 脳活用法スペシャル これが“育て”の極意だ!


あえて、教えない

番組に登場したプロフェッショナルたちの仕事を分析した結果、共通していたのは、相手の自発性を尊重した育て方。生徒や部下たちに、自分で考えさせ、自分で答えを見つけさせるのだ。最新の研究でも、人に教えられた場合よりも、自分で答えを見つけたときの方が、喜びや快感を生み出すドーパミンという物質がより多く脳内に放出されると考えられている。
茂木は言う。「相手の自発性を尊重することが、相手の脳の可能性を一番活かすことになり、結果として、最大の効果を引き出すんです」

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ひたすら待つ ただし、観察しながら

自発性は、いつ出るかわからない。だから、粘り強く待ち続けるのが基本だ。だが、ただ待つだけではなく、相手の様子をよく観察することが大切だ。観察するのは、相手の微妙な変化。わずかな疑問や興味などの“自発性の芽”は、よく観察していないと見えてこない。


芽を見つけたら、その時、本気でアクション

自発性の芽を見つけたら、その時すぐにアクションを起こすことが重要だ。「知りたい」という欲求が高まると、脳はその答えを受け入れようと準備をするからだ。このとき教える側が本気の行動をとれば、答えはより強く記憶に刻まれる。

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自発性の回路を育め!

脳には、“自発性の回路”があらかじめ備わっていると、茂木は言う。「自発性の回路は、ある意味では、何で育んでもいいわけです。例えば音楽のレッスンを子供にさせている場合、音楽で自発性の回路を育まなくても、ほかのことで育めばいい。それがいつかは音楽にも生きてくるのです。一番いけないのは、“あれをやりなさい”“これをやりなさい”と強制すること。これでは自発性の回路を育む機会が失われてしまいます」

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「安全基地」になる

未知の世界へ果敢に挑戦する心を育むために、茂木が注目するキーワードが、「安全基地」。安全で安心できる場所という意味で、例えば、赤ちゃんにとっての保護者が「安全基地」にあたる。茂木は、「安全基地」になるためのポイントを4つ挙げた。

  • (1)やりたいことをやらせる
  • (2)応援団に徹する
  • (3)欠点も受け入れる
  • (4)困った時こそ、手助けする

「安全基地」は、子供を育てるときだけでなく、職場で部下を育てるときにも重要だと、茂木は言う。「そばで見守っている存在=安全基地があるからこそ、人は安心して新しいことに挑戦できるようになるんです」

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後悔のススメ

自分を育て、成長させる効果的な方法として、茂木が勧めるのが、「後悔」すること。最新の脳科学の研究で、意外なことがわかってきたのだ。後悔しているときに活動しているのは、目の奥にある“眼窩前頭皮質(がんかぜんとうひしつ)”。脳の中でも、環境の変化に対応する“適応力”を司る部位だ。つまり後悔するということは、環境の変化に対応し、自らを成長させることだと考えられるというのだ。「後悔しているときは、現実に自分がとった行動と、こうすればうまくいったのにという想像との比較が同時に行われているんです。自分の選択に反映される価値観や世界観を反省し、考え方を変えるきっかけにもなるわけです。つまり後悔は、未来を変えるためにやっているんです」

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育てるに関する質問コーナー

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2歳の子供の母
子供に些細(ささい)なことでイライラさせられることが多い。茂木さんは、どのように対処していたのか?
イライラすることで得られることは何もない。子供は言うことをきかないことがあるが、そもそも子供は、脳と体の関係がまだ成熟しておらず、頭で思ったことをそのまま体で表現できない。だから、例えばあと5分で出かけなければならない時に、着替えさせようとして、「着替えなさい」と言っても聞かないのはしょうがないのだ。それなら、物理的に着替えさせてしまうことを勧める。
思春期の息子の母
子供を心の底から褒めるには、どうしたらいいのか?
他人を見ることと自分を見ることは、脳の働きとして同じ。だから、他人を本気でほめられる人というのは、自分のいいところも自分でほめられる。従って息子さんに対して、自分のいいところを見つけるのと同じような気持ちを向けたらいい。明と暗のところの“明”のこところだけ取り上げて褒めると、息子さんは、「うちのお母さんは、おれのいいところだけ言ってくれて、悪いところは言わない。悪いところも見えているんだけど、お母さんは、あえて言わないんだ」と思うだろう。そうしたら、しめたものだ。